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紅葉のチロロ林道から北戸蔦別岳へ――、雪を纏った日高の美しい山稜を味わうコース

今がいい山、棚からひとつかみ
ガイド・記録 2019年10月02日

10月初旬、北海道・日高山脈は秋から冬へと足早に季節が移ろうとしている。まだ冬には少し早い僅かの間は、麓は紅葉に染まり、峰々は薄っすらと雪化粧する。そんな日高の醍醐味を北戸蔦別岳で味わってみるのはいかがだろうか。

ヌカビラ岳付近から雪化粧した北戸蔦別岳を眺める(写真=谷水享)


大雪山の紅葉シーズンが終わりを告げると、何故か日高の山に登りたくなってきます。透き通った空気に包まれた静けさ、紅葉の赤と白く雪をかぶった山頂のコントラスト、そんな風景を味わいたくなるからでしょうか? これらの情景は、この時期に登る日高の醍醐味と言えるでしょう。

ふだんは退屈な千呂露川沿いの林道歩きも、趣があり飽きません。紅葉の隙間から見える小滝や千呂露川に垂れ込む紅葉が美しく、楽しみながら歩けます。

チロロ林道から見える小滝と紅葉のコントラストが美しい(写真=谷水享)


日高山脈の山は、稜線に出るまで深い樹林帯に囲まれた急登続きのため、夏季はとても蒸し暑く汗が噴き出るように流れていきます。その点、秋季の肌寒さは急登を乗り越える体を適温に保ってくれて、疲れも半減させてくれます。中腹までは木々の隙間から見えてくる下界の景色も多く、急登でも楽しめるポイントが続きます。

この時期の北戸蔦別岳の山頂付近は冬型の気候となり、一桁台の気温に加えて薄っすらと雪が被っています。しかし本格的な雪山となるのはもう少し先です。日高の山々は大雪山と同時期に初雪となりますが、大雪山と違って降り積もることは稀で、初雪後もしばらくは夏靴で登ることができるのです。

北海道電力注水口ダムからの急登の登山道中にもチロロ岳と紅葉が楽しめる (写真=谷水享)


山頂に立つと南方にピラミッド峰の戸蔦別岳が印象的で、その奥には日本百名山の幌尻岳も望めるでしょう。北方に目を移すとピパイロ岳や伏美岳がそびえ、南北に登山道が伸びている様子が確認できます。この南北に伸びる稜線を眺めるたびに、奥へ更に奥へと足を踏み入れたくなってくる――、そう考えるのは私だけでしょうか。

今回は紅葉と雪景色のコントラストが美しい、秋の日高山脈・北戸蔦別岳(チロロ林道コース)を紹介したいと思います。

※注意:チロロ林道(入り口)ゲートは冬季通行止め期間(11月中旬ころ~5月下旬ころ)以外にも、天候や災害の状況、鹿猟解禁によって通行禁止や通行制限がされる場合もあります。ゲート横に設置してある登山届に記載し登山中であることを明確にしておくことに加え、日高北部森林管理署に入林届を提出し、あらかじめゲート鍵番号を入手しておく必要があります。

モデルコース:チロロ林道から北戸蔦別岳を往復(日帰り)

行程:
【日帰り】チロロ林道車止め・・・北海道電力注水口ダム(北戸蔦別岳登山口)・・・二の沢二股・・・ヌカビラ岳・・・北戸蔦別岳・・・ヌカビラ岳・・・二の沢二股・・・北海道電力注水口ダム・・・チロロ林道車止め(約10時間)

⇒地形図を確認する

 

紅葉の林道と雪を纏った日高の美しい山稜を満喫

所属山岳会・女性パーティ(3名)から北戸蔦別岳から幌尻岳を目指す1泊2日の縦走の相談を受け、3人のこの時期の経験値と天気予報から予定を北戸蔦別岳日帰りとすることを薦めているうちに、結局、私も一緒に登ることになった、そんな山行のレポートです。

前日に日高北部森林管理署(日高町)に入山届をFAXで提出し、チロロ林道(入り口)ゲートを解錠して車で走ったのが10月10日(2015年)。千呂露川の渓谷と紅葉を車窓から楽しんだあと、車止め(駐車場トイレあり)から更に約3kmほどチロロ林道を歩きます。林道脇に流れ落ちる小滝を紅葉の隙間から垣間見る景色が美しく、林道歩きも楽しく過ごせます。

紅葉に染まるチロロ林道を進む(写真=谷水享)


林道終点にある北海道電力取水口ダムが見えると、ここからが本格的な登山となります。登山口からしばらくは沢伝いに歩き、十数回の徒渉を繰り返しをしながら登ることになります。この日、空は青空が見えていたにも関わらず、雨雲が南東から流れてきて雲行きが怪しくなってきたので、早めに雨具を着ようと羽織った直後に強い雨とヒョウが降り始めました。

紅葉の先に落ちる小滝が美しいチロロ林道歩き(写真=谷水享)


継続か、撤退か――、メンバーの体調と雲の動きを交互に仰ぎ見ます。雨雲の大きさと流れの速さを観察した結果、続行を判断して二の沢二股(標高約820m)から標高差約1000mの急勾配を登ります。稜線直下に来たところで防寒着を着てヌカビラ岳の頂に立ちました。

気がつけばいつの間にか空は快晴。しかしここからの稜線では、最大瞬間風速20m/sはあろうかと思われる強風が吹き付けます。思わず立ち止まることもありましたが、北戸蔦別岳山頂に立つことが出来ました。

北戸蔦別岳の山頂から北方面に続く稜線に目を奪われる(写真=谷水享)


強風を遮るところで、その絶景を堪能します。北方面には伏美岳、ピパイロ岳、1967峰、チロロ岳等の日高北部を、南方面にはどっしりと鎮座した幌尻岳や戸蔦別岳等の日高中央部、東方面には十勝幌尻岳、エサオマントツタベツ岳など、360度の大パノラマを楽しむことができました。

北戸蔦別岳の山頂から戸蔦別岳(左)と幌尻岳(右)を望む(写真=谷水享)

 

日本の山 ガイド 記録・ルポ
教えてくれた人

谷水 亨

北海道富良野市生まれの富良野育ち。サラリーマン生活の傍ら、登山ガイド・海外添乗員・列車運転士等の資格を持つ異色の登山家。

子育てが終わった頃から休暇の大半を利用して春夏秋冬を問わず北海道の山々を年間50座ほど登って楽しんでいる。

最近は、近場の日高山脈を楽しむ他、大雪山国立公園パークボランティアに所属し公園内の自然保護活動にも活動の範囲を広げている。

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