行程・コース
天候
1日目:曇のち晴れのちガス 2日目:晴れ 3日目:晴れのち曇 4日目:晴れ
利用した登山口
登山口へのアクセス
バス
その他:
まいにちアルペン号で平湯温泉、路線バスに乗り換え上高地へ(早朝の臨時便)
この登山記録の行程
【1日目】歩行6時間40分
上高地バスターミナル(05:45)・・・河童橋(05:52)・・・明神(06:30)・・・徳沢(07:15)・・・横尾(08:00)[休憩 10分]・・・一ノ俣(08:54)・・・槍沢ロッヂ(09:30)[休憩 40分]・・・ババ平(10:39)・・・水俣乗越分岐(11:04)・・・天狗原分岐(11:51)[休憩 4分]・・・グリーンバンド(12:30)・・・槍ヶ岳殺生ヒュッテ(13:20)
【2日目】歩行3時間40分
槍ヶ岳殺生ヒュッテ(05:45)・・・槍ヶ岳山荘(06:14)・・・槍ヶ岳(06:40)[休憩 10分]・・・槍ヶ岳山荘(07:10)[休憩 20分]・・・中岳(08:45)[休憩 10分]・・・天狗原稜線分岐(09:41)・・・南岳小屋(10:04)
【3日目】歩行5時間45分
南岳小屋(05:40)・・・A沢のコル(07:25)[休憩 10分]・・・北穂高岳(09:02)[休憩 43分]・・・涸沢のコル(11:04)[休憩 11分]・・・涸沢岳(12:11)・・・穂高岳山荘(12:30)
【4日目】歩行6時間25分
穂高岳山荘(05:40)・・・奥穂高岳(06:25)[休憩 16分]・・・最低コル(07:43)・・・紀美子平(08:04)[休憩 7分]・・・前穂高岳(08:50)[休憩 25分]・・・紀美子平(09:35)[休憩 5分]・・・岳沢パノラマ(10:13)・・・岳沢小屋(11:20)[休憩 35分]・・・河童橋(13:30)・・・上高地バスターミナル(13:35)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
次は11年後までないという9月の5連休を利用して、大キレットを経て槍穂高連峰を縦走してきた。スリリングな岩稜、険しくも神々しい山容、3000メートル峰8座を結ぶ縦走の魅力は改めて語るまでもないだろう。今回は好天に恵まれ、幸運にも助けられ、長年の夢を実現できた。宿題を果たした今、もっとのんびりと山とつき合える気がしている。
<ハイシーズンに穴場の山小屋を探す 早い到着が幸運を呼ぶ?>
8月後半からの天候不順で皆さんウズウズしているだろうし、加えて9月の5連休の人気山域とあって、まずは移動手段の確保と混雑対策を考えねばならなかった。槍ヶ岳で登頂順番待ち3時間とか、耳を疑うようなエピソードも聞いていた。上高地へのバス予約も案の定満席、だが辛抱強くキャンセルが出るのを待って確保。
山小屋もぎゅうぎゅうでは身体も休まらず、今の自分には体力的にも技術的にもギリギリであろうこの計画の成否が左右されてしまう。そこで初日は登山道から少し外れている殺生ヒュッテに泊まった。もくろみは大成功で、布団3枚に一人という快適な状態。以前も書いたが、ぎゅうぎゅう詰めでは小屋のスタッフも含めて人は余裕を失ってしまう(今回利用させていただいた小屋は、どこもてきぱきと、気持ちよく対応されていて本当に頭が下がりました)。「君子危うきに近寄らず」では登山はできないが、「君子混雑を避けるべし」で行きたい。
今回は人気の槍ヶ岳山荘や北穂高小屋(とても好きな小屋なんです)も泣く泣く回避し、南岳小屋(ここも素晴らしい景色)で行程を短く刻んだ。ここは予約だけでも定員の1.5倍だと聞いたが、最後まで埋まらないスペースが残り、ゆったり寝ることができた。穂高岳山荘も事前に「爆発的混雑予想」がHPに掲示されていて夕食も5回に分けていたほど。だが、ここでも幸運に恵まれ布団を分けるはずの登山者が現れず、布団一枚でゆったり休めた。結局3泊とも布団一枚で寝られたことになる。
こうした幸運も、予約をしておいたことや、早い時間に到着して場所を割り当てられたことも助けになっていると思う。なにより、混雑時に遅く到着すると食事も何もかもが後回しにされてしまい、時間的にも体力的にも押せ押せになってしまう。早く着けば、空いているうちに明日の準備をしたりトイレを使うこともでき、余裕を持って山登りも楽しめ、ひいては安全にもつながるだろう。
<大キレットの通過など>
何を隠そう出戻り登山者は、ビビリのヘタレである。登山が趣味であるくせに、高所恐怖症のけがある。大キレットは、出戻り登山者が若かりし頃「逃げた」様な負い目を感じてきた曰くつきの難所で、憧れであると同時にいつかは必ず克服しなければならない目標だった。
20年ぶりに登山を始めてから徐々に難しいとされるコースをこなし、筋力トレーニングに励み(当社比)、荷物の軽量化に努め、今回のコースは営業小屋が多いのを幸いお金で解決できることは積極的に利用し(非常食、行動食以外の食べ物は携行せず)、(大げさだけど)イメージトレーニングもした。すでに季節は秋で日中の気温もせいぜい10度前後、防寒具(岩や鎖は冷たいので手袋もあるといいですよ)を用意する一方で、水は宿泊先で補給できることを考慮して1.5リットル程度に抑えて軽量化。
結果的に、大キレットはとても良く整備された区間で、岩もこのコースの他区間に比べると安定しており、高度感に惑わされずに慎重に着実に行けば問題のないところだと感じた。集中力が切れない様に体力的に余裕がある状態にしておくのも大事だろう。むしろ足場が不安定なところも多々ある北穂高ー涸沢岳間や、吊尾根の方が注意を要するように思われた。
また大キレットや北穂高岳〜涸沢岳間などの難所や、槍ヶ岳などの鎖場は、登山者同士のすれ違いに思いの外時間がかかるし、すれ違い自体が危険度を増す。なるべく難所のそばに宿を取れば、早朝の出発で混雑やすれ違いを少なくできるだろう。
このコースは、のんびり歩けるような区間はほとんどない。例外的なのは槍ヶ岳ー南岳間くらいだろう。上高地から槍ヶ岳へのアプローチも長い。大キレットや北穂高ー涸沢岳間などの有名な難所ばかりではなく、例えば最後の岳沢の下りのように、難所を通過し終わり、疲労も重なって気が緩みがちなところこそ、もう一度気を引き締めて下るべきだろう。今回も岳沢で若い登山者が足をひねって動けなくなっているところに出くわした。
この一歩の先にしかあの頂はないと、登山復帰以来自分なりに努力してきた。長年の夢を達成できたら自分はどんな風に感じるのだろうかと想像してきた。爆発的な喜びや達成感を感じるのだろうか。あるいは目標を達成して張り合いを失うのだろうか。意外にも、それは腹の底からじんわり湧いてくるような満足感だった。街に戻ると、どこからともなく金木犀が香る秋になっていた。
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