行程・コース
天候
一日目快晴、二日目快晴のち霧、三日目快晴
登山口へのアクセス
その他
その他:
ANA619便 羽田発6:55 鹿児島着8:50
バス 鹿児島空港9:20 鹿児島中央駅 (1250円)事前調査では高速船ターミナルまで行くはずだったが、改正で行かないと知り、中央駅までで下車
中央駅からタクシー970円で高速船ターミナル ギリギリで買い物する余裕なし
高速船114便 鹿児島発10:20 安房港13:05 (8800円)
安房の「山岳太郎」(0997-49-7112) などでガスカートリッジ購入のこと
屋久島交通バス(940円) 安房港13:31 紀元杉14:32
この登山記録の行程
【1日目】
紀元杉(14:33)・・・淀川登山口(14:58)・・・淀川小屋(15:38)
【2日目】
淀川小屋(05:20)・・・花之江河(07:04)・・・黒味分れ(07:20)・・・投石平[休憩 10分](07:45)・・・宮之浦岳[休憩 60分](09:18)・・・焼野三差路(10:24)・・・平石展望台(11:05)・・・第2展望台・・・新高塚小屋[休憩 10分](12:23)・・・高塚小屋(13:25)
【3日目】
高塚小屋(07:05)・・・縄文杉(07:12)・・・ウィルソン株[休憩 10分](08:50)・・・大株歩道入口(09:27)・・・楠川分れ(10:45)・・・辻峠[休憩 20分](11:30)・・・太鼓岩[休憩 20分](11:54)・・・辻峠(12:20)・・・白谷小屋(12:49)・・・白谷雲水峡登山口(13:39)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
屋久島に飛び、淀川(よどごう)から宮之浦岳、縄文杉を経て白谷雲水峡へ抜けるコースを歩いてきた。そこで見たのは、私が登ってきた関東甲信越の山とは全く趣の異なる山、異形の森だった。
有給休暇も年度末までに行使しなければ、ただ消えていくのみ。一方、まとまった休みを登山に費やすにしても、春先のこの時期に雪山を縦走するような実力はない。ならばということで、東京在住の出戻り登山者にとってアプローチと縦走に日数を要し、温暖そうな南九州の山々を巡ってきた。今回は宮之浦岳縦走の様子。
<自然のイメージが一新される>
屋久島は日本で最初に世界自然遺産に登録されたところ。洋上アルプスとか縄文杉、ウミガメなど、「豊かな大自然」とでもいった漠然とした貧困なイメージしか持ち合わせていなかった。山を降りてきた今でも自分の感じたことをうまく整理できないでいるのだけれど、そこで感じたのは「生命の調和」などといった穏やかなものではなく、もっと貪婪で、猥雑でさえある命のせめぎあいだった。
<岩から生える木>
樹林帯では、しばしば土のある地面からではなく、巨岩から大きな木が生えているのに気づく。巨岩から立ち上るエネルギーが樹木になるのか、樹木が岩からエネルギーを吸い尽くそうとしているのか・・・。おそらく見かけやイメージとは裏腹に屋久島の土壌は薄く養分にも乏しく、巨岩を被う苔が土壌の役割を果たし、そこに生えた樹木の表面を被う苔がさらに他の木々の土壌を為すのではないか(あとで少し調べてみたら、裸地からの「遷移」と「着生」という現象のようだ)。数百年の移り変わりを早送りしたら、恐竜が争い合うような映像になるような気がする。 唐突に聞こえるかもしれないが、HRギーガーの絵を思い浮かべた人はいるだろうか?私が関東甲信越の山で見てきたような穏和でどこか懐かしい林などではなく、もっと荒々しい姿だ。
<自然ってなんだろう?>
人もまたこの貪婪な自然に対峙してきた。トロッコの軌道は森を切り開き、岩を穿って山中に伸びている。私には、自然破壊というよりは、ちょうど杉の巨木をシャラの木が挑みかかるように締め上げているのと同じように、人間が自然の一部として森に挑んできた痕のように見えた。それが証拠にトロッコの周囲は、里山的な雰囲気なのだが、例えば軌道から離れて辻峠に登り返すと、わずかしか離れないうちから再び獰猛な森に姿が変わっていく。「馴致」という普段はあまり使わない言葉が頭に浮かぶ。話が飛ぶが、下山後に島内のいわゆるリゾートホテルに宿泊した。大自然に包まれるのも喜びなら、湯に浸かり、温かく洗練された食事やふかふかの寝床に快適さを感じるのも同じ人間だ。
屋久島は、なんだか色々考えさせられる島だし、今も心がざわついている。
一方、森林限界を抜けると広々とした笹原に巨大な花崗岩が累々としていて、その景観は大きく変化する。屋久島の魅力の一つはこうした変化に富んだ、ここでしか見られない景色だろう。
<いくつかの注意点>
簡単に注意点のみ。縦走の場合は山中の小屋はすべて無人の避難小屋なので、寝袋、食料や燃料は持参しなければならず、重量も大きくなる。出戻り登山者は、普段は7-8kgで行動しているが、今回は12kg程度まで増えた。各避難小屋の収容人数もせいぜい20人程度と規模が小さく、入りきれない可能性もありそう。早く到着して場所を確保するか、テント持参も考えたほうがいいだろう。トイレについても携帯トイレの利用が推奨されている。航空機利用ならガスカートリッジを持ち込めないので、島内で調達する。
