紅葉の西沢渓谷で五感を癒やすハイキングと甲州湯めぐりの旅【紅葉レポート】
読者レポーターより登山レポをお届けします。紅葉の見頃を迎えた週末、山梨県の西沢渓谷(にしざわけいこく)へ! 自然が織りなす造形美を間近に堪能し、ハイライトは、豪雨災害を乗り越えて整備された「七ツ釜五段の滝」 。下山後は甲州の温泉に立ち寄り、心身を癒された山旅になりました。
文・写真=naobon
MAP&DATA
塩山駅からバスで西沢渓谷入口へ
晴れ予報の11月の週末、紅葉を存分に楽しみたいと思い、山梨県の西沢渓谷に行きました。西沢渓谷は、これまで何度か別の季節に訪れていましたが、紅葉時期のハイキングは初めてでした。
塩山駅発9時5分発のバスで、西沢渓谷入口まで約1時間の道のりです。8時30分の始発のバスは満車で2台出動したとのことでしたが、9時過ぎの第二便はそこまで混雑はありませんでした。バスでの道中、乾徳山(けんとくさん)登山口を過ぎたころから、木々の彩も鮮やかになってきました。里山ののどかな紅葉の風景に、ほっこりします。
10時5分に西沢渓谷入口のバス亭に到着。バス停脇の茶店で、行動食によもぎ餅を購入。つくりたてのツヤツヤで、香り豊かなよもぎ餅です。
清流と紅葉を楽しむ
バス停から、30分ほど紅葉のトンネルのような道を歩くと、右手に甲武信ヶ岳に向かう登山口がありました。山に向かう道は、上に上がるにつれ紅葉から冬の装いになってくるのでしょうか。先週歩いた経ヶ岳(きょうがたけ)が思い出されます。
二俣吊橋から見える山と人工の水流のコントラストが美しく輝きます。
二俣吊橋を渡り終えると、西沢渓谷入り口の看板があり、いよいよトレッキングスタートです。ここからはアップダウンのある渓谷の道となります。左手に沢筋を見ながら、時に高巻き、時に沢のすぐそばを歩く、変化に富む山道が続きます。さわさわと流れる水音が、晴れた空に心地よく響きます。
10分ほど歩くと水勢豊かな、「三重の滝」に到着しました。
三重の滝から、人面岩を過ぎ、さらに進むと、遠くに紅葉に囲まれた「竜神の滝」が見えました。竜が天に向かって立ち上っていきそうな神秘的な雰囲気を感じます。
さらに20分ほど歩くと、母親の胎内をイメージしたという、「母胎淵」に着きました。渓谷の高みから、自然の力でできた不思議な岩のくぼみと勢いある水の流れを、見ることができます。
しばらく渓流沿いの道となります。ところどころ岩が濡れていて、すべらないように注意しつつ、カエル岩などの奇岩や、紅葉、水音を楽しみながら、歩きます。
メインスポット「七ツ釜五段の滝」
渓谷沿いの道を登り、方丈橋を渡ると、本日のメインである七ツ釜五段の滝の下段部分が見えました。紅葉の深い渓谷に、段々に連なる滝と滝つぼに心を奪われます。ここは2年ほど前の豪雨災害で崩落した地域ですが、新たに通路が整備され、滝を見ながら安全に歩けるようになっていました。地元の方々のご尽力に感謝です。しばし滝見をしながら、渓谷入り口でゲットしたよもぎ餅をほおばり、五感で西沢渓谷を堪能します。
七ツ釜五段の滝を過ぎると、しばらく上りの道が続きます。坂道の途中に「根性の木2号」が、急斜面にギュッと根を張り巡らし堂々と立ち誇っていました。上り坂に元気をもらいます。なお、「根性の木1号」は見つけることができませんでした
坂を登り切ると、ベンチのある休憩所がありました。ちょうど周回コースのおおむね中間地点でもあるので、ここで紅葉をながら、お昼休憩をとることにしました。多くのハイカーでにぎわっていました。休憩所の先に黒金山の登山口もありました。
今日はここで折り返し、周回コースで旧森林軌道を通って登山口に戻ります。この軌道は、昔、塩山まで木材を運んだトロッコ跡だったとか、往路の渓谷道とはまた異なる趣の、産業の歴史と息づかいを感じる散歩道です。途中の展望所では視界がぱっと開けて、遠くに鶏冠山(けいかんざん)や木賊山(とくさやま)などの山々が見えました。鶏冠山は、山頂の形状が鶏の鶏冠のように天にシュンと向かっている、特徴ある形の山です。山麓は紅葉に染まっていました。
歩きやすい紅葉の軌道跡の道をテンポよく歩き、ネトリ橋に予定より早く到着。なんと1本早い13時10分発のバスに間に合いました。
下山後は、放広寺と湯めぐりへ
1本早いバスに乗れたので、バスを途中下車して、まだ行ったことがなかった放光寺(ほうこうじ)に寄り道をしました。放光寺は平安時代末期に建立されたとされる天台宗の寺院で、花と縁結びの寺としても有名だそうです。寺院内の拝観もでき、静寂な寺院の境内にて、しばし山歩きの疲れを癒やします。
放光寺を拝観した後、歩いて5分くらいのところにあるはやぶさ温泉にて一服。湯量豊富で源泉ドバドバかけ流し、アルカリ性のやわらかい温泉に浸かり、心身ともに温まりました。
さらに、帰りの電車までまだ時間があったので、塩山駅近くにある塩山温泉・宏池荘で、再度の湯浴み。アルカリ性の単純温泉のやわらかいお湯で、28℃の源泉浴槽と、加温浴槽があり、交互浴を楽しめます。今日見た紅葉の景色に思いを巡らしながら、交互浴の無限ループを堪能し、身も心も整えて、帰路に就きました。
(山行日程=2025年11月8日)
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プロフィール
naobon(読者レポーター)
東京都在住、神戸市出身。夏山シーズンは日本アルプスの稜線縦走を、冬は低山・里山ハイキングや山城巡りを、気ままに楽しんでいます。山行後の温泉とビールにこの世の極楽を感じる、週末ハイカーです。
山と溪谷オンライン読者レポーター
全国の山と溪谷オンライン読者から選ばれた山好きのレポーター。各地の登山レポやギアレビューを紹介中。
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山と溪谷オンライン読者による、全国各地の登山レポートや、登山道具レビュー。
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