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山小屋泊でも持参機会が増える携行用シーツ。2種を比べてチェック!

高橋庄太郎の山MONO語り
道具・装備 2020年07月31日

 

今月のPICK UP

コクーン(COCOON)/インセクトシールドサファリトラベルシーツシルク

価格:価格:13,000円(税別)
重量:160g
サイズ:210cm×86cm
カラー:2色

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モンベル(mont-bell)/キャンプシーツ

価格:価格:1,900円(税別)
重量:241g
サイズ:最大長184cm×最大幅77cm
カラー:2色

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新型コロナウィルスの影響で、山小屋の営業形態が大きく異なる本年。感染のリスクを少しでも軽減するために、「シーツ」の持参を求めている小屋も出ている。山小屋に備え付けられている布団の下に組み合わせて使い、登山者同士の体の間接的な接触を避けて衛生を保つためだ。たとえシーツの持参を要請していない山小屋に泊まる場合でも、他者への配慮と自衛のために持っていくのはよいことではないだろうか? 実際、すでにアウトドアメーカーのシーツの販売は例年以上の伸びを見せているようである。

ここで今回ピックアップするシーツは、コクーン「インセクトシールドサファリトラベルシーツシルク」と、モンベル「キャンプシーツ」の2点である。

これらはじつに対照的な製品だ。とくにわかりやすい“違い”は素材と価格だろう。「インセクトシールドサファリトラベルシーツシルク」(以下、トラベルシーツ)の素材はシルク、価格は13,000円。「キャンプシーツ」の素材は75デニール・ポリエステルタフタで、価格は1,900円である。主にシルクとポリエステル・タフタという“素材”の違いによって、じつに7倍以上の価格差が生まれているのだ。コクーンにもコットンやウールを使った安価な製品があり、モンベルにもシルクを使った高級路線の製品を持っており、多様な登山者の考え方や用途に合わせられるような製品展開を行なっている。これら2点はあえて対照的な一例として選んであることには注意してほしい。

 

比較のため自宅でテスト ①コクーン「トラベルシーツ」

では、トラベルシーツのほうから説明を始めたい。実際に山小屋でテストできればよいのだろうが、公共の空間で長時間撮影やテストするのは難しく、僕の自宅での撮影/テストとなっている。画像の雰囲気がだいぶ家庭っぽいがお許しいただきたい。

前述したように、最大の特徴はシルク製ということだ。シルクは吸湿性・通気性・保温性などの機能に優れ、静電気が起きにくい。そして軽量で、引き裂き強度も強いのが長所だ。しかし高級繊維の代名詞的存在であるように、とても高価である。また、トラベルシーツはシルクに「インセクトシールド「という防虫加工をプラスし、ますます“素材”としての機能を強化している。防虫機能はキク科の植物に由来し、人体に無害。70回もの洗濯にも耐えうるという。

サイズはかなり大きく、210×86cm。大人2人でも入れそうなほどゆったりとしている。それなのに、収納サイズは17.5×10cmと非常にコンパクトだ。重量は160gである。

シングルサイズのベッドの上に広げた状態が、上の写真。シーツ全体が同じカラーで頭を置く場所がわかりにくいため、白い枕を置いてみた。

サイドの一方(体を入れたときに右に来る側)は大きく開いており、内部に体を入れやすい。

頭の部分は袋状になっている。この部分は寝袋のように頭を入れて使えなくもないが、そのためには少々奥行きが狭すぎる。枕を内部に入れて清潔さを守るために使うほうが現実的だ。

