北アルプス雲上の楽園、五色ヶ原へ

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読者レポーターより登山レポをお届けします。KEI☆景さんは北アルプス・五色ヶ原(ごしきがはら)へ。

文・写真=KEI☆景


五色ヶ原は中部山岳公園内、北アルプス北部にあり高山植物や池塘に彩られた「雲上の楽園」といわれています。五色ヶ原へのルートは立山室堂(たてやまむろどう)、黒部湖(くろべこ)、薬師岳(やくしだけ)と複数ありますが、今回は室堂からのピストンです。

1日目:室堂~一の越~鬼岳~獅子岳~ザラ峠~五色ヶ原

立山駅からケーブル、高原バスを乗り継いで約1時間。立山室堂ターミナルに到着しました。お天気はあいにく小雨で、標高も2450mと高いためひんやり寒いです。ここで今回の同行者と待ち合わせ。待ち合わせの相手は、息子です。

息子は5歳で富士山、11歳で槍ヶ岳(やりがたけ)に登り、18歳を過ぎてからもあちこちの名峰へ一緒に登ってきました。そのころには立場は逆転。今では私の頼もしい専属ガイドです。今は25歳で立山で働いており、4カ月ぶりの再会で、久しぶりの親子登山です。

さあレインウェアを着込み出発です。まずは一の越へ向かいます。

一の越からゼブラ状の立山三山
一の越からゼブラ状の立山三山

立山名物の石畳の両脇には、いきなりチングルマやイワカガミなどかわいいお花たちのお出迎えです。

ミヤマキンポウゲ
ミヤマキンポウゲ
ミヤマキンポウゲ
チングルマとイワカガミ
チングルマとイワカガミ
ハクサンフウロ
ハクサンフウロ

雪渓が数カ所残っていました。ほどなくして一の越に到着です。

イワギキョウ
イワギキョウ
イワツメクサ
イワツメクサ。実は花弁は5枚だそうです
イワベンケイ
イワベンケイ
ハクサンチドリ
ハクサンチドリ
クロユリ
クロユリ
イブキジャコウソウ
イブキジャコウソウ

ここから五色ヶ原方面へ。いくつか山を越えていきますがまずは浄土山(じょうどさん)。

ここには富山大学の気象に関する研究施設があります。その先に龍王岳(りゅうおうだけ)、鬼岳(おにだけ)、獅子岳(ししだけ)が待っています。山のネーミングもおもしろいし、いたる所に高山植物が咲いていてキョロキョロ。目も足も寄り道だらけで、なかなか前に進みません。

ヨツバシオガマ
ヨツバシオガマ
クルマユリ
クルマユリ

鬼岳を過ぎると本格的な雪渓が残っていました。ここはアイゼンをつけて一歩一歩慎重に歩きます。雪渓を越えると岩やハシゴの登山道になります。雨で濡れているので慎重に歩きます。

獅子岳に向かう途中の雪渓

しばらく行くと獅子岳到着です。雨足も強くなってきました。残念ながら視界ゼロです。

獅子岳

ここからザラ峠まで下りが続きます。足元も悪くくたびれてきた時、あっ! ライチョウ!

