味が濃い、だがそれがいい。谷川岳の帰りは「ラーメンきむら」で決まり

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今回の下山メシは、谷川岳に登ったら立ち寄りたい、水上駅の中華料理店を紹介する。ボリューム満点で濃いめの味付けの料理は、登山で疲れた体にちょうどいい

 

餃子や唐揚げにビール…中華料理は下山メシにぴったり

山帰りには、パンチの効いた味のものが食べたくなる。

とくに長めの縦走や雪山など、蓄えていたエネルギーを全部使い切ってしまうような体力勝負の山行のあと。すごく脂っぽいものや味が濃いものを大量に…、つまり分かりやすい形で体の中に取り入れたいと思う。

私の好きな山域のひとつが谷川岳周辺で、水上駅が起点となる。駅前に並ぶお店の中に、私が好きな中華料理店がある。脂っこくて味にパンチが効いている、中華料理は下山メシ向きのジャンルだと思う。餃子や鶏の唐揚げとビールなんて最強の組み合わせだし、おいしい酢豚や青椒肉絲があれば白飯を延々と食べ続けられそうだ(胃袋は無限じゃないから無理だけど)。

昭和チックなたたずまいの店、店内はカウンターと小上がりの席があり、ひとりならカウンターへ、誰かと一緒なら小上がりへ。たいがいこの店に来るときは山帰りでお腹をすかせている。麺類、丼もの、定食。定番のメニューがずらっと並んでいる。

どのメニューもボリューム満点、そして味が濃い。 定食なんて頼んでしまうとご飯は丼メシだし、メインのおかずも大量だ。友人は大盛りの定食にビールを頼んで、食べきれないと泣きそうになっていた(食べ切ったけど)。

観光ではなく登山帰りに、無我夢中でご飯をかき込みたい

味が濃いけど、美味しい。私が好んで頼むのは中華丼。たっぷりのご飯に、たっぷりのあんかけ野菜。野菜とご飯を軽くなじませるようにして、一口すくって食べる。山帰りにはちょうどいいしょっぱさ、塩分が体にガツンと染み込んでいく。ご飯とあんかけ野菜、最強の組み合わせだ。あんのトロトロ感と野菜のシャキシャキ感のバランスも素敵で、ため息をつく。美味しくて嬉しくてニヤニヤしながら、無言で半分ぐらいご飯をかきこむ。

半分ぐらい食べ終わるとお腹がふくれてくる。体温がじわじわと上がってきて、気付くと汗をだらだらかいている。しかし食べても食べてもなくならない。苦しい、けど美味しい。最後は大幅にペースダウンし、ごちそうさま。ああ食べ過ぎた。美味しいものでお腹がふくれるって、苦しいけど本当に幸せだ。

山帰りのとき、この店に寄るのはお昼の遅い時間になることが多いのだが、丼ものや定食を頼むと「ご飯がもうないからできない」と言われることがある。ご飯がなくても麺類は食べられるし、麺類もボリュームたっぷりでお いしいから問題ないのだが、ああ今日は丼物が頼めた、今日はダメだった。最後にちょっとした運試しの気分が味わえるのも、私にとっては楽しみのひとつ。

先日、観光で水上に行き、帰りに立ち寄った。大好きな中華丼はあいかわらずしょっぱくて美味しかった。…ああでもやっぱり観光ではなく、山帰りに食べたい。最近はお店は午後3時ごろに閉店するとのこと。早めスタート、早め下山でガッツリ昼飯をいきたい。お腹をすかせて無我夢中でご飯をかき込み、幸せのため息をつきたい。

 

 

今日のお店

ラーメンきむら
群馬県利根郡みなかみ町鹿野沢1-28

Tel 0278-72-2161

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

編集部おすすめ記事