7月のおすすめ低山は、陣馬山。白馬いななく陣馬山を歩く

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低山フォトグラファーの渡邊明博さんに、季節に合わせた低山の魅力を伺う連載の第5回。いよいよ真夏を迎え、低山には不向き、と思われる季節ですが、渡邉さんは、低山ならではの楽しみもある陣馬山を推薦。その理由は…。

気温の上昇とともに蒸し暑さが気になる7月に、「梅雨晴れ」でも「梅雨明け」でも、晴れれば歩いてみたいのが陣馬山です。

陣馬山と言えば、山頂の「白馬の像」が思い浮かびます。特に由来は無く、陣馬山のイメージモニュメントで作られているそうです。

陣馬山を辿るコースは様々ありますが、時間や体力次第で、高尾山への縦走など、歩くルートを広げられますが、ここではJR中央線・藤野駅を起点とした周遊するコースを紹介します。

藤野駅から登山口までは、歩くこともできますが、バスに乗るのがよいでしょう。バス利用なら、行きも帰りもバス停は、陣馬登山口になります。ここから登りは、「一ノ尾根」を辿りましょう。

気温の高い真夏の低山歩きは辛いのですが、緑濃いルートなので、直射日光は防げます。また、いい感じに、所々にベンチが置かれていて、絶好の休息場所になっています。

一ノ尾根、樹木に覆われ、適度な距離でベンチがあるのが嬉しい

 

緩やかな尾根を、汗だくで登り、青空が開ければ、陣馬山山頂に到着します。山頂には4軒の売店があり、乾いた喉を潤すことができます。

山頂から西側を見ると丹沢のほぼすべての山々が見渡せる

 

特に、かき氷は格別! 真夏に陣馬山に登る楽しみといえば、なんといっても、山上でかき氷が食べられる、これに尽きるでしょう。

山上でかき氷を食べながら、大展望を楽しむ! これぞ夏の陣馬山ならではの楽しみ

 

陣馬山山頂からは文字通り360度の展望が素晴らしく、富士山をはじめ、丹沢、奥多摩、相模湾や都心のビル群も見えるので、山頂で過ごす時間をたっぷり取って、時間の許す限り、ゆっくりと寛いでから下山しましょう

山頂のとなりには、生藤山に続く稜線が間近に見える

 

下りは高尾山方面に進み、奈良子峠から奈良子尾根を下ります。途中、林道を横切るところがありますが、やがて現在は営業していない旅館「姫谷」の横に飛び出します。ここからは車道歩きで、朝降りたバス停には約25分で到着します。

栃谷と呼ばれているこの地域には、「陣渓園」「陣谷温泉」の2軒の宿があり、総称して「陣馬の湯」と呼ばれていて、遠方から来る際の宿泊地として登山者にも愛されています。

時間があれば、ぜひ湯につかって汗を流し、山旅の疲れを癒して帰りたいものです。

陣馬の湯には2軒の温泉旅館。宿泊者優先だが、日帰り入浴が可能かは確認してから利用しよう

 

最後になりますが、夏の低山歩きでは、熱中症には十分注意を払いましょう。水分を多めに持ち、水分補給はこまめに行うよう心がけてください。

※編集部より。本文中「陣馬の湯」の紹介に誤りがあり、7月2日に記事の一部を訂正しました。

 

7月の低山サブプラン 権現山 

権現山は、標高1311.9m。高尾から大月までの中央沿線の山の中では、標高の高い部類に入ります。しかし、交通の便が少し悪いため、比較的に静かな山歩きが期待できます。大勢の登山者が登ってくる高尾山や陣馬山のようなメジャーな山とは違う楽しみがあります。

山頂からは、西側以外は展望が得られ、富士山をはじめ、奥多摩の山々や、東京都心のビル群までもが眺められます。 アプローチは、上野原駅からバスで、初戸(はと)か、用竹へ向かい、そこから山頂へ。あるいは、大月駅から、バスで浅川に行き、浅川峠を経て山頂へ。

登山地図中のコースタイムヤマタイムで登山計画を立てる。

プロフィール

渡邉 明博

1957年、東京都生まれ。中学時代に写真を始め、1976年から商業カメラマンとして写真を仕事とする傍ら、「山上から富士山を撮る」をテーマに山岳写真家としても確立。「低山フォトグラファー」として中央線沿線の低山にくまなく通い四季折々の風景を撮影。のべ150日に渡る実踏取材を元に『高尾山と中央線沿線の山』(山と溪谷社)を2016年に上梓。白籏史朗賞日本山岳写真コンテスト入選ほか受賞歴多数。山岳写真ASA会長。(写真=水谷和政)

低山フォトグラファーの気ままな山歩き

冬場はもちろん、真夏であっても、低山には見どころがたくさんあります。 ガイドブック『高尾山と中央線沿線の山』の著者で、「低山フォトグラファー」の渡邉明博さんに、季節季節のおすすめ低山情報を聞きました。

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