ライチョウ
元気をもらえました

ザラ峠を過ぎてまた登り返し! あと少し! がんばって歩くと五色ヶ原の入口が見え、その先に木道が続きます。

五色ヶ原の木道

赤い屋根の五色ヶ原山荘が見えてきました。長かったー。

五色ヶ原山荘

小屋番さんたちが温かく迎えてくださいました。なんと今日はお風呂に入れます。冷えた体にありがたいです。夕食をいただいて、おやすみなさい。

2日目:五色ヶ原~獅子岳~鬼岳~龍王岳~浄土山~室堂

五色ヶ原

翌朝4時。快晴! 空が真っ赤に染まってきて、5時ごろに針ノ木岳(はりのきだけ)の後ろからみごとな御来光がお出ましです。

五色ヶ原

青空に赤い屋根の五色ヶ原山荘とアルプスの山々、ずっと延びる木道。憧れの五色ヶ原の風景です。

朝食のお弁当をいただき、さあ来た道を戻ります。雨の翌朝のお花たちは生き生きと輝きを増しているように見えます。

五色ヶ原

槍・穂高、裏銀座、遠くに富士山、南アルプス、八ヶ岳連峰! 心弾むとはこういうことを言うのですね。山とお花の舞踏会です。

槍穂高、裏銀座、遠くに富士山、南アルプス、八ヶ岳連峰
息子とイエーイ

五色ヶ原は溶岩台地でできています。左を見れば立山カルデラ、右を見ると美しいお花。この対比もまたおもしろい。

立山カルデラ

さぁザラ峠から獅子岳へ登り返し。急坂ですがお花と見渡す限りの絶景が背中を押してくれ足取りも軽くなります。

ザラ峠から獅子岳への登り返し
龍王岳

獅子岳からごつごつした岩道を過ぎると、雪渓を越えて鬼岳東面です。大きな石や岩場がたくさんの登山道です。龍王山へ登り返すと、歩いてきた道がずーっと見え、がんばって歩いた自分へのごほうびのように思えます。

立山室堂

帰りもキョロキョロ景色を楽しみ、寄り道しながら歩いていると、あっという間に室堂ターミナルへ戻ってきました。これで今回の山行はおしまい。息子ともバイバイです。

立山室堂

でも楽しみはこの後もまだ続きます。高原バスとケーブルを乗り継ぎ、立山駅から富山市内へ。お風呂は日帰り温泉「ゆくりえ」。茶色っぽい、いいお湯でとってもさっぱり。

糸庄 もつ煮込みうどん

その後はもつ煮込みうどんで有名な糸庄へ。今回は鍋焼きうどん。ぐつぐつでおいしい。

雲上の楽園といわれる五色ヶ原。ぐるりとアルプスに囲まれた台地に、高山植物が咲き乱れる。幸せいっぱい安らぎをいただけた山行でした。

(山行日程=2025年7月17~18日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:1泊2日
コースタイム:【1日目】4時間50分
【2日目】4時間30分
行程:【1日目】
室堂ターミナル・・・北峰・・・南峰・・・獅子岳・・・ザラ峠・・・分岐・・・五色ヶ原山荘
【2日目】
五色ヶ原山荘・・・分岐・・・ザラ峠・・・獅子岳・・・南峰・・・北峰・・・室堂ターミナル
総歩行距離:約13,200m
累積標高差:上り 約1,558m 下り 約1,558m
コース定数:37
KEI☆景(読者レポーター)

KEI☆景(読者レポーター)

絶景ハンターです。頂上からの展望、山並み、木々、水の流れを見ている時間が好き。大阪南部、奈良を中心にあちこち出かけています。

この記事に登場する山

富山県 / 飛騨山脈北部 立山

浄土山 標高 2,831m

 立山連峰の1つで別山、雄山とともに立山三山と呼ばれている。ただ、雄山と別山が巨大な起伏の一連の山塊なのに対して、浄土山は一ノ越の鞍部をはさんで少し離れている点が違っている。  アルペンルートの終点室堂から一ノ越へ出て、左(北東)へ登れば雄山から大汝山、別山へ、右(南西)に行けば浄土山で、さらに龍王岳、鬼岳、獅子岳からザラ峠、五色ガ原へと続く縦走路になる。そこで、立山縦走といえば一ノ越から雄山へ向かい、立山三山縦走となると室堂山から浄土山に登り、一ノ越への下りを追加することになる。  浄土山の祠のある山頂は縦走路から北西に少し離れている。富山大学立山研究所があり、北側にカールもある。  登山コースは室堂から一ノ越経由で所要2時間。室堂山回りで1時間30分。

富山県 / 飛騨山脈北部

龍王岳 標高 2,872m

北アルプス、立山連峰の南部にある山。縦走路からは少し外れているが、北側から10分ほどで山頂に立つことができる。 山頂からの展望は360度方向に広がり、立山連峰、後立山連峰、薬師岳、五色ヶ原などの眺望が素晴らしい。

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