開いている部分にはファスナーやスナップボタンは付属せず、小さな面ファスナーが角の部分についているのみ。

寝心地を損なう硬いパーツがついていないのは好印象だが、一方で小さな面ファスナーはすぐにはがれてしまい、テスト時は寝ているときにシーツが体から外れやすかった。

さらっとした触感のシルクだけに摩擦感が少なく、すんなりと体を入れられる。

ただでさえ大きめのサイズなのに入り口付近にはさらに余裕があり、緩やかに体を覆うような感覚だ。筒状の形状だが、一般的な一枚布のシーツのような使い心地なのである。

その理由は、入り口付近に大きなマチがとられていること。とくに体を入れたときに左側になるほうは、なんと30cm近くも上下に広がるのだ。

この逆側(右側)のマチは15cm程度しかないが、もともと右側は大きく広がるため、それでも十分すぎるくらいである。

長方形型のトラベルシーツは、当然ながら足元も広い。

とくに立体的にデザインされているわけではないが、長さも幅も十分すぎるほどあり、まったく圧迫感がない。

足も大きく動かせる。

86cmの幅で両足を動かせるのだから、寝相が悪い人でも窮屈ではないだろう。

縫い合わせは二重縫いで、強度を上げている。

丁寧に作られていると感じるのは、ステッチの部分。シーツの表面はステッチが2本出ているが、シーツの裏面はステッチが1本しか出ていない。肌に触れる面に露出するステッチを減らすことで、シルクの肌触りを損ねていないのである。

実際にこのシーツで寝てみたときは気温がかなり高かったが、吸汗性も上々であることがわかった。べたついて肌に張り付くようなこともなく、生地が湿ったような感覚も少ないのである。

上はスプレーで水を噴射したときのものだが、数分もすると水濡れで色が濃くなっていたカラーがもとに戻った。吸汗速乾性はたしかに問題ないようである。

スタッフバッグはドローコードで閉められる巾着式。サイドにはストラップが付いている。先ほど書いたように、収納サイズは17.5×直径10cmだ。

しかし、シーツをある程度きちんとたたまないと、このスタッフバッグには入れにくい。収納サイズがもう少し大きくなってもいいので、もっと大きめのスタッフバッグのほうが、簡単に収納できてよい気がする。それにしても、210×86cmのシーツがこれほどコンパクトになるのだから、シルクという素材は大したものである。

 

比較のため自宅でテスト ②モンベル「キャンプシーツ」

次に、キャンプシーツを見ていこう。

素材はポリエステル・タフタ。75デニールの生地には厚みもあり、いかにも強靭な素材である。少しでも汚れたら簡単に洗濯できるのも大きなメリットだ。

形状は一般的な山岳用の寝袋と似ており、足元がシェイプ。いわゆるマミー型である。だが、頭部のフードは省かれており、サイズは184×最大77cmだ。これが15.5×直径9cmのスタッフバッグに収納できる。重量は241gだ。

ベッドの上に広げるとこのような状態。体を入れると実際の幅は40~50cm程度になる。

首元にはコードストッパー付きのドローコード。

体を入れてから閉めれば、保温力がアップされる。

寝袋と同様のマミー型の形状だが、サイドが開くわけではない。そのために体を入れるときは少々窮屈である。

しかし素材がとにかく強靭なので、生地を引っ張りながら体を押し込んでいける。それでも生地が破れそうもないタフさはすばらしい。

広げたときには足元がシェイプされて狭そうに見えるマミー型だが、キャンプシーツは足元を立体化している。

だから足首を曲げている状態でも圧迫感とは無縁だ。リーズナブルな価格になるように簡素に設計されたシーツなのに手を抜いておらず、好印象である。

だが、足元が立体化されているといっても、マミー型であることには変わらず、足を大きく動かすことはできない。

しかし、この点は一般的な大半の寝袋と同様。普段から寝袋で寝ることに慣れている人には、まったく問題ないだろう。

縫い合わせはトラベルシーツと同じで、こちらも二重縫い。ただし、トラベルシーツとはステッチが出る面の使い方が異なる。

キャンプシーツのほうは、ステッチが1本だけ露出する面を外側に使い、2本出るほうを内側に使っているのだ。これはおそらく生地の特性によるもの。張りのある生地のキャンプシーツはステッチが1本しか露出していない面の縫製箇所が膨らんでしまうため、よりフラットになるステッチが2本の面を肌に触れる側にしているのであろう。

スプレーで水を吹き付けると、あっという間に水分を吸収し、周囲に拡散されていくのがわかる。その結果、水分はすぐに乾燥していく。

さらっとした感覚はシルク以上ともいえ、汗ばむ夜にはこのシーツだけで眠るのもよさそうだ。

同素材でできたスタッフバックは、こちらも巾着式。バックパックの中から引き出しやすいように、指をかけるスリットがつけられている。

張りがあって畳みやすい生地ということもあり、スタッフバッグには楽に収納できる。

 

枕や布団と組み合わせて。フェリーのキャビン内やテント+寝袋でもチェック

さて、ここまではシーツ単体で見てきたが、シーツというものは他の寝具と組み合わせて使うことを想定している。そこで、以下はシーツの上にブランケットや布団をかけて使ったときの様子だ。

