花咲く上高地をのんびり散策

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読者レポーターより登山レポをお届けします。今井良子さんは上高地をのんびり散策。短い行程でも花はたくさん観察できたそうです。

文・写真=今井良子


なかなか梅雨入りしない6月中旬に、同級生の4人で上高地のお花散策に行ってきた。上高地バスターミナルから左岸を行き、明神で折り返して右岸を帰るコースだ。

さわんど第2駐車場(足湯公園)に駐車した。帰ってきて足湯に入るにはここがちょうどいい。車から降りて準備していると、向こうからタクシーの運転手さんが声を掛けてきた。私たち見られてたのね。4人で割ればバス代と同じくらいの料金になるので、満場一致でタクシーに乗った。タクシーで上高地入りするのは初めてだった。タクシー代は片道5200円。

釜トンネルと上高地トンネルを抜け大正池を通り過ぎ、あっという間に上高地バスターミナルに着いた。バスよりも格段に早かった。

歩き出してすぐに河童橋が見えてきた。観光客でいっぱいだ。記念写真を撮ってもらおうと隣にいた人に声を掛けたが、キョトンとしている・・・。外国人観光客だった。一瞬こちらも躊躇したがジェスチャーが伝わって快く撮ってもらえた。

にぎわいを後にすると、さっそくホテルの脇でノビネチドリが出迎えてくれた。ビジターセンターまで来ると端っこのほうにシロバナグンナイフウロ、ムカゴトラノオが。

ノビネチドリ
ノビネチドリ
シロバナグンナイフウロ
シロバナグンナイフウロ

そのまま梓川沿いに、ほぼ平坦な砂利道を歩いていく。道端にはラショウモンカズラ、コミヤマカタバミ、ギンリョウソウ、ユキザサ、マイヅルソウ、ベニバナイチヤクソウなどが咲いていた。

コミヤマカタバミ
コミヤマカタバミ
ギンリョウソウ
ギンリョウソウ
マイヅルソウ
マイヅルソウ
ベニバナイチヤクソウ
ベニバナイチヤクソウ

なかでも、ショウキランのピンクが華やかで目立っていた。写真を撮るにはちょうどいい高さに咲いている。そして今一番の盛りはミヤマカラマツとクルマムグラで、白い花が時折そよそよと風に吹かれて気持よさそうだ。期待していたニリンソウやサンカヨウはすでに終わりで初夏の花々に移り変わっていた。

ショウキラン
ショウキラン
ミヤマカラマツ
ミヤマカラマツ

中間地点の六百沢あたりだっただろうか、一面砂地と化していた。どうやら今年6月の大雨で山から砂が流されてきたようだ。靴の中に砂が入って気になった。

明神館前の広場でお弁当を食べた後、対岸に向かう途中に絶滅危惧種のタガソデソウの群生地がある。コケの生えた倒木の上に光を浴びて数本咲いていた。

タガソデソウ
タガソデソウ

吊橋を渡り、穂高神社の鳥居をくぐると石碑の横にちょこんとクリンソウが。参拝料500円を納めて明神池へ入って行くと意外と静かだった。一之池とニ之池があり静寂の中にゴゼンタチバナが咲いていた。

クリンソウ
クリンソウ

この明神池と、さっきお弁当を食べたところの柳の池はどちらも地下からの湧水で、雨が降っても濁らないらしい。ぜひ雨の日にも訪れてみたい。

じっくり散策した後、小腹が空いた私たちは山のひだやのカフェ・ド・コイショに寄った。4人とも「どっこいしょ?」とつぶやきながら入っていく。

山のひだやのカフェ・ド・コイショ

ランプのカフェで落ち着いた雰囲気。静かでとてもよかった。メニューはドリンクとケーキのみのようだ。ここでしか食べられないものをいただけて、みな満足であった。

お腹も気分も満たされ、下りは反対の右岸を歩く。右岸には車道と歩道があり、時々つながる。岳沢湿原ではレンゲツツジとのコラボレーションをカメラに収めた。光が当たるとすばらしくきれいだった。

岳沢湿原のレンゲツツジ
岳沢湿原のレンゲツツジ

だんだん、さっきのコーヒーが効いてきたのかトイレに行きたくなってきた。足早に河童橋まで戻りお土産を買いつつトイレを借りた。お土産屋さんのトイレにはチップ箱はないが、せめてなにか買ってお礼の気持ちを示したい。排泄物の処理には費用がかかるのだ。私は今ハマっている「ゆきお」のキーホルダーりんごバージョンを購入した。

クリンソウ

上高地バスターミナルに着いたらもう15時30分を過ぎていた。帰りも迷わずタクシーに乗った。待ち時間がなく早い。朝、車を停めたさわんど駐車場に着いてリュックを下ろす。サンダルに履き替え足湯に向かうと何組かくつろいでいた。湯の温度は40℃だった。源泉が出ていて入口のほうはもっと熱かった。日帰り入浴もいいが、足湯は無料でさっと入って帰れる、このお手軽感がいい。

上高地といえば言わずと知れた北アルプスの玄関口。いろんな人がいておもしろい。大きなリュックで足早に過ぎていく人も多い。楽しそうに走っていく若者たちもいる。楽しみ方は人それぞれだ。私たちはおしゃべりに花が咲いてゆっくりと楽しい時間を過ごすことができた。

(山行日程=2024年6月16日)

MAP&DATA

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コース

上高地バスターミナル~上高地ビジターセンター~明神~岳沢湿原~上高地バスターミナル(参考コースタイム:2時間20分)

※7月頭の大雨の影響で、上高地ビジターセンター~明神の左岸が7月8日現在通行止めです。出発前に最新情報をご確認ください。

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今井良子(読者レポーター)

今井良子(読者レポーター)

長野県在住。山の中で育ったせいか森が好き。そして歩くことが好き。ケモノは怖いのでいつもドキドキしながら里山や街道歩きを楽しんでいる。

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