エメラルドグリーンに輝く「オハイブルー」の神秘の入り江を探索。海が見渡せる絶景の山歩き オハイ・頂山へ
熊野古道・伊勢路(いせじ)の中でも、難所として知られる八鬼山(やきやま)越えの東側。熊野灘に突出した九木崎(くきざき・くきさき)に、「オハイ」という謎めいた名前の地があります。そこには、小さいながらエメラルドグリーンの澄んだ水をたたえた神秘的な入り江があり、近年“オハイブルー”と呼ばれ、SNSなどでも人気が高まっています。「オハイ」から頂山(いただきやま)へとたどります。
文・写真=根岸真理
美しいオハイブルーをめざして
紀伊半島の東側、三重県尾鷲市にある「オハイ」の地は、筆者が住む場所からだとアクアスに時間がかかる立地のため、なかなか行く機会に恵まれませんでした。数年前のことになりますが、ようやく訪れることができたので、今回はその時のレポートを交えてご紹介しましょう。
その神秘的な入り江が“オハイブルー”に輝くのは、季節によって多少変わるものの、おおむね昼前頃なのだとか。そこで、前泊日帰りで計画。初日は移動を兼ねて、伊勢路の馬越(まごせ)峠越えのコースを歩いて、ゴールの尾鷲(おわせ)駅からJR紀勢本線の九鬼(くき)駅へ。
静かな漁港の集落を早朝出発し、入り組んだ狭い路地を通り抜けて、九木崎方面へ続く遊歩道へ向かいます。
集落が途切れるあたりから山道になります。海岸線と並行に延びる道の山側には石積みが続いており、かつてはこのあたりにも人が住んでいたのかもしれません。
ゆるやかに下っていき、やがて峠へ向かう登りに転じるあたりから沢沿いに下る道へと入ります。やがて海が見え、海岸線を形成する岩場へ。この付近の地名が「大配」=オハイです。
九木崎の南方には三木崎という岬もあり、その間にあるのが九木漁港。戦国時代最強の水軍として名を馳せた「九鬼水軍(くきすいぐん)」発祥の地だそうです。平時は漁師として暮らし、いざ戦となると武器を取って戦ったのだとか。
左右それぞれに「オハイブルー」が見られる入り江があります。海の際はガケなので、転落しないよう足元に気をつけながら探索してみてください。海底までクリアに見えるほど透明度が高い海ですが、午後には陰になるそうなので、昼までには到着したいところです。
プロフィール
根岸真理(ねぎし・まり)
六甲山西端の神戸市須磨区生まれ。現在は六甲山東端の宝塚市在住。アウトドア系を得意とするフリーライター。親に連れられ、歩き始めると同時に須磨の山に登っていたため六甲登山歴60年。アルパイン歴は約30年。 神戸新聞「青空主義」欄で月に1回六甲山の情報(六甲山大学)を発信中。主な著書に『六甲山を歩こう!』『六甲山シーズンガイド春夏』『六甲山シーズンガイド秋冬』など。兵庫県立六甲山ガイドハウスで「山の案内人」ボランティア活動中。
今がいい山、棚からひとつかみ
山はいつ訪れてもいいものですが、できるなら「旬」な時期に訪れたいもの。山の魅力を知り尽くした案内人が、今おすすめな山を本棚から探してお見せします。
こちらの連載もおすすめ
編集部おすすめ記事

- 道具・装備
- はじめての登山装備
【初心者向け】チェーンスパイクの基礎知識。軽アイゼンとの違いは? 雪山にはどこまで使える?

- 道具・装備
「ただのインナーとは違う」圧倒的な温かさと品質! 冬の低山・雪山で大活躍の最強ベースレイヤー13選

- コースガイド
- 下山メシのよろこび
丹沢・シダンゴ山でのんびり低山歩き。昭和レトロな食堂で「ザクッ、じゅわー」な定食を味わう

- コースガイド
- 読者レポート
初冬の高尾山を独り占め。のんびり低山ハイクを楽しむ

- その他
山仲間にグルメを贈ろう! 2025年のおすすめプレゼント&ギフト5選

- その他