岩峰に映えるヒトツバナと展望の尾根歩きを楽しむ 西上州・四ツ又山~鹿岳周回

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険しい岩峰が連なる西上州の山々。4月から5月には、ヒトツバナ(アカヤシオ)のピンク色の花が岩を彩ります。

鹿岳頂上より妙義山など西上州の山々を展望する(写真=奥谷 晶)


アカヤシオはツツジ科の低木で、関東や東北の山地の岩山の斜面に、毎年4月〜5月にピンクの花を咲かせます。葉がつき始める前に花が咲き始めるので、春の到来を真っ先に知らせます。西上州では「ヒトツバナ」と呼ばれています。枝分かれした枝先ごとに一つの花をつけるところからきたようです。岩峰が立ち並ぶ西上州の険しい岩稜地帯に映える満開のヒトツバナを求めて、四ツ又山と鹿岳(かなたけ)へ向かいます。

モデルコース:大久保登山口~四ツ又山~鹿岳~大久保登山口

行程:
【日帰り】大久保登山口・・・大天狗・・・四ツ又山・・・鹿岳(一ノ岳)・・・二ノ岳・・・木々岩峠登山口・・・大久保登山口 計約6時間

展望の良い岩稜とヒトツバナ

2018年4月20日、晴れ。4月としては気温の高い日が続き、西上州の山々でもヒトツバナが開花のピークを越し始めているようでした。ラクダのこぶのような特異な形をした鹿岳の岩稜に咲くヒトツバナをとらえようと、四ツ又山から鹿岳を周回するコースへ行ってきました。

大久保登山口から出発し、四ツ又山への稜線をめざします。伐採地跡地らしきところでトレイルが不明瞭になり、落ち葉に埋もれた急斜面を灌木をつかんで半ば強引に尾根道に上り詰め、天狗峠にいたる尾根道に出ました。

四ツ又山大久保登山口(写真=奥谷 晶)

登山道上にはヒトツバナの花びらが多数落ちており、かわってトウゴクミツバツツジが開花中で、まだ花芽をつけた多くの枝を広げていました。

トウゴクミツバツツジ咲く登山道より鹿岳の岩峰を望む(写真=奥谷 晶)

樹間から鹿岳の双耳の岩峰の姿をながめながらしばらく登ると四ツ又山山頂です。山頂からの展望は抜群で、これからめざす特異な岩峰が際立つ鹿岳、その背景に浅間山、北に向かっては荒船山、妙義山など西上州の山々が一望に見て取れます。

四ツ又山山頂(一峰)標高899m(写真=奥谷 晶)

四ツ又山山頂からはいったんマメガタ峠に急降下します。鹿岳へはアップダウンがある岩稜混じりのヤセ尾根が続きます。

コルからまず一ノ岳をピストンします。そこでようやく元気のよいヒトツバナの花々に出会うことができました。

鹿岳一ノ岳頂上よりヒトツバナが映える二ノ岳の岩峰を望む(写真=奥谷 晶)

続いて急峻なハシゴとクサリ場を経て二ノ岳へ向かいます。傾斜が強いので慎重に。

二ノ岳頂上への登りの難所。急峻なハシゴやクサリ場が連続する(写真=奥谷 晶)

ニノ岳山頂からも浅間山、荒船山、妙義山など西上州の山々のパノラマが広がります。雄大な景色とヒトツバナのコラボを楽しみながら、撮影と昼食タイムです。

鹿岳二ノ岳頂上より一ノ岳を振り返る(写真=奥谷 晶)

二ノ岳からは木々岩峠方面へ狭い岩尾根を進み、高原下降点から下りましたが、痩せ尾根が続き、急峻な滑りやすい斜面をロープや灌木をつかんでの下降、さらに浮き石も多数あり、慎重に行動する必要があります。目印のテープもまばらで、迷いやすいところです。

木々岩峠登山口を経て鹿岳登山口までは車道を歩きます。なお鹿岳のコルから鹿岳登山口へ降りる下降路もあり、雑木林の急な斜面ですが、ショートカットすることができます

 

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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