| 涸沢ヒュッテ
2024.05.01
本谷橋を渡り夏道沿いに雪上となります。踏み抜きに注意。爪の多いアイゼン推奨。万全の防寒対策で
日本の屋根とも喩えられる日本アルプス。富山と長野の県境に位置する北アルプス、長野と山梨の県境に伸びる南アルプス、そして南アルプスの隣を平行するように長野南部を走る中央アルプスの3つの山脈の総称だ。その呼び名の通り、3000m級の高山帯が稜線で繋がり、山頂付近は火山活動により険しい岩稜地形に。その様は国内のどんな山群も寄せつけない圧倒的な存在感を放っている。
夏には高山植物の花々が咲き誇り一面にお花畑が広がり、秋には紅葉の絨毯が山肌を美しく染め、まさに絶好のアルプスシーズンを堪能できる。今回は、日本アルプスの数あるコースの中でもテント泊登山がおすすめの縦走ルートを紹介する。
さらに、絶景を楽しめる、水場やトイレが整備されているなどなど、テント場のおすすめポイントもチェックしよう。レベルが高いコースもあるので、自分の体力や経験に合わせて美しい日本アルプスの山々を思い思いに楽んでほしい。
なお、テント場の利用は予約が必要な場合もあるため、管理する山小屋のHPなどを確認しよう。
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北アルプスの盟主かつ穂高連峰の主峰といえば、標高3190mの奥穂高岳。本邦第3位の高峰で、岩と雪の殿堂とも呼ばれる。奥穂高岳へのルートは複数あるが、多くは3000mの岩稜を進む縦走コースで上級者向き。そこで今回は、テント泊を楽しみながら奥穂高岳をめざすビギナーにぴったりな涸沢経由のコースを紹介しよう。
1日目は上高地バスターミナルから明神、徳沢を経て、横尾へ。ここから本格的な登山道になり、テント場となる涸沢に到着する。
2日目は荷物を涸沢にデポし、モルゲンロートを堪能し、奥穂高岳登頂を目指す。奥穂へのザイテングラート取付へはお花畑を経由する涸沢パノラマコースと涸沢小屋を回るコースがあるので、登りと下りでルートを変えるといいだろう。
3日目は初日のルートを涸沢から上高地へ下山する。
テント場は、日本有数の幕営地として人気の涸沢野営場。色とりどりのテントが無数に広がり、多い時には1000張ものテントで埋め尽くされる。昼にはカールを囲む穂高の名峰四座を、夜にはライトに照られ暗闇に浮かび上がるテントが星たちと競演する様を楽しめる。
コースタイムは各日ともに5~6時間ほど。日程に余裕のない場合は、上高地から涸沢泊の1泊でも充分楽しめるだろう。
高低図
| 涸沢ヒュッテ
2024.05.01
本谷橋を渡り夏道沿いに雪上となります。踏み抜きに注意。爪の多いアイゼン推奨。万全の防寒対策で
黒部源流の山々に囲まれた雲ノ平。北アルプスの奥懐に位置する溶岩台地で、お花畑や池塘が点在する景色はまるで雲上の楽園。日本最後の秘境とも呼ばれている。ここでは三俣蓮華岳、双六岳へ縦走する3泊4日のコースを紹介しよう。
1日目は折立から好展望の尾根を歩いて太郎平小屋、テント場となる太郎平テント場へ。
2日目は薬師沢の源流部の沢を徒渉しつつ木道を進み、薬師沢小屋へ。さらに祖母岳山頂から広大な雲ノ平を一望し、やがて雲ノ平山荘に到着する。テント指定地は、少し離れた場所にある。
3日目は祖父岳の西南側斜面を巻きながら槍・穂高を望み、三俣山荘から三俣蓮華岳山頂へ。この北アルプス最深部の頂からは雲ノ平や黒部源流の山々、槍・穂高連峰、遠くには剱岳も望む。さらに双六岳山頂を経て、双六小屋テント場に到着する。
最終日の4日目は鏡平山荘がある鏡池のテラスから槍・穂高の眺めを楽しみたい。その後は小池新道を下り、シシウドが原から秩父沢、わさび平小屋を経て、穂高温泉に下る。
1日目のテント場は太郎平、2日目は雲ノ平山荘から25分ほど離れた祖父岳山腹にあるテント場、3日目は双六池のほとりにある双六小屋指定地を利用。いずれも水場やトイレが利用可能なのがうれしい。
コースタイムは各日4時間半~6時間半。日程や標高差もあり、中・上級者レベル向けのコースだ。
高低図
| 双六小屋
2024.04.03
2024年の営業は7月10日から。ご予約受付は6月10日以降の予定です
| 太郎平小屋
2021.07.15
高山植物がきれいな時期となりました。梅雨明けしましたが、雷が鳴り続けていています
北アルプス北部の後立山連峰中央部に位置する2座を縦走するルートで、五竜岳は鹿島槍ヶ岳とともにこの連峰の重鎮的存在。スタート地点となる八方池山荘へはゴンドラとリフトを乗り継いで容易にアクセスでき、稜線上にあるテント場は眺望も抜群。テント泊登山に適した好条件が揃っている。
