どんなところに気をつければ良い? 地図読み山行のチェックポイント

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POINT
  • 事前のイメージトレーニングを忘れずに
  • 意外とチェックポイントは沢山ある
  • GPSを使わないのが、読図力上達の近道
本日のお悩み

地図読みの練習では、どんなところに気をつければ良いですか?(20代/男性/登山歴1~2年)

地図読みの上達には、本や講習会で得た知識を、実践するのみ!なわけですが、登る山が決まって、いざ山へ!となったら、どのようなポイントをチェックすれば良いのでしょうか。今回はそこのところを、地図読み達人の山のセンパイたちに聞いてみることにしました。ちなみに、地図読みの練習におすすめの山としては「軽登山ができる」「変化に富んだ地形」「複数の道がある場所」という特長がある山だそうです(くわしくはこちら)。

実践の前にイメージトレーニングを!

めざせ地図読みの達人!と意気込んで、山に行くことになったら、当日はとりあえず地図とコンパスを持って出かけるだけで大丈夫なのでしょうか。何かやっておくべきことがあるような・・・。

「今はシカなどの獣道もしっかりできているため、迷いやすいです。なので、分岐点だけでなく、枝沢の数や左右に目印となる他の山、地形を把握して地図をもとにイメージトレーニングをすると良いでしょう。」とは、盛岡山友会の下机さん。やっぱり確認しておくことがいっぱいありました〜。当日困らないように、地図を読んで、どんな山なのかイメージトレーニングをしておくことが大事なようです。それから、「アクシデントが起こった時のエスケープルートも必ず確認し、登山道や山小屋の状況も確認しておきましょう」とのこと。下机さんによると、登山道や山小屋については、地元の観光課に聞くと教えてくれるみたいです。地図読みの実践は家からすでにはじまっています!

具体的なチェックポイントとは?

イメージトレーニングもばっちりやったところで、実際に地図読み登山をするときにどんなことをチェックすべきでしょうか。山センパイの若山さん(K9-SAR山の会)と清水さん(あつた勤労者山岳会)が、「いつ・どこで」「何を確認するのか」という具体的なチェックポイントを、次のように教えてくださいました。

スタート時 出発地点をしっかり地図で確認
休憩時 いまどこにいるのか? どちらに進むのか?
分岐点 どちらに進むのか?
植生が変わってきた時 いまどこにいるのか?
ルートが曲がる時 いまどこにいるのか? どちらに進むのか?
鉄塔・建造物・山などの景色が見えた時 いまどこにいるのか?
急登が出てきた時 どのくらいの距離? 角度は? 標高は?
横に尾根・沢・稜線が見えた時 地図上の、どれかな?
地図に何かマークがある時 実物を探してみる

こうみると、けっこうチェックポイントがあるんですね! 以上のポイントをひとつひとつ気にしながら、丁寧に行動することが地図読み上達への近道かもしれません。

地図読み登山ではGPSは使わない

日常生活で紙の地図を広げて見ることって、そういえばほとんどなくなりましたねぇ。スマートフォンの普及で、GPSのアプリを使えば自分がどこにいるか誰でも瞬時に知ることができて、おまけに目的地までどうやっていくかの道案内までしてくれます。このGPS機能を山で使うというのはどうなのでしょう、先輩に意見を聞いてみました。

「登山ではGPSは使用しないこと。読図力が上がらなくなるからです。GPSを使うのは、実際歩いたルートの確認や反省に活用するか、行動中に完全に現在地を見失った場合などの非常時に使うにとどめましょう」とは、アスリートさん。確かに、GPSに頼っていては、地図読みの練習になりませんよねぇ。いざという時のために、自分の知識と技術で地図を読むワザを磨きましょう!

プロフィール

下机 勉(盛岡山友会)

山に行く時に楽しみにしていることは「仲間との交流」という60代。仲間と笑い語らうべく、日々「山ごはん研究」に勤しんでいる。岩手県在住で、好きな山は早池峰山。「積雪期の早池峰山は、泳ぐようなラッセルが楽しめますよ!」とのこと。

⇒「盛岡山友会(岩手県勤労者山岳連盟)」の講習会などイベント情報

若山 望(K9-SAR 岳の会)

高校時代に山岳部へ入部、山登りを基礎から学んだ登山歴50年の大ベテラン。若いころはバリエーションルートを含む単独行も多くこなし、一歩間違えは死... というようなケガをしたことも。中学の頃から気象に興味をもち、「ラジオ天気図」を登山に役立て、それらが高じて気象予報士の資格も取得。

清水 美帆(あつた勤労者山岳会)

お気に入りのコースは「北穂南陵テント場に泊まってからの~大キレット歩き!」と答えるほど岩稜帯歩きが好きな40代。山ごはんに使えそうな食材の発掘が得意。最近は、下山後のお楽しみ(温泉)を決めてから、行く山やルートを決めている。

⇒あつた勤労者山岳会(愛知県勤労者山岳連盟)

アスリートさん

登山歴40年の60代。バックパッカーに興味のあった20代後半から山登りを始め、30代半ばで山岳会に入会してからは縦走~岩・沢・雪山とオールラウンドに活動。現在は後継者育成を目的とした教育的な山行を行なっている。お気に入りの山域は、剱・立山エリア。

登山のお悩み・解決します

「下り坂が苦手」「読図のコツをつかみたい」など、登山に関するお悩みを、山のセンパイたちが相談に乗り、解決方法を指南します。

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