何種類わかりましたか? 定番の紅葉する葉っぱ8枚

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自分の知っている葉っぱと山で出会うと、知り合いに会ったようでうれしいですね。今回はアルプスや高山で出会うことが多い植物の葉っぱを、カラーで紹介します。植物図鑑作家で、環境ジャーナリストの林将之先生に教えてもらいました。

文・写真=林 将之

目次

樹木図鑑作家の林 将之さん
林 将之(はやし・まさゆき)
樹木図鑑作家、環境ジャーナリスト。千葉大学園芸学部卒業。国内外の森で葉を収集し、スキャナで撮影。木や自然、生態系のことを広く知ってもらうために、執筆、観察会、講演活動に携わる。主な著書に『新 紅葉ハンドブック』(文一総合出版)、『秋の樹木図鑑』(廣済堂出版)、「樹木の葉」(山と溪谷社)、『葉で見わける樹木』(小学館)、エッセイ・自伝『葉っぱはなぜこんな形なのか?』(講談社)など。

ナナカマド[七竈]

バラ科の小高木
分布:北海道〜九州の山地〜高山
紅葉:赤
時期:9月下旬〜11月上旬

ナナカマド

北国で真っ赤に紅葉する木の代表種。赤い実も同時につき、冬の間もよく目立つ。樹林帯に多いが、ハイマツ帯にもウラジロナナカマドに交じって点在する。小さな葉が羽のように並んで一枚の葉を構成し、ふち全体にギザギザがある。7回かまどに入れても燃え残ったことからこの名がついたとされる。

ダケカンバ[岳樺]

カバノキ科の高木
分布:北海道〜中部地方、奈良の高山
紅葉:黄
時期:9月下旬〜10月下旬

ダケカンバ

森林限界の周辺に多い高山を代表する樹木。シラカバに似た白い幹がよく目立ち、秋は黄色い紅葉と相まって美しい。樹皮はシラカバより少しオレンジ色を帯び、葉のすじ(側脈)が多いことが違い。葉は落ちるとすぐ茶色くなる。名は山岳に生えるカバノキの意味。

チングルマ[稚児車]

バラ科の小低木
分布:北海道〜中部地方の高山
紅葉:赤
時期:9月中旬〜10月中旬

チングルマ

高さ10㎝前後の小さな高山植物で、カーペット状に群生することが多い。秋は毛が生えた風車のような実を直立してつける様子が目立ち、これを稚児の風車に見立てたことが名の由来。葉はダイコンの葉を小さくした形で、赤橙色に紅葉して鮮やか。

ハウチワカエデ[羽団扇楓]

ムクロジ科の小高木
分布:北海道〜中国地方の山地
紅葉:赤、オレンジ、黄
時期:10月上旬〜11月上旬
ハウチワカエデ

天狗が持つ羽うちわのような、丸く切れ込みの多い葉が目印。オオモミジやヤマモミジの葉は普通7つに切れ込むが、本種は9〜11に切れ込む。ブナやミズナラの樹林帯に生え、赤〜黄色まで個体差のある紅葉が美しい

ウラジロナナカマド

バラ科の低木
分布:北海道〜中部地方の高山
紅葉:赤、オレンジ、黄
時期:9月中旬〜10月中旬
ウラジロナナカマド

日本アルプスでは紅葉が最も目立つ木で、個体によって赤から黄色まであり、涸沢カールの主役も本種。高山のハイマツ帯だけに分布し、よく群生する。葉の裏がやや白く、葉先がナナカマドより丸く、葉の先半分にだけギザギザがあることがナナカマドとの違い。

ミネカエデ[峰楓]

ムクロジ科の低木
分布:北海道〜中部地方の高山
紅葉:黄
時期:9月下旬〜10月中旬
ミネカエデ

高山のカエデといえば本種。複雑に切れ込んだ葉の形が特徴で、紅葉はふつう黄一色で鮮やか。ただし、葉先が長く伸びる類似種のコミネカエデ、ナンゴクミネカエデなどは赤〜オレンジ色に紅葉し、西日本の山地にも分布する小高木。

オオカメノキ[大亀の木]

ガマズミ科の低木
分布:北海道〜九州の山地〜高山
紅葉:赤、オレンジ
時期:10月上旬〜11月上旬
オオカメノキ

亀の甲羅のように大きな丸い葉が特徴で、秋はやや暗い赤〜オレンジ色に紅葉してよく目立つ。果実は赤から黒色に変色し、紅葉と同時に見られて美しい。樹林帯に多く、高山にもしばしば生える。虫食いが多いためか、ムシカリ(虫狩)ともいわれる。

ヤマウルシ[山漆]

ウルシ科の低木
分布:北海道〜九州の低地〜高山
紅葉:赤、オレンジ、黄
時期:9月中旬〜11月下旬
ヤマウルシ

身近な野山から高山まで明るい場所に生え、他種よりも早く鮮やかな赤〜オレンジ色に紅葉してよく目立つ。日陰では黄色く色づく。小さな葉が羽状に並んで一枚の葉をつくり、中央の軸は赤色を帯びることが多い。樹液が肌につくとかぶれるので注意。

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