1日目はゴンドラ等を乗り継いで八方池山荘へ向かい、第三ケルン、丸山へ。さらに進むと唐松岳頂上山荘に到着し、荷物をデポして唐松岳登頂へ。2696mの山頂からは不帰ノ嶮や鑓ヶ岳、白馬岳、劔・立山連峰、五竜岳と大展望を望める。
2日目は唐松岳からいよいよ五竜岳へ。牛首の岩稜を慌てずに進み稜線を行くと、白岳との最低鞍部へ。さらにハイマツ帯を登ると五竜山荘に到着する。五竜岳も山荘に荷物をデポし登頂をめざそう。
最終日3日目は五竜山荘を後にし、大遠見山、小遠見山を経て、五竜テレキャビンのアルプス平駅に下山する。
テント場となるのは、1日目は唐松岳頂上山荘にあるテント場で山頂へは徒歩15分、ご来光が望める裏山へは徒歩5分と好立地。2日目は稜線上の五竜岳山荘テント場で展望は抜群。ともに小屋のトイレや水場を利用できる。
コースタイムは各日4時間前後と長くないが、スリリングなクサリ場のある岩稜などもあり、中級程度の経験が必要だ。
高低図
立山(雄山、大汝山、富士ノ折立の3ピークを合わせた山塊の総称)と浄土山、別山を合わせた立山三山の登山拠点となるのは標高2450mに位置する室堂平。本コースはつねに箱庭のように美しい室堂平を見下ろし、比較的危険箇所が少なく、初心者でも3000m級の稜線歩きを楽しめると人気が高い。室堂を拠点に日帰りでの三山縦走も可能だが、せっかくならキャンプ場に泊まり、景色を存分に満喫したい。
1日目は石畳の遊歩道を歩き、雷鳥平にある雷鳥沢キャンプ場へ。
2日目は雷鳥沢キャンプ場に荷物をデポし、浄土沢を渡り、剱御前小舎の建つ別山乗越、そして2792mの剱御前山頂へ。さらに標高2880mの別山、2861mの真砂岳、標高2999mの富士ノ折立、そして立山連峰最高峰の3019mの大汝山へ。さらに3003mの雄山、2831mの浄土山と3000m級の山々をぐるりと縦走し、雷鳥沢キャンプ場へ戻る。その後、室堂ターミナルへ。
宿泊地の雷鳥沢キャンプ場は眼前に立山連峰や大日連山を望み、迫力満点。近くの小屋で日帰り入浴も可能だ。
コースタイムは、2日目は約9時間と長め。稜線上には山小屋が随所にあり、天候不良時や体調悪化時期には利用できるように確認をしておきたい。
高低図
気品漂う三角錐の山容、日本アルプス屈指の高山植物の宝庫、そして富士山に次ぐ本邦2位の3193mの標高と、その魅力に事欠かない北岳。ここで紹介するのは、そんな北岳を皮切りに、間ノ岳、塩見岳と3000m級の山々を大縦走するロングコース。とくに3日目の行程が10時間以上になり、スタミナと健脚が不可欠といえる。
1日目は前夜泊にも便利な広河原山荘キャンプ指定地のある広河原から入山し、大樺沢二俣、北岳肩ノ小屋テント場へ。
2日目は北岳、間ノ岳、三峰岳、三国平を経て熊ノ平小屋のテント場に到着する。
3日目は熊ノ平から北荒川岳、塩見岳へ。そして日本で最も標高の高い峠に建つ三伏峠小屋のテント場に宿泊する。
4日目は三伏峠から鳥倉登山口に下山となる。
テント場は、1日目は標高3000mという日本屈指の標高でのテント泊が経験できる北岳肩ノ小屋場。甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山、富士山に沈む夕日やご来光を楽しめ、夜には満点の星々に包まれる。2日目の熊ノ平テント場はプライベートを確保できる樹林帯と西農鳥岳を望む展望地と、好みに合わせサイトが選べるのが嬉しい。3日目の三伏峠小屋テント場は小屋のすぐ前にあり、清潔なトイレを利用でき安心だ。
高低図
背後に畏怖堂々とそびえる宝剣岳とカールを埋め尽くすお花畑や紅葉のコントラスに日本屈指の山岳風景と賞賛される千畳敷、さらに中央アルプスの最高峰として多くの登山者から愛される木曽駒ヶ岳。これらの山行を堪能できるのが本コースで、中央アルプスでは数少ないテント場を利用してぜひ訪れてみたい。
1日目はロープウェイを利用し、一気に千畳敷へ。そこから乗鞍浄土、宝剣山荘、中岳を経て、木曽駒ヶ岳の山頂直下にある駒ヶ岳頂上山荘の幕営地に宿泊する。
2日目は木曽駒ヶ岳山頂から中央アルプス唯一の氷河湖・濃ヶ池、宝剣岳、極楽平を経て、千畳敷に周回する。なお、宝剣岳へ至る岩場は非常に険しく危険をともなうので無理は厳禁、迂回ルートを進もう。
木曽駒周辺には宝剣山荘、天狗荘など山小屋がいくつかあるが、テント泊が可能なのは頂上山荘のみ。水場とトイレは山荘で利用可能だ。
高低図