見どころたくさん!東京・玉川上水をたどるハイキング②三鷹から玉川上水駅へ

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かつて江戸市中を潤した玉川上水。400年近くもの時を経た今では緑道が整備され、豊かな自然が保たれている。町並みや移ろう自然風景だけではなく、近現代の遺構や技術の結集も点在しており、いろいろな発見や学びが得られるのもおもしろい。

写真・文=中島タツヤ、トップ写真=上水小橋に降り立つと、玉川上水が目線の高さに

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三鷹からスタート

前回は浅間橋から三鷹までの区間を紹介したが、今回はその先三鷹から、西武拝島線と多摩都市モノレールが交わるその名もずばりな玉川上水駅まで。東西に延びるJR中央線からそれて、斜めに北西に向かう形だ。前回よりも長い距離となるが、はたして道中にはなにが待っているのだろうか。

〉玉川上水の全容
玉川上水の全容。地理院地図vectorを加工して作成

JR三鷹駅の北口を出て左に向かい、桜通り沿いにある木々に囲まれた緑道を抜けて、けやき橋の交差点を渡る。交差点の脇には、古めかしい庚申塔の祠があった。

〉緑道
桜通り沿いにある緑道
〉けやき橋の交差点の庚申塔
庚申塔の祠。説明板には享保14(1729)年とあったので、庚申塔自体は玉川上水の後に設置されたものだ

やがて玉川上水は、けやき橋西交差点から右斜め前の細い通り沿いに続いていく。道路のすぐ横に土道が延びているのがなんだか新鮮だ。しばらく歩いていくと、車通りの多い新武蔵境通りに出る。

〉緑道
けやき橋西の先に続く緑道。土道が足にやさしい

新武蔵境通りの信号手前に、「中島飛行機武蔵製作所工場引き込み線橋台跡」の案内板があった。よく見えなかったが、橋台自体は玉川上水にかかる橋の下にあるようだ。かつてこの付近に軍需工場があり、武蔵境駅から引き込み線が延びていたという。

近現代の上水路が近接

新武蔵境通りを渡り、広大な境浄水場を右に見ながら進む。ちなみにこの境浄水場の北西には、狭山丘陵にある山口貯水池(多摩湖)に向かって狭山・境緑道がまっすぐに延びていて、散歩やサイクリングスポットになっている。山口貯水池からはるばるこの境浄水場へ水道管が通っていて、その上に緑道が作られているのだ。境浄水場付近は、近代と現代の上水路が近接する場所といえる。

〉狭山・境緑道はほぼ直線
狭山・境緑道はほぼ直線

ちなみにその狭山・境緑道は約10kmほどで、ほとんどの区間が舗装されている。1カ所だけ、石神井川との交差部分に「馬の背」といわれる尾根上のトレイルが並行する。

〉>狭山・境緑道の「馬の背」
狭山・境緑道にある土手のような「馬の背」。この下を石神井川源流が横切っている。左下に見えるのは緑道の舗装路

千川上水が分岐する境橋へ

やがて境浄水場の門がある桜橋に着き、交差点を渡ると『武蔵野』で知られる国木田独歩(くにきだどっぽ)の文学碑がある。そしてこの先、右側には広い舗装の歩道があるのだが、再び土の道が続く。やや狭いものの、貴重な土道を踏み踏み進んでいく。

〉緑道には立派なサクラの木が立ち並ぶ
緑道には立派なサクラの木が立ち並ぶ

しばらく歩けば、五日市街道の幹線道路と交わる境橋に到着。かつて水回りの管理が行われていた境水衛所(さかいすいえいじょ)があった場所で、立派な玉川上水の碑が立っている。少し開けているので、ひと息つけるポイントだ。

〉玉川上水の碑
玉川上水の碑

この境橋からは、北東に向けて千川上水が分岐し、青梅街道と交わる所までは開渠となっており水の流れが見られる。

〉境橋の境水衛所跡にて
境橋の境水衛所跡にて。千川上水は画像左の吸い込み口へと分岐しているように見えた

千川上水もやはり武蔵野台地上の高台を通っていて、吉祥寺北部を抜けて暗渠に変わってから上石神井、練馬を経て、途中、有楽町線・副都心線の千川駅付近を通る。千川駅の名はまさにこの千川上水から由来しているのだ。さらにその先、板橋方面まではるばる続いていき、西巣鴨に至る。かつてはさらに先、駒込の六義園(りくぎえん)などへと流れていたという。

〉西巣鴨の明治通り沿いには千川上水の石碑や千川上水公園があり、その名が残されている
西巣鴨の明治通り沿いには千川上水の石碑や千川上水公園があり、その名が残されている

ここで都心部周辺の地形を俯瞰してみよう。石神井川、神田川、目黒川、多摩川によって、おおまかに3つの高台が形成されているようにとらえることができる。千川上水は北、玉川上水は中央の高みを流れているが、いずれもいかに遠くまで水を通せるかということが追究されたことと思う。南の高台方面には品川用水が分岐していたようだが、詳細を確認できていないので、今後調べてみたい。品川用水の痕跡を探すというのも、またおもしろそうだ。

ちなみに、それぞれの高台にはかなり複雑に尾根と谷が入り組んでいる。もし東京が森に覆われた山間部だったらと空想すると、相当なルートファインディング能力が試され、間違いなく道迷い多発地域になっていただろう。

〉地理院地図vectorを加工して作成
地理院地図vectorを加工して作成

さて次からは、境橋から先のパートに進んでいこう。

NEXT 五日市街道と並走する直線区間
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