サクラ咲く春の宝登山探鳥会で生き物探し

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読者レポーターより登山レポをお届けします。ケロケロさんは春の宝登山(ほどさん、497m)でバードウォッチング。

文・写真=ケロケロさん


サクラの開花報告が相次いだ週末、春の花と小鳥のさえずりを期待して、野鳥の会埼玉の「宝登山探鳥会」に参加しました。申込不要・誰でも参加できて、参加費用は会員100円、一般200円。バードウォッチングしながら宝登山へ登るので、いつもの山歩きの格好で、首には双眼鏡を下げます。

集合時間は朝9時40分、長瀞(ながとろ)駅前の広場にはスコープの三脚が並び、野鳥の会の腕章をつけた人がいてすぐにわかります。コースの説明を聞いている間にも頭上にはツバメが飛び交い、電線でセグロセキレイがさえずりを始めました。ジュジュンという濁った声のセグロセキレイがいつもと違うきれいな声でさえずると、繁殖の季節の到来を感じます。

レトロな雰囲気の長瀞駅
レトロな雰囲気の長瀞駅。観光案内所が隣接する

宝登山神社参道のソメイヨシノはまだほとんどが蕾。しかし山肌にはピンクが点在し、早咲きのサクラは見頃を迎えていました。リーダーさんの声で見上げると、上空にハイタカが舞い、遠くにイワツバメの姿も発見。見る目が多いので、一人で見るより格段に鳥の姿を見つけられるのが探鳥会のいいところです。自分で探せない鳥をスコープに入れて見せてもらえるのも助かります。

参道を旧新井家住宅の方へ折れ、5月にはハナビシソウのお花畑になる「花の里」を通って野土山(のつちやま)方面へ、野鳥の姿を探しながらゆっくり歩きます。

花の里から見る宝登山
花の里から見る宝登山。山肌にピンクが点在する
木のてっぺんでさえずるホオジロ
木のてっぺんでさえずるホオジロ

野土山のソメイヨシノもまだ蕾、おかげで鳥の姿がよく見えます。枝でくつろぐツグミ、食べ物を探すコゲラとシジュウカラ。一瞬ですがアオゲラの姿も見ることができました。

もうすぐ北へ渡っていくツグミ
コゲラは木をつつくのに忙しい
もうすぐ北へ渡っていくツグミ。コゲラは木をつつくのに忙しい

野土山の縁を巻いて宝登山ロープウェイ山麓駅の脇を登っていくと、地面で採餌するイカルの群れに出合いました。その先では冬鳥のビンズイとジョウビタキもいてラッキー。ビンズイは山に登れば夏も見られますが、ジョウビタキはそろそろ見納めですね。

地面で採餌するイカルの群れ
地面で採餌するイカルの群れ。黄色い大きなクチバシが印象的
草むらを歩き回るビンズイ
ガビチョウ
草むらを歩き回るビンズイ。込み入った枝の中ではガビチョウが大声で縄張りを主張していた

いよいよ登山道に入ると道が急になって、つい足元ばかりに視線がいきます。足元の登山道脇にはスミレやセントウソウなどのお花が咲いていました。探鳥会の参加者にはお花に詳しい人や蝶に詳しい人もいて、教わりながら歩くのも楽しいものです。枯れ葉に止まった蝶が、一年のうちたった1カ月、この時期にしか見られないミヤマセセリという蝶なのだと聞いて写真を撮ろうとしたら、残念ながら飛んでしまいました。

コスミレ
ヒナスミレ
コスミレとヒナスミレ。スミレは登山道脇に何種類も咲いていた
ウグイスカグラ
ウグイスカグラも早春の花
満開の桜
ところどころ現われる満開のサクラに癒やされる

ヤマガラやエナガを見つけたり、スミレやサクラを見ながらゆっくり登って、途中あずまやでお昼休憩を挟みながら、13時過ぎに宝登山ロープウェイ山頂駅に着きました。ここでみんなが見た鳥を確認する「鳥合わせ」をして、解散となりました。観察種数は28、結構見ることができて大満足です。

最後にリーダーさんが持ってきたキツツキの尾羽と、いくつかの鳥の尾羽との違いを見せてもらいました。キツツキは尾羽で身体を支えるため羽軸がほかの鳥より硬いことが、触ってみるとよくわかりました。

解散した後はロープウェイで下りる人や山頂付近を散策する人も。私は登ってきた登山道を下りることにしました。

宝登山頂駅と満開のミツマタ
宝登山頂駅と満開のミツマタ
山頂付近の梅園から武甲山を望む
山頂付近の梅園から武甲山を望む
咲き誇る梅の向こうに両神山がうっすらと見えた
咲き誇る梅の向こうに両神山がうっすらと見えた

いつもは少人数やソロで歩くことが多いのですが、このような会に参加して生き物を探しながら歩くこともまた別の楽しみがあります。見たものをその場で詳しい人に教わることができるのも大人数ならでは。みんなで「これはなんだろう?」と首をひねってもわからないこともあって、それはそれで思い出になったり、宿題になったり。

教わりながら見つけた野山の生き物を通して、自然の息遣いを感じることのできた一日でした。

(山行日程=2025年3月30日)

コラム
長瀞桜まつり2025

長瀞は「日本さくら名所100選」にも選ばれたサクラの名所で、3月下旬から4月下旬まで「長瀞桜まつり」が開催されています。さまざまなサクラが植えられており、見頃のピークも移り変わるので長く楽しめるそうです。敷物を敷いて宴会をするような場所はありませんが、お散歩・ハイキングコースになっていて、歩きながら楽しめるようになっています。「春の花見どころマップ」は駅前の観光案内所などで入手可能。観光案内所ではレンタサイクルの貸し出しもあり、下山後に自転車で周るのも楽しそうです。

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 2時間3分
行程:長瀞駅・・・宝登山神社・・・山頂駅・・・宝登山神社・・・長瀞駅
総歩行距離:約6,400m
累積標高差:上り 約358m 下り 約358m
コース定数:9
ケロケロさん(読者レポーター)

ケロケロさん(読者レポーター)

散歩をするように山を歩いて、木々や草花の折々の姿や、生き物との偶然の出会いを楽しみたい。双眼鏡をぶらさげて、関東近郊の山をのんびり歩いています。

この記事に登場する山

埼玉県 /

宝登山 標高 497m

頂上付近までロープウェイが開通しており、年間を通してハイカーで賑わう。山麓の荒川は国定天然記念物の岩畳が広がり、併せて遠足コースとして利用されることが多い。 いつの時期に訪れても楽しめるが、宝登山梅百花園の花が賑わう冬~春にかけてが最も賑わう時期の山。

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