山でアプリ使ってる? 登山アプリの得意なこと、苦手なこと【山と溪谷2024年10月号】

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すっかり登山の定番アイテムとなったスマホと登山アプリだが、スムーズかつ有効に使いこなすためには、その特性を知っておくことが大切だ。雑誌『山と溪谷』2024年10月号の特集「登山アプリと読図の基本」から、スマホの登山アプリを使う際に知っておきたい基礎知識を紹介しよう。

文=大関直樹、イラスト=坪本幸樹

登山アプリが得意なこと

実際に使ってみるとなにかと便利に感じることが多い登山アプリ。正しく使うことで、どんなことができるようになるのかきちんと知っておくのが大切だ。

① 現在地が圏外でもわかる

登山アプリは、GPS衛星からの信号で現在地を特定するため携帯電波が圏外でも使える。ただし、樹林帯など衛星電波が届きにくいと、精度が落ちる(誤差は、10~30mと言われている)。また、地図はネット環境がないと見られないので山行前にダウンロードしよう。

② 歩いた記録を簡単に残せる

歩いた記録(トラック)を残せるのも登山アプリの役立つ機能のひとつ。下山後に歩行距離やアップダウンを把握したり、歩行のペースをチェックできる。また、トラックはGPXと呼ばれる共通のファイル形式で保存されるので、他の登山アプリやPCなどでも閲覧できる。

③ 標高や緯度・経度が簡単にわかる

標高や緯度・経度もGPS衛星の電波を利用することで、ワンタップで表示できる。現在地の標高がわかれば山頂との標高差を計算することで、あと何m登るとよいかがわかり行動管理に役立つ。ただし、現在地把握と同じく、標高もある程度の誤差が生じることは覚えておこう。

④ 第三者に現在地を伝えられる

登山アプリには、現在地を座標データなどで正確に送信できる機能が搭載されている。ただし、この機能は携帯電話が通じるか、Wi-Fiなどのネットワーク通信ができる環境じゃないと使えない。YAMAPのように自動的に位置情報を家族等と共有できるアプリもある。

⑤ 音声ガイダンス(ルート外れ警告)がある

自分で設定した登山ルートを歩いているときに道を外れてしまったら、音声ガイダンスや警告音で教えてくれる機能がついている(すべての登山アプリに搭載されているわけではない)。この機能をONにしておくと、道迷いのリスクを大幅に減らすことができる。

⑥ 登山計画を立てられる

行きたい山の地図上にあるポイントをタップするだけで、コース設定できるのはとても便利。事前にコースの概要を把握できるので、登山のシミュレーションにもなる。中には食料や携行品、緊急連絡先などを入力し、登山届をアプリ上で提出できるものもある。

⑦ ワンタップで整置できる

整置とは地図の向きと、現在地から実際に見えている方角を合わせること。整置することで、周囲の風景と地図に描かれている情報を一致させられる。紙地図とコンパスで整置をするにはある程度の慣れが必要だが、登山アプリならワンタップで可能だ。

⑧ 手軽に地図を拡大できる

整画面上で2本の指を広げたり閉じたり(ピンチアウト&ピンチイン)するだけで、地図を拡大・縮小できるため、紙地図よりも地図の情報が見やすい。等高線の本数を数えるのも、非常に簡単だ。老眼で手元が見えにくい登山者にとっては、とても便利な機能といえる。

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プロフィール

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2026年1月号の特集は「美しき日本百名山」。百名山が最も輝く季節の写真とともに、名山たる所以を一挙紹介する。別冊付録は「日本百名山地図帳2026」と「山の便利帳2026」。

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雑誌『山と溪谷』特集より

1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。

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