三頭山で秋のブナの森と富士展望を楽しむ【紅葉レポート】
読者レポーターより紅葉登山レポをお届けします。寺尾雄二さんは奥多摩・三頭山(みとうさん、1524m)へ。
文・写真=寺尾雄二
色づいた木々と富士山の景色を期待して三頭山へ。平日にも関わらず、JR武蔵五日市駅前から8時22分に出発する都民の森行のバスは40人ほどのハイカーが乗り込み、満員の状態でした。週明けから不安定な天候が続き、晴天予報がこの日のみでしたので、多くの方の山行予定が重なったのではないかと感じました。
乗車後バスは1時間ほどで、終点の都民の森に到着。標高1000m近い場所まで運ばれてくると、バス乗車前と比べ、気温の低さを感じます。
都民の森は、正式には「東京都檜原都民の森」という名前で、東京都環境局によって整備されました。奥多摩三山のひとつ三頭山の東側に位置し、都民が自然に親しみ、森林や林業に対する理解を深めてもらう目的で設立されました。
バス停からは都民の森の中心施設で管理事務所やレストランがある森林館を経由して、三頭大滝に向かいます。ウッドチップが敷き詰められた遊歩道は途中に東側の展望が開けた場所もあり、20分ほどで三頭大滝に到着。周囲の木々は緑が目立ち、紅葉はまだ先といった感じです。
三頭大滝からは、秋川源流の沢に沿った登山道を進みます。東京の山のイメージは、杉林が生い茂った薄暗い山という印象が強いのですが、特別保護区に指定されている三頭山一帯は、ブナを中心とした広葉樹林帯のすばらしい景観が見られます。木々の間から時折差し込む日差しは心地よく、標高が上がるにつれて周りの木々も徐々に色づきが変わってきました。
三頭大滝から1時間ほどで、三頭山頂(西峰)に到着。山頂からは南の方角に富士山が大きく望めます。例年はこの時期には山頂部が雪に覆われた姿のはずですが・・・これも温暖化の影響でしょうか。
三頭山頂周辺の木々は、かなり色付いており、これから先、日を追って紅葉を楽しめる場所も下へと向かっていく感じです。
三頭山からは笹尾根を東方面に下ります。このルートは、ハセツネ(日本山岳耐久レース)のコースと重なっており、耐久レースでは醍醐丸(だいごまる)から笹尾根を三頭山へと向かうよう設定されています。私も半月前に出場しましたが、レース当日は、三頭山付近を深夜0時過ぎに通過していたので、ヘッドランプの明かり以外、周りの景色はなにも見えない状況でした。レース当日と比べると、今日はのどかな気分で歩けます。
三頭山避難小屋を過ぎ、緩やかに登ると大沢山(1482m)に到着します。山頂部にはベンチも設置され、ここからも富士山が大きく望めます。
大沢山を過ぎると、登山道は一気に標高差400mほどの下りとなります。三頭山付近はハイカーと多くすれ違いましたが、避難小屋から先は、人に会わず静かな雰囲気です。大沢山から下ったあとは、緩やかに登り返し、槙寄山(まきよせやま)の山頂へ到着。時間があるので、ここでも山頂ベンチで小休止。三頭山から東に延びる笹尾根は、所々で南側に富士山が望め、歩く人も少なく、奥多摩のよさが充分に味わえます。
槙寄山を過ぎると、すぐに西原峠(さいはらとうげ)に到着。ここから目的地の「数馬の湯」へも直接下れますが、時間があるので、この先の数馬峠まで笹尾根をたどります。この付近の尾根は東京都(檜原村)と山梨県(上野原市)の都県境になっており、昔から両地区を結ぶ峠道が多く存在します。西原峠からは田和峠(たわとうげ)を通り、さらに数馬峠(かずまとうげ)へと向かいます。こうした峠は歴史も感じられます。
数馬峠からは笹尾根を離れ、檜原村方面へと下ります。緩やかな道を進んでいくと途中、50mほど先で、突然、灰色の大きな物体がすごい勢いで駆け降りていきました。おそらくニホンカモシカかと思います。数馬峠からは40分ほどの下りで、数馬の湯に到着。時刻はまだ14時前、露天風呂も併設された温泉にのんびりと浸かり、登山の疲れを癒して帰路に着きました。
(山行日程=2024年10月31日)
MAP&DATA

寺尾雄二(読者レポーター)
埼玉県三郷市在住。定年退職後の現在、週1回のペースで筑波山に登っています。その他、春は残雪の北アルプス、秋は日本山岳耐久レース、元日の雲取山が年間のルーティンです。体力を維持しこれからも山を楽しみたいと思います。
この記事に登場する山
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