北横岳登山の後は、温泉付きの「泊まれるレストラン」ペンションピラタスで欧風コース料理とワイン三昧

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第2回は北横岳の日帰りハイク後に向かったペンションピラタスです。

写真・文=月山もも

雪山登山の入門編として登られることの多い、八ヶ岳連峰北部の北横岳。茅野駅から登山口となる北八ヶ岳ロープウェイの山麓駅まで1年中バスが運行しており、首都圏からでも無理なく日帰り登山が可能な山です。

北八ヶ岳ロープウェイで標高2237mまで一気に標高を上げ、スノーハイクを開始します。「坪庭」と呼ばれるこのあたりは、積雪直後はワカンやスノーシューがないと歩きにくいこともあるのですが、この日は北横岳に続く登山道はしっかりと踏み固められていたので、最初からアイゼンをつけて歩き始めました。

なだらかな坪庭を通り抜け、北横岳の山頂に至る道に入ると急な上りが始まりますが、1時間もかからないうちに山頂に到達しました。北横岳山頂からは、雪の帽子を被ったようなかわいらしい蓼科山の姿も眺められ、満足して来た道を戻ります。

ロープウェイで山麓駅に戻った後は、本日泊まる予定の「ペンションピラタス」に向かいます。スキー場のゲレンデを歩いて横切ると「ペンション村 ピラタスの丘」と書かれた看板があり、そこから続く道を歩いていくと10分もかからず宿にたどり着きました。

チェックインし、さっそく案内していただいたお部屋はとても暖かく、3つのベッドが並んでいます。

3人泊まれる部屋を1人で使わせてもらって申し訳ないぐらいです。

一休みした後は、お風呂に向かいます!が、その前に注意事項を。こちらの宿ではタオルや歯ブラシは有料での提供となります。また、お部屋に浴衣や寝間着は置いてありませんので、必要な方は持っていったほうがいいでしょう。設備面では山の中ですが携帯の電波状況は問題なく、館内では無料Wi-Fiも利用可能でした。

ペンションピラタスには2つの温泉浴室があり、男湯・女湯などの区別はなく、空いていれば何度でも貸切で利用可能です。内湯のみで露天風呂はありませんが、家族で一緒に入れそうな広い浴室は、雰囲気ある岩風呂でした。

大きな窓がついており、眺めもすばらしいです。ちょうど日没の時間だったので、温泉にのんびりと浸かりながら、赤く染まる空と沈む夕日を眺めることができました。山小屋やテントに泊まって山の中で眺める夕日はもちろんすばらしいですが、温泉に浸かって温まりながら眺める夕日もまた格別で、贅沢なひとときでした。

お風呂の後はダイニングにて、待ちに待った夕食です! 何しろペンションピラタスは、オーナーは元レストランシェフでソムリエの資格もお持ちということで「泊まれるレストラン」の異名を持つ宿。食いしん坊な私は食事をグレードアップしたプランで予約し、下山後にスキー場でカレーを食べたいのも我慢して夕食を待ちました。

実はワインにあまり詳しくなく、普段はビールか日本酒を飲むことが多いのですが、ドリンクメニューに「コースのお料理に合わせて白2種類、赤2種類、全部で4種類のワインが出るお得なワインセット 2500円」があるのを見つけたので迷わず注文します。こちらは4種類のうち2種類は長野県産のワインが含まれるセットだそう。

まずは1杯目、白ワインが提供されました。種類を説明していただいたのですが、詳しくないので忘れてしまいました……が、ワインを飲み慣れていない私でもすいすい飲める、おいしい白ワインです。

前菜は「海老、帆立、鰤のカクテル」と「スモークサーモンとローストビーフのサラダ」の盛り合わせ。
山の宿の魚介と侮ることなかれ……大変おいしいです! カクテルにはサーモンとアボカドも入っていて、グラスの中にぎゅっと濃縮された魚介のうまみに白ワインが進みます。最初の白ワインは飲み干してしまい、2杯目にまた別の種類(これはシャルドネとのこと)の白ワインをいただきます。

前菜の後にはスープが提供され、その後の魚料理は「海老のベーコン焼き、帆立、鯛の香草トマトソース」です。ぷりぷりの海老とベーコンとトマトソースがよく合います。

白ワイン2杯目を飲み終え、赤ワインの1杯目をいただいているところで、肉料理のビーフシチューが!

盛り付けも美しく、肉はトロトロに柔らかく、付け合わせの野菜まですべておいしいです。ごきげんでいただきつつ赤ワインの2杯目に突入! ビーフシチューは自家製の焼きたてパンに付けてすべて平らげました。

最後のデザートは「いちごのティラミス、ラズベリーアイス、ショコラ」の盛り合わせ。お替わり自由のコーヒーと一緒にゆっくりいただいて、大満足の夕食でした!

空腹で臨んだのですがお腹はかなりいっぱい、ワインはいずれも料理に合い、すべておいしくいただいて酔っ払いました……。

夜は浴室から夜景と月と星が見えると聞いて楽しみにしていたのですけれど、とても起きていられず気づいたら朝! 1度も目が覚めず熟睡していた自分に驚きつつ、爽やかに朝風呂に浸かりました。

朝食時のドリンクはコーヒー、紅茶、オレンジ・グレープフルーツ・アップルの3種のジュースなどから好きなだけいただきます。

メニューはボリュームたっぷりのサラダと、優しい味のクリームスープ、そして自家製パンとヨーグルト。パンは長野県産全粒粉を使っているそうで、焼きたてで食感はサクッとしています。甘みがあり、スープに浸していただくと絶品でした。家庭的な味わいでありながらもプロの技をそこかしこに感じられる朝食をゆっくりと楽しんで、部屋で一休みしてからチェックアウト。

次こそは夜にちゃんと起きて、温泉に浸かりながら夜景と月と星空を楽しもう!と思いながらバス停に向かいます。下山後に泊まって楽しみたい宿が、また一つ増えました。

(取材日=2020年1月中旬)

*掲載情報は、取材時の内容です。

ペンションピラタス

北八ヶ岳ロープウェイ至近のペンション。元レストランシェフでソムリエのオーナーによる料理は絶品。温泉は貸し切りも可能。

料金:1泊2食付き1名/9800円~ *記事中の紹介プランはプレミアムプラン1万3300円~
住所:〒391-0301 長野県茅野市北山4035-2204
電話:0266-78-6687
HP:https://www.p-pilatus.jp/

*休前日および繁忙期は1人での宿泊が不可の場合あり。

 

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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