山里にひっそり広がる梅林を訪ねる　優しい味わい、和の朝ご飯で腹ごしらえ

天気のよさそうな2月の終わり、高尾梅郷に行こうと思い立った。

高尾梅郷は旧甲州街道沿いに点在する遊歩道梅林、関所梅林、天神梅林、荒井梅林、するさし梅林、湯の花梅林、木下沢梅林、小仏梅林の総称だ。道沿いに広がる小さな梅林をつないで歩く。以前歩いたときは、小名路バス停からスタートし、梅林をたどりながら小仏バス停をめざした。

山間の集落の中に梅林が点在し、梅林以外の道沿いにも梅の木が植栽され、よい香りを漂わせている。広々とした梅林を散策するのもよいが、高尾梅郷のように山里全体が梅の郷になっているのも趣があってよい。小仏バス停までバス路線があるので、歩き疲れたらバスで高尾駅にすんなり戻れるのもありがたい。

モデルコース：

コースタイム：高尾駅（15分）西浅川交差点（30分）天神梅林（30分）木下沢梅林（20分）小仏バス停　合計1時間35分

⇒ヤマタイムで地図を見る

体に染みる、とろろご飯と具だくさんの味噌汁

今回は、散策前に一言堂（いちげんどう）で朝ご飯にしよう。そう決めていた。

JR中央本線高尾駅に直結のカフェ＆ベーカリー。ベーカリーの高尾きなこクリームパンが大好きで、登山で高尾駅に下車したら必ず買う。カフェスペースも居心地がよく、電車の待ち時間にコーヒーを飲みながらぼーっとしたり、カレーを食べて帰ったりする。オープンする7時30分から10時までは、モーニングメニューがあるのだ。

高尾駅北口改札を出るとすぐお店の入口。モーニングメニューの看板が麗しい。お目当てはとろろご飯と味噌汁がセットになった「ふわふわとろろご飯セット」。店に入り、カウンターで素早く注文。お茶は温かいのと冷たいの、どちらにしましょうか？と聞いてもらえた。寒かったので温かいほうをお願いしたけど、気遣いがありがたいなあ。

窓際のカウンター席に陣取る。広々として雰囲気のよい、ウッディな店内。おしゃれだけど気取らない雰囲気なので、登山のときでも気にせず滞在できるのが有り難いと常々思っている。カウンター席からは高尾駅北口のロータリーが見えるが、今日もバス停にはハイカーがたくさん並んでいる。

さほど待たずに料理が登場。

ご飯、とろろ、具だくさんの味噌汁、日替わりの一品（今回は燻製タマゴ）。登場した瞬間、味噌汁の出汁の匂いがふわりと漂う。別添えの茶色い液体（醤油だと思って後で聞いたら昆布つゆだった）をとろろにかけて軽く混ぜ、ご飯にどばーっと全部かける。ご飯が案外に多いのは、これからがっつり行動するときにはありがたいよねえ。

まず味噌汁を一口。出汁と野菜のうまみ、味噌の風味。濃すぎない、優しい味わいだなあ。具材は白菜、人参、大根。大きめに刻まれ、いい感じに煮込んである。お碗の奥底から、大きな油揚げが１枚出てきてびっくり。おもしろいなあ。そしてとろろご飯を一口。ふわっふわのとろろとご飯、おいしくないわけがないのだ。甘めの昆布つゆも、はらはらとふりかけられた海苔もいい感じ。とろろは所々にシャキシャキの粒があって、食感まで楽しい。

野菜もたっぷり、身体によいものをしっかり取り入れられて、幸せ。

最後に温かいお茶をいただき、ごちそうさまでした。登山前にこのモーニングメニュー、いいよね。ちなみにモーニングメニューは、とろろご飯のセットのほか、ベーカリーで販売しているパンまたはおにぎりとドリンクのセットもある（平日限定）。素早く朝食を取りたいときはこちらもよさそう。

そういえば以前ここで朝ご飯を食べたとき、味噌汁の具にブロッコリーが入っていたのを覚えていた。「お味噌汁の具は、定番の具材ではなく、そのときにある野菜で作っているんですよ」そうか、味噌汁の具の組み合わせは一期一会・・・おもしろいなあ。次に来たときはどんな具で楽しませてくれるのだろう。

いい感じにお腹が満たされて、今日も気持ち良く歩けそう。 行動食にいつもの「高尾きなこクリームパン」をひとつ買って、高尾駅をあとにした。