涼しくて景色も最高。北アルプスの天国、室堂から奥大日岳へ
ビストロきっちょむ登山隊・興津剛さんによる登山レポート。今回は室堂(むろどう)から奥大日岳(おくだいにちだけ、2611m)へ。
文・写真=興津 剛
山の魅力を伝えるサイト「ビストロきっちょむ登山隊」を運営している興津(おきつ)と申します。
いやぁ~暑いですね、マジで暑い! 伊勢崎市で国内最高気温となる41.6℃! なんだそれな気温を記録した今日この頃、みなさまいかがお過ごしですか?
もはや暑さが限界を突破している感が半端ないですが、そんなアヂー夏の日に、我々は涼しい富山県の立山・室堂に行ってきました! 室堂は標高2420mほどの場所にあり、上高地と双璧をなす日本有数の山岳リゾートです。我々が行った日は、晴れた日中の気温が19℃! 誤字ではありません、本当に19℃です!(笑)いやぁ~マジで別世界でした。
初めて室堂に来たのは2016年。バスやロープウェイやケーブルカーなど、散々乗り換えて室堂のターミナルを出た時、本当に思いました。「ここは天国なのか!」って!
2420mといったら、そこいらの山の山頂より標高が高いくらいだから、通り抜ける風が本当に爽やか。雲もすごく近いし、周囲を3000m前後の山々に囲まれて、景色も圧巻。マジで天国です。今回はそんな天国、室堂から奥大日岳に登ってきました!
長野県側のスタート地点は扇沢(おうぎさわ)です。この日は日曜日だったから、無料駐車場には半端じゃない数の車が停まっていました。
本日の目的地は室堂です。扇沢から室堂までは往復で12,300円なり。
扇沢から室堂までは、電気バス→ケーブルカー→ロープウェイ→電気バスと4つを乗り継いで向かいます。途中の黒部ダムの上を歩くことができます。こんな山奥にこんなどでかいダムを作った昔の人は本当にすごい!
散々乗り継いで、いよいよ、室堂に着いたら……どかーーーん!!!っと、曇り!! なんてこった!(笑)
でも一切労せず、文明の力をフル活用して簡単に2420mの世界に来ることができます。毎回のように書いているけど、初心者の方の夏山の基本は、「ロープウェイなどで楽して標高の高いところまで行く!」です。「まずはやっぱり標高の低い低山でしょ!」って低い山に行くと暑すぎて山が嫌いになっちゃうから、低山には行っちゃダメです(笑)。
この日は天狗平山荘に泊まりました。天狗平山荘までは、室堂から歩いて30分なり。のんびり山に泊まるのって本当に最高!
室堂から天狗平山荘までの道は「チングルマロード」って名前なんだって。その名の通り、めちゃくちゃたくさんチングルマが咲いてました。チングルマの綿毛もかわいい! チングルマがパーティ状態で、まさに「チンパ!」。←これ山岳用語です(笑)。※違います
こちらが本日の宿泊地、天狗平山荘。お部屋の種類や時期にもよると思うけど、我々が泊まった時は1泊2食4人部屋で1人18,500円でした。
登山をやる!って感じの宿泊者は半分以下だったかな。家族で観光に来ました!的な方の方が多かった印象です。そんな優しい時間が流れる山荘でした。
夕飯をいただいて外に出ると、大きな虹が出ていました。明日は晴れるといいなぁ。
2日目は夜明け前から行動開始。夜明けとともに奥大日岳に登ります。昨日虹を見ながら「晴れるといいなぁ~」なんて16歳の乙女みたいなことを42歳のおじさんは思っていたんだけど、結果はこのありさま! なんて日だ! やっぱりおじさんはつらいなぁ〜!(笑)
室堂エリアでは唯一テントを張れる雷鳥沢キャンプ場。ここもお天気がよかったら、「ドヒャーー!」って感じの絶景が広がっているんだけど、この日は、「はーぁ……」な感じの景色でした(笑)。
晴れていたら絶景なんだけど、現場はこのお天気。天気予報では完全なる晴れ予報だったんですけどね(笑)。まぁこんな日もまた、山あるあるですね。
山頂方面は絶望的な感じです(笑)。奥大日岳の山頂で朝日を見ようとしたっぽい登山者が、トボトボと数組下りてきて、すれ違いました。「予報だと晴れって話だったんですが……」そう彼らは言うと、うつろな顔をしてどこかに行ってしまいました。
こちらが奥大日岳の山頂です(笑)。気持ちがいいほどのガス!
奥大日岳の山頂からは剱岳がカッコよく見えるって話だったんだけど、この日は大事な先端部分だけモザイク処理が施されておりました(笑)。
しかし! そんなモザイク処理には負けないぜ! この日、我々は山を下ったら温泉に浸かって帰るだけなので、全然急いでない!ってことで、のんびりと山頂で1時間粘って、無事に剱岳の雄姿をゲットすることができました。
やっぱり早め早めに行動して時間に余裕があると、山ではいいことがありますね。
のんびりと下山してくると、室堂方面もガスが取れてきました。このまま、来い来い来い!
来たーー!!
晴れると景色がマジで雄大。やっと室堂が天国モードになってきました。
立山の主役、雄山くん(3003m)もついに登場! こんなにいいお天気になると、写真ばっかり撮っちゃって全然先に進まないですよね。そんな時間が本当に最高です! やっぱり山っていいなぁ〜。
雷鳥沢まで戻ってくると、この日の気温は19℃。いやぁ〜心地よかった。本当に天国でした。
この雷鳥沢までだったら観光の方でも来ることができます。日本の方かはわからないけど、キャミソールにショートパンツ、お化粧ばっちりのデートコーデの女の子もいましたよ(笑)。そんな若いカップルから、のんびりと歩くおじいちゃんおばあちゃん、一生喋り続けているおばちゃんたちまで、いろんな方が楽しめるのが室堂の魅力ですよねぇ。
みくりが池温泉の手前まで来たら、やっと本日の主役、奥大日岳くんが登場しました。真ん中やや左のぽっこりが山頂かな。あんな遠くまで歩いて行ったのか! その割にはそんなに大変だった感じはしなかったから、人間の足って本当にすごいですよねぇ。
これまでいろんな山に行ったけど、この室堂は本当にトップレベルで気持ちがいいので、本当におすすめです。きっとあなたも初めて行ったら思いますよ、「ここは天国なのか!」って(笑)。
登山をする方は、奥大日岳までのんびりと行ってもいいし、雄山の山頂にある神社にお参りに行ってもいいし、もちろん室堂周辺をのんびりとハイキングするだけでもマジで最高!
あっつい市街地を抜け出して、涼しい天国にぜひ行ってみてください。まぁでもさすがにキャミソール&ショートパンツだと寒いと思うので、服装にはご注意ください(笑)。
(山行日程=2025年8月3~4日)
この記事に登場する山
プロフィール
興津 剛(おきつ・つよし)
静岡県静岡市出身。本業は登山隊の隊長。 副業はフォトグラファー、キャニオニングガイド、WEBデザイナー。2011年より山のHP「ビストロきっちょむ登山隊」を運営。最近では登山ツアーや、ポップアップカフェなど、みんなで「ワハハ!」ってできるイベントを定期的に開催中です。山に行かない日はジョギングと水泳をして、ダイエットに励む日々。今年の目標は、あと2kg痩せたい!
今がいい山、棚からひとつかみ
山はいつ訪れてもいいものですが、できるなら「旬」な時期に訪れたいもの。山の魅力を知り尽くした案内人が、今おすすめな山を本棚から探してお見せします。
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