乗鞍高原で雪原ハイク。家族でアニマルトラッキングにも挑戦

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読者レポーターより登山レポをお届けします。今井良子さんは雪の乗鞍高原へ。雪上の動物の足跡や痕跡を探す、アニマルトラッキングにも挑戦。

文・写真=今井良子


雪がある山はそれなりの装備がないと危ないと思っていたこともあり、今まで興味がありませんでした。しかし、冬ならではの氷瀑を見たり、雪の上の動物の足跡を探してアニマルトラッキングをやってみたいと思い、今回初めて短時間の雪山ハイクに挑戦することに。初心者でも比較的歩きやすい乗鞍高原に家族で行ってきました。

冬の乗鞍高原はひっそりとしていて夏のにぎわいはどこへやら。前日に雪が降ったこともあり、観光センターの駐車場は除雪された雪で半分埋まっていて数台の車が停まっている程度でした。

ここでトイレをすませて、もう少し上にある善五郎(ぜんごろう)の滝駐車場へ移動します。駐車場に到着した時、車の温度計は-3℃。寒さを覚悟していたけれど、自宅を出た時の気温と同じだったのでちょっとホッとしました。

トレース
歩きやすいトレース
雪山装備チェーンスパイク
唯一持っている雪山装備チェーンスパイク

チェーンスパイクを履いてまずは善五郎の滝をめざします。雪道はほどよく締まっていてアイスバーンでもなく、トレースを外さなければ雪にはまることもなく、歩きやすかったです。さっそく、動物の足跡と思われるものを発見。これはなんの足跡だろう。

ウサギの足跡?
・・・ウサギかな?

15分ほどで善五郎の滝に着きます。滝は巨大な氷のカーテンになっていて、夏とは全然違う姿に驚きました。さらに驚いたことに、そこを登っている人が! 天然の氷瀑でアイスクライミングをやってました。家族3人でしばしじっと見つめてしまいました。あの高さの壁を垂直に登るなんてすごいですね。

善五郎の滝
善五郎の滝

氷の思い出といえば、私がまだ小学生のころ、学校の隣にスケートリンクがありました。田んぼに水を張った天然のスケートリンクです。そこで毎日スケート靴を履いて夢中で滑っていた記憶があります。楽しかったなぁ。1980年代の話です。しかしいつしか凍らなくなりその文化は絶えてしまいました。いつかこの氷瀑も見られなくなる日がやってくるのでしょうか。

善五郎の滝から緩い斜面を登ること30分。少し汗をかいたところで牛留池(うしどめいけ)に到着しました。あずまやからは乗鞍岳が薄っすら見えました。池は凍っているのか、雪に覆われていて真っ白。あずまやのそばにおもしろい形をした木がありますが、これも雪で少し埋まっていました。これはチョウセンゴヨウマツで「ねじねじの木」の愛称で知られているようです。

ねじねじの木
ねじねじの木
牛留池から乗鞍岳を仰ぐ
牛留池から乗鞍岳を仰ぐ

ここでランチにしてもよさそうな時間でしたが、樹林帯の中の日陰で寒かったので、行動食ですませて先に進むことにします。ペットボトルの水はキンキンに冷えていました。

ここから一の瀬園地まで樹林帯を一気に下っていくと、シュカブラっぽい所があったり、ヤドリギにオレンジの実がなっていたり、お目当てのアニマルトラックも多数見つけることができました。

ヤドリギの実
ヤドリギの実は、鳥の腸を通過したものしか芽が出ないそうです。不思議
4つのアニマルトラッキング
みつけたアニマルトラック。鳥のようなもの、シカのようなもの・・・

鳥が草の種を食べたと思われる跡や、しっぽの跡がついてるものや、なんだかまったくわからないものなど・・・。なんの動物かはわかりませんが、同じ形が直線状に連続しているので、初心者の私にも足跡をみつけることはできました。

夢中になっていると一の瀬園地に到着。ここでは足跡は見当たりませんでした。

冬季は通行止めの一の瀬園地
夏は車で来れるが、冬季は通行止めの一の瀬園地

ここからはゆるく登り返して行きます。 善五郎の滝の下流にあるオルガン橋を渡り、スタート地点の駐車場に戻りました

オルガン橋を渡る
オルガン橋を渡る

今回は、いい天気で短時間だったこととトレースもしっかりあったので、ゴアテックスの夏靴にチェーンスパイク、そして夏用のカッパ上下を着て、インナーは汗冷え対策、といった格好で特に問題ありませんでした。スパッツがあれば最強だったかなと思います。ゲイターとも言うようですが、イイお値段で・・・。雪山用の靴なども高価でなかなか手が出ませんが、靴やスノーシューなどの装備を徐々に整えれば、行ける範囲も広がるでしょうね。

アニマルトラックについては帰ってきてからいろいろ調べてみたのですが、経験不足で動物の特定まではっきりとはわかりませんでした。でも、山に住む動物の存在をとても近くに感じられたことや、家族と「これはなんだろうね」と考えたりして、とても楽しい雪山ハイクでした。山の楽しみ方が一つ増えました。

(山行日程=2024年12月30日)

下山メシ
「そば処 合掌」のざるそば

「そば処 合掌」のざるそば

乗鞍の在来種である番所(ばんどころ)そばを自家栽培して使用しているそうです。以前訪れた時は、新そばの時期でもあり行列ができていました。お蕎麦とてんぷら盛り合わせを頂きました。てんぷらは季節で変わるようで、この時はマイタケやエノキタケなどで、サクサクでおいしかったです。古民家風なすてきなたたずまいです。下山メシにいかがでしょうか。
https://www.go.tvm.ne.jp/~gasshou/

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MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 2時間18分
行程:一の瀬分岐・・・善五郎の滝・・・休暇村乗鞍高原・・・牛留池・・・駐車場・・・一の瀬分岐
総歩行距離:約4,500m
累積標高差:上り 約246m 下り 約246m
コース定数:8
今井良子(読者レポーター)

今井良子(読者レポーター)

長野県在住。山の中で育ったせいか森が好き。そして歩くことが好き。ケモノは怖いのでいつもドキドキしながら里山や街道歩きを楽しんでいる。

プロフィール

山と溪谷オンライン読者レポーター

全国の山と溪谷オンライン読者から選ばれた山好きのレポーター。各地の登山レポやギアレビューを紹介中。

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