一方で、山中は標高の高いところも含めて水が豊富で、携帯すべき量は1リットルもあれば足りるだろう。宮之浦岳の前後の標高の高い区間では、わずかな残雪はともかく、豊富な水が岩場を濡らし早朝は表面が凍結している箇所があった。念のためチェーンスパイクを持参したほうがいいだろう。公共交通機関利用の場合は、バスの本数が限られているので、下調べと計画を綿密に。日程や下山後に島内観光をするか否かなどにもよるが、バスの一日乗車券(2000円、二日券3000円)は便利でお得。
*信州山のグレーディングに合わせてルート定数を算出(55.3)、難易度は主観的につけてみた。6B
(開聞岳登山につづく・・・)
https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=54765
フォトギャラリー:72枚
鹿児島に向かう機上から見た富士山
桜島
鹿児島からジェットフォイルで屋久島の安房港へ。ここまで飛行機→バス→ジェットフォイルの乗り継ぎが非常にタイトで、焦る。
さらに紀元杉までバス。14:33に到着
淀川登山口で山岳保全募金(一人一口500円)に応じて、いよいよ入山
紀元杉から1時間ほどで淀川小屋に到着。初日はここまで。時刻は15:38。幸い寝るスペースは残っていたが、まだ日の光があるうちに食事や明日の準備をしなければ。
小屋のすぐそばを流れる淀川。淀むというと水が濁っているイメージがあるのだけど、美しく澄んだ清流。
2日目は行程が長く、早く着かないと小屋がいっぱいという話を聞き、まだ暗い5:20に出発。
この時期にしか見られない? 苔の間に咲く5ミリほどの小さな花
やがて明るくなってきて豆腐岩をいただく高盤岳が樹間に見える
快晴!眼下には雲海
トーフ岩
高層湿原の花之江河(はなのえごう)から高盤岳を望む
花之江河では氷が張っているところも
投石岳
樹林帯を抜けると屋久島は面目を一新する。
ヤクシカはあちらこちらで見かけたけれども、人に慣れているのか、警戒しつつも逃げようとしない
爺岳。山頂の特徴的な岩はあちこちから目にすることになった
栗生岳山頂の岩
宮之浦岳山頂を目指して巨岩と笹原の中を登る
宮之浦岳山頂から永田岳
宮之浦岳山頂からの眺め
焼野三叉路への下り。水が豊富で花崗岩の表面が凍っている箇所もあり、要注意
永田岳は、次の機会に是非登ってみたい
高度を落とし再び樹林帯へ。なんというのか、屋久島の樹木は生命力が旺盛で、豊かという言葉では足りず、貪婪な感じさえ受ける
本日の宿、高塚小屋に到着。一番乗り。しかし、このあと小屋はいっぱいになり、外にも5つほどテントが張られるほどに
縄文杉の周りにも誰もいない
三日目の夜明け。今日も快晴
縄文杉
椿の花をついばむ鳥
ウィルソン株、巨大だ。遠くから眺めるしかできない縄文杉よりも大きさを実感できる。
ウィルソン株の中には清水が湧き、祠が祀ってある
大株歩道入口で、トロッコの軌道に出会う
トロッコの軌道より。左側奥の顕著なピークが爺岳
楠川分れでトロッコ軌道から分かれて辻峠に登り返す。
巨岩を樹木が抱え込み、その樹木にまた別の木がまとわりつき、のしかかる。岩から生える木は、奥秩父などでも見られるが、屋久島は数も規模も大きいように思う。
花崗岩の中に白い長石。長さ6-7センチはあるだろうか、こんなに大きな長石の結晶は見たことがない
巨岩から立ち上るエネルギーが樹木になるのか、樹木が岩からエネルギーを吸い尽くそうとしているのか・・・。おそらく見かけとは裏腹に屋久島の土壌は薄く養分にも乏しく、巨岩を被う苔が土壌の役割を果たし、そこに生えた樹木の表面を被う苔がさらに他の木々の土壌を為すのであろう。数百年の移り変わりを早送りしたら、恐竜が争い合うような映像になるような気がする。
唐突に聞こえるかもしれないが、HRギーガーの絵を思い浮かべた人はいるだろうか?
辻峠から寄り道をして太鼓岩に登る
太鼓岩で一気に展望が広がる。宮崎アニメのファンならずとも是非訪れるべきところだ。
爺岳、栗生岳、宮之浦岳など縦走してきた山々を見渡す。手前の森はかつて縄文杉に覆い尽くされていたというからすごい。
東シナ海も見渡せる
太鼓岩からの眺望
なるほどここになら巨大な山犬が棲まっていても不思議はない
苔むす森
確かに豊かで美しいのだが、調和というような穏やかなものではなく、生命がせめぎあい、互いに貪りあっているとでも言えばいいのか・・・
白谷雲水峡の管理小屋。ここで協力金300円を支払う。バスはここから出る
下山の翌日訪れた大川の滝(おおこのたき)そばの海岸
大川(おおこ)の滝。日本の名瀑100選の一つだそうで、水量も多く迫力満点
平内(へいうち)の海中温泉。干潮時間の前後2時間ほど岩場に現れる温泉。開放感たっぷり。
装備・携行品
シャツ | アンダーウェア | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 | レインウェア |
登山靴 | バックパック | 水筒・テルモス | ヘッドランプ | タオル | 帽子 |
グローブ | 着替え | 地図 | コンパス | ノート・筆記用具 | 腕時計 |
カメラ | 登山計画書(控え) | 健康保険証 | ホイッスル | ロールペーパー | 非常食 |
行動食 | 軽アイゼン | トレッキングポール | GPS機器 | ストーブ | 燃料 |
クッカー | カトラリー |
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