こちらは「トラベルシーツ+ブランケット」。

とても柔らかな素材のシルクは横たわった体の上にフィットし、体の凹凸がブランケットに伝わる。そのためにシーツの上からブランケットがずり落ちにくい。相性は間違いなくよい。

次に「キャンプシーツ+ブランケット」。

キャンプシーツは生地がそれほど広くないため、体を入れると、体の凹凸が表面に出にくい。また表面はつるっとした感触だ。そのために、上に乗せたブランケットがトラベルシーツよりも少しずれやすいようであった。

 

次はたまたま乗船したフェリーのキャビン内で撮影したカットだ。備え付けの布団を不特定多数の人間が共同で使うという意味では、山小屋の状態と近い。もちろん、きれいに洗濯されたシーツが用意されていて、本来は組み合わせて使うわけだが、今回は持参したシーツを使ってみた。

というわけで、こちらは「トラベルシーツ+中綿入り布団」。

この布団は表面がツルツルとした生地だったが、トラベルシーツとの相性もよく、気持ちよく使える。まるで自分のベッドで寝ているような感覚だ。

そして、こちらが、「キャンプシーツ+中綿入り布団」。

布団に重みがあるためか、ブランケットのように滑ることもなく、使い心地は上々。頭部がすっきりしているので、このような狭い場所ではトラベルシーツよりも邪魔にならなかった。

今回はコロナ禍の状況を踏まえ、山小屋泊を想定したテストを行なったが、アウトドア用シーツはテント泊のときに使うことも考えられている。今回取り上げたなかでは、とくにキャンプシーツは商品名に「キャンプ」という言葉が入っているように、もともと山小屋よりもテント内で寝袋と組み合わせて使うことを想定して作られたものなのである。

そこで、テント泊のときに「トラベルシーツ+寝袋」も試してみた。

トラベルシーツはとても面積が広い反面、素材のシルクは柔らかでしなやかだ。そのために狭い寝袋の中に押し込んでもあまり違和感なく使える。しかし生地が広い分だけ内部で生地がもつれることもあり、トラベルシーツの持ち味がブランケットや布団と組み合わせたときほどは感じられない。ちなみに、寝袋の内部にトラベルシーツを使った場合、メーカーの算出では体感温度が5.3℃プラスされるという。手持ちの寝袋の保温力に不安がある方は、組み合わせて使うとよいだろう。

そして最後に「キャンプシーツ+寝袋」。

もともと寝袋と組み合わせて使うように設計されたマミー型ということもあり、寝袋内部へ非常によくなじむ。頭部のフードを省いているから首周りの生地のもつれもなく、さすがの使い心地だ。メーカーが算出した数値はないものの、こちらも寝袋の保温力を向上させるのは間違いなく、夏はこれ一枚で、寒い時期は寝袋と組み合わせてと、さまざまな使い方ができそうである。

 

どんなシーンで使うことが多いかによって、自分好みのシーツを探そう

このような持ち味が異なる2点のシーツ。これらを僕の好みで比較すると、どうなるか?

“山小屋のみ”で使用するなら「トラベルシーツ」だろう。頭部付近もカバーすることができ、枕も覆うことができるため、山小屋が用意している布団に触れる部分を一切なくすことができ、とても衛生的だ。気軽には購入できない価格なのが難点だが、シルクの肌触りもじつに心地よい。

テント内でも使うなら「キャンプシーツ」だ。モノ使いが荒い僕にはキャンプシーツの強靭さは頼もしく、何度でもガンガン洗えるのも魅力的である。そして、2,000円を切る低価格! これなら気軽に誰でも購入に踏み切れるはずだ。一般的な寝袋と同じようなデザインで、単体で使いやすいのもいい。しかし頭部はむき出しになり、共同使用する布団や枕と触れやすくなるため、山小屋では別に枕カバーも用意するなどの対策を立てるべきかもしれない。

地味な存在なので普段は注目されにくいアイテムではあるが、山小屋やテント内で使えるアウトドア用のシーツは想像以上の幅広さで製品展開されている。今回ピックアップしたものはあくまでも一つの例だ。自分好みのものを探してみてほしい。

 

 

テント用品 登山グッズ
教えてくれた人

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版)ほか著書多数。

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