サクラのプロムナードを巡る新緑の生藤山へ

今年のゴールデンウイークは10連休。どこへ行こうか悩むところです。残雪の北アルプスや八ヶ岳もいいのですが、1日くらいは、低山ハイキングにしてみてはいかがでしょう? 低山フォトグラファーの渡邉明博さんに、4月から5月にかけてのオススメの山を聞いてみました。
ズバリ、私のお薦めは生藤山です。
サクラで知られている生藤山は、東京都の檜原村と神奈川県相模原市緑区の境界にあり、相模、甲斐、武蔵の三国にまたがり、春の新緑と桜、秋の紅葉など、素晴らしい景色を見せてくれる山です。
ここでは、サクラ咲く尾根を辿り、三国山から生藤山、茅丸、連行山と続く、主稜線を楽しむミニ縦走コースを紹介します。
***
JR中央本線の藤野駅から和田行きのバスに乗り、鎌沢入口バス停で下車します。
県道から左に分かれ、沢井川に架かる橋を渡り、鎌沢への車道を進みます。連行沢沿いを緩やかに登って行くと、県立鎌沢駐車場があります。マイカー登山ならば、ここが利用できます。


さらに少し先の分岐を左上に進み、熊野神社を見て、登里の集落に入ると、左側にビニールハウスと道標が立っています。車道を離れて左に上がれば鎌沢休憩所に着きます。あづまやとトイレがあり、休憩に適しています。
生藤山登山口の石碑の先で、最奥の民家脇から登山道に入ると、すぐに陣馬山が見えてきます。さらに進むとベンチがある尾根に出ます。

開花期には華やかな八重桜の並木を抜けると、鳥居と祠が建つ熊野神社に出ます。
社の横を通り過ぎ、緩やかな尾根通しの道を辿って行くと石楯尾神社からの道と合流して佐野川峠に到着します。


そのまま尾根を進むとサクラ並木に変わり、お花見をしながらの尾根歩きを楽しめるでしょう。右手には生藤山から続く陣馬山への稜線が見える。やがてサクラが見事な甘草水に着きます。

テーブルとベンチがあり、撮影タイムでゆっくりとしたい場所です。広場の一角には甘草水案内板があります。せっかくなので水場に寄り道しましょう。尾根を右に100m進めば水場の甘草水だ(甘草水の水は、煮沸するなど、自己責任で)。
水場から尾根に戻り、登って行くと、軍刀利神社分岐を見送り、三国山へ進んで行きます。この辺りも山桜が綺麗で、なだらかな登山道が続きます。巻道を分け、少し急な登りになってひと汗かくと三国山に到着します。


生藤山からは雪を抱いた富士山がバッチリ!
雑木林に囲まれた広い山頂ですが、テーブルとイスが多く置かれているため、いつも多くの登山者で賑わっています。山桜の古木があり、開花期は富士山とのマッチングが見られます。
またこの三国山は、稜線の十字路で、左に進めば浅間峠、右が主稜線になります。休憩を済ませたら案内板の前を通り、東の尾根へと進んで行くと、あっという間に生藤山に着きます。

生藤山の山頂は、展望が良くないというイメージが強いのですが、西側の展望が良く、富士山もバッチリ見えるピークです。

山頂からは直ぐに急降下の岩場になります。慎重に下り終えると山頂を巻いてきた道と合わさり、進んで行きます。この稜線はツツジが多く、ツツジの時期に歩けば見応えがあります。


再び巻道がありますが、真っすぐに階段状の尾根を登って行くと茅丸に着きます。

今コース最高峰の山頂は、ベンチがあるものの、さほど展望は良くありませんが、ほんの少し西側の樹間が開いており、樹がフレームとなって丹沢の山々が絵画のように見えるのがポイントでしょう。
茅丸を後にして階段を下り、その後、なだらかな広葉樹の広い尾根の暖急を繰り返し行くと、分岐でベンチのある連行峰に着きます。展望はなく、万六尾根で柏木野バス停への道を分けています。

連行峰からはアップダウンの少ない尾根道が続き、四角い石の石碑が置かれている「山ノ神」の分岐に出ます。直進すれば醍醐丸へ続きます。

分岐をあとに南面の斜面に入ると、左右にターンをしながら下って行きます。やがて左が大きく開け、丹沢の山々や谷筋の見事な光景が目に入り、足を止めてしまうに違いありません。

さらに下ると、何故こんな山奥に? と思わせる一軒家が建っています。ここからは段差もない緩やかな下りが続き、沢の流れが近づいてくると林道に変わります。左手に堰堤が見え、舗装道に変わり、山あいを真っすぐ進みます。
左に祠があるところで橋を渡ると林道が合流。そのまま下り続けると集落の中を歩くようになり、広い車道に出るでしょう。

右に道なりに進めば和田のバス停に着きます。ここからバスに乗り藤野駅に戻って、味わい深い山旅の一日が終了します。
みなさんもぜひ新緑の低山を楽しんでください!
生藤山 登山マップ
『高尾山と中央線沿線の山』高尾山と中央線沿線の山々の徹底コースガイド決定版! 南に丹沢山塊、北に奥多摩というメジャーエリアに挟まれた中央線沿線の山々は、日本百名山のような有名山岳こそ含まれないものの、首都圏の登山者から四季を通じて親しまれている。鉄道駅から直接登ることができる身近さから、根強い人気がある。著者が140日以上に渡って実踏調査したコース案内と、写真集のような美しい山岳写真でまとめられたガイドブック。富士山展望の山も多数収録。
Amazon で見る Rakuten で見る※本コラムの執筆者、渡邉明博さんが撮り下ろした絶景の富士山写真で構成するガイドブック『絶景の富士撮影ガイド』が、6月中旬に発売予定!
プロフィール
渡邉 明博
1957年生まれ。富士山撮影をライフワークとし、最近では中央線沿線の山をはじめ、低山の四季折々の風景を撮り続けている。『すばらしい富士に出逢える!富士山絶景撮影登山ガイド』(山と溪谷社)をはじめ、富士山関連の著書を多数執筆。山岳写真ASA会長。(写真=水谷和政)
低山フォトグラファーの気ままな山歩き
冬場はもちろん、真夏であっても、低山には見どころがたくさんあります。 ガイドブック『高尾山と中央線沿線の山』の著者で、「低山フォトグラファー」の渡邉明博さんに、季節季節のおすすめ低山情報を聞きました。
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