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体感気温-20℃の北横岳で、パタゴニアの防風・厚手ダウンジャケットをテスト!

高橋庄太郎の山MONO語り
道具・装備 2019年01月31日

今月のPICK UP パタゴニア/メンズ・プリモ・ダウン・ジャケット

価格:84,000円(税別)
サイズ: XS、S、M、L、XL
重量: 936g

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「防水・防風のハードシェル+厚手のダウン」で、強力な温かさ!

いまや多種多様の製品がそろっているダウンジャケット。そのなかでもレイヤードしやすい薄手タイプの数はとても多いが、より防寒性に富むボリュームがあるタイプも一着持っていると重宝する。

今回ピックアップしたのは、パタゴニアの「メンズ・プリモ・ジャケット」だ。中綿には800フィルパワーという高質ダウンがたっぷり使われ、しかもウェアの表地の下には透湿防水素材ゴアテックス。言い方を変えれば、ハードシェルジャケットの内側にダウンを詰め込んだような防寒着である。重量は936gとそれなりになってしまうが、テストするまでもなく強力に温かそうだ。

実際、外見上の特徴は、雪山に適するハードシェルジャケットそのものである。フロントのジッパーは雪が固着しても開きやすい太めのものを使っており、グローブをしたままで開け閉めしやすいように引き手も大きめだ。

 

腰元と腕のポケットのファスナーは細身の止水タイプ。雪が溶けても水分が内部に入りにくい。

脇の下には暖かくなりすぎたときに換気ができるベンチレーター。この部分のファスナーも止水タイプである。

 

長さは33㎝もあり、ウェア内部の温度が上がりすぎたときは、冷たい外気を効率よく取り入れられるはずだ。

次に各部のポケットを見てみよう。左は腰元のポケットで、内側が起毛素材。手を入れるだけで温かさを感じるが、内部はけっこう浅い。スマートフォンや財布を入れると、何かの拍子に転がり出てしまうので、注意が必要だ。ここはもう少し広いほうが使いやすそうである。

   

それに対し、胸元のポケットは、外側のファスナーを開くと、さらにその内側にもファスナーで閉じられるポケットがついている二重構造。貴重品は腰ではなく、胸のポケットに入れてほしいということなのだろう。また、左手の手首付近にも小さなポケットがついている。これはスキーをするときに着用する場合、スキーパスを入れることを想定したものだ。

フードの後側にはフィット感を調整できるドローコードが付いている。内側にはかなり大きなコードロックがあり、グローブをしたままでもテンションを緩めることができる。同様に顔まわりに付けられたドローコードと連動し、寒気をしっかりと遮断する構造だ。 

 

このフードの少し下には雪崩救助の際には電波のリフレクターとして機能する「RECCO」の表示がプリントされ、実物はその裏側に内蔵されている。こういう部分でも、まさに雪山用のウェアだ。

 

北横岳山頂は強風。体感気温-20℃でダウンジャケットを着用

さて、今回のテストの場は北八ヶ岳。本当は雪中テント泊の際の防寒着としても試してみたかったのだが、このテストのタイミングでは充分に雪が積もったテント場が見つからず、やむなく日帰り山行でのテストになってしまった。想定したシチュエーションに対して、若干不十分なテストになってしまったことを、先に説明しておきたい。

 

それでもこの日、北八ヶ岳ロープウェイの山頂駅から足を踏み出すと、標高2,230mの坪庭の付近は嵐のような強風である。ホワイトアウトこそしていないが、小雪も交じっている。薄曇りでも穏やかだった下界にいたときには想像もしていなかった状況で、この強力なジャケットを試すには充分そうだ。

僕は上下ともにハードシェルのウェアを着込み、ブーツにはアイゼンを取り付け、北横岳に向かって歩き始めた。少々遅めの時間とあって、同じ方向に歩く人はおらず、山頂から下山してくる人と時折すれ違う程度である。

 

人気の山なので雪中でもルートは明確。僕自身、冬季にも何度か登ったことがある山であり、山頂付近まで森が続いていることもあって、強風ではあるが安心感は高い。

北横岳ヒュッテを通過すると、まもなく北横岳南峰に到着。ここまでくると、ありがたいことに、青空が見えてきた。

しかし、風を遮るものがない吹きさらしの場所なので、ときどき強風にあおられて体のバランスを崩される。倒れるほどではないが、風速15m/sといったところだろうか。

北東には蓼科山。この時期にしては黒々としており、積雪量の少なさを物語っている。

 

北側には細い通路のように登山道が延び、北横岳の最高峰である北峰が鎮座しているのが見えた。

僕は北峰まで移動すると、山頂でプリモ・ダウン・ジャケットを取り出して着用した。晴れてはいても、強風は相変わらず。じつは下の写真を自撮りする際も持参した三脚を何度かなぎ倒されてしまい、危うくカメラを壊すところだった。気温は-5℃だから、体感温度は-20℃くらいだろうか。

そして、このまま休憩の態勢に入る。北横岳北峰の山頂のすぐ脇には木々が生えており、そこまで行けば格段に風の影響は弱くなるのだが、今回はテスト。あえて吹きさらしの山頂にとどまることにしたのだった。

はおった直後はダウン内に体温が回っていないので、当然ながら温かくはない。しかし、数分するとホカホカしてきて、その後はただただ温かいばかり。防寒性はやはり間違いないようだ。

強風の影響はほとんど感じない。表面生地にラミネートされたゴアテックスが強風を完全に遮断し、暖気が外に流れ出さないからだ。これが防風性のない一般的なダウンジャケットならば、いかに800フィルパワーのダウンがたっぷりと使われていても、寒さで凍えていただろう。また、今回は強風とはいえ晴れていて、水分が多いみぞれなどが降る悪条件ではなかったが、表面生地がゴアテックスであれば浸水してくることもなく、内部のダウンはドライのまま保たれているだろう。

 

プリモ・ダウン・ジャケットの細部を改めて確認!

このようなプリモ・ダウン・ジャケットのウェア内部の様子を、改めて確認しよう。以下の写真はジャケットの内側。フードの内側から腰まで、ダウンが封入された太いチューブが平行に並んでいることがわかる。

このチューブは肩から腕の部分も同様に張りめぐらされており、ほぼ全身がダウンで覆われていることになる。

注目してほしいのは、首の部分だ。内側にはチューブの襟が付いており、マフラーのように首を覆って暖気が外に流れ出にくい構造になっている。

この状態でフードをかぶれば、ますます暖気はウェア内部から逃れず、保温力が高まる。ちなみに、このフードのつばの部分にはフォーム材が使われていて張りがあり、無用に下がってきて視界を遮ることはない。また、フードには余裕があり、ヘルメットを着用したままでもかぶれるサイズ感である。

ウェア内部にもポケットがあり、左はファスナー付きで、右はファスナーなしのタイプ。

 

柔らかな伸縮性素材なのでゴーグルやサングラスもしまいやすく、湿ったグローブを入れて乾燥を促すこともできるだろう。

腰回りには、パウダースカートもつけられている。スキーのときにこのジャケットを使う場合、舞い上がった雪がウェア内部に入ることがなくて有用だ。

不必要な場合は取り外すこともでき、ウェアを軽量化することも可能である。今回のように座り込んで休憩していると腰から風が入り込みやすいが、そんなときにも便利だ。

僕は結局1時間ほど山頂に滞在し、冬山の雰囲気を長いこと味わっていた。それでもプリモ・ダウン・ジャケットを着た上半身は、ほとんど寒さを感じない。これだけたっぷりとダウンを使い、しかもゴアテックスで防風しているのだから、保温力はさすがである。だが、僕の下半身はタイツの上にはいたハードシェルパンツのみだった。上半身はともかく、腰から下はどうにも冷えすぎてつらく、テストとはいえ、これ以上は山頂にいられない。僕は下山を開始することにした。

 

下り道では登り道ほど体力を使わず、汗をかくこともないので、プリモ・ダウン・ジャケットは着用したままにした。風の影響が少ない場所になると、歩行中はさすがに暑くなってきたが、ベンチレーターを空けて体温調整するだけで、そのまま歩行を継続。丈夫な表地は、歩行中にバックパックと擦れても違和感はなかった。

 

まとめ:どんな過酷な状況にも対応できる「一生もの」のダウンジャケットだ

いつしか青空は消え去り、北八ヶ岳は再び真っ白な空に。僕はアイゼンを外し、ロープウェイの駅の前で最後にひと休みする。

このとき、僕は保温ボトルに入れていた砂糖たっぷりの紅茶をジャケットの上にこぼしてしまった。だが、高撥水の生地を使っているだけあって、ウェアには一切の汚れが付着せず、べたつきもなし。テスト用に借りているウェアだけに、汚さずに済んでちょっと安心した。

天気予報では、これから雪が降るとのこと。ロープウェイの係員さんは雪が少なくてスキー場に人があまり来ないことを嘆いていたが、明日以降は少しマシになるのかもしれない。

山麓駅まで下ると気温は上がり、僕は駐車場に戻る前にプリモ・ダウン・ジャケットを脱いだ。日帰りとはいえ、山旅の終わりを実感する瞬間であった……。

あまりにも保温力が高いこのジャケットは、本当に寒い場所でしかあまり必要ではなく、街着として日常生活では出番がなさそうだ。山中でのプリモ・ダウン・ジャケットは、スキーやテント泊時の防寒に加え、クラミングの際のビレイジャケットとしての用途が考えられる。もちろん今回のような一般的な雪山登山でも有用だが、暖かい分だけ936gもの重量になり、寒い場所に長居する状況が考えられる場合や、極度に寒がりの人でもなければ、もっと薄手で軽いものでも充分だろう。それに、価格も税込み9万円強と簡単に買える金額ではない。だが一着持っていればどんなに過酷な状況にも対応できる。懐に余裕がある方は、一生ものとして思い切って購入してもよいのではないだろうか。僕には手が出せそうにないが、テストで着用しただけでも、よい経験になった。

ところで、このジャケットに使われているダウンは、環境問題に関心が高いパタゴニア社らしく、「アドバンスト・グローバル・トレーサブル・ダウン」というもので、強制的に給餌したり、生きたままで羽毛を採取したりしていない鳥から供給されたものだ。そういう点にも目を向けてみるとよいだろう。

 

今回登った山
北横岳
長野県
標高2,480m

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防寒具
教えてくれた人

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版)ほか著書多数。

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