クセを直して 快適に歩く 『膝を痛めない、疲れない Q&Aでわかる 山の快適歩行術』
評者=西野淑子(フリーライター)
当たり前にできることを、「技術」として人に伝えるのは難しい。その最たるものが「歩き方」ではないかと思っている。歩けることが当たり前だと思っている人は、うまく歩く方法なんて考えたことがないはずだ。
本書は「快適に歩くための技術」を解説する。うまく歩くとはどういうことか、スムーズな重心移動とは何か、安定した歩行に必要な関節の柔軟性、膝痛のリスクを軽減するフラットな着地……。登山者が快適に歩けない状況を分析し、原因と対処を理論的に、写真を交えてわかりやすく解説している。
著者の野中径隆さんは歩行技術をテーマにした講習会を精力的に行なっている登山ガイド。歩行に不安をもつ多くの登山者に接しているだけに、解決の方法が具体的で心強い。
本書で野中さんが提案するのは「自分の体を、歩き方のクセを知ること」。うまくいかない根本の理由を知り、そこを改善することで歩行技術が向上する。クセを矯正し、関節や筋肉を柔軟にするのは正直時間がかかる。しかし、小手先のテクニックではなく、時間をかけて得られたノウハウは、一度身につけばずっと使い続けられるものだ。
歩行技術に自信がない人はもちろん、自分の登山に悩みひとつなく歩けている人にも一読を勧めたい。もっと快適に、効率よく歩けるヒントがこの本には詰まっている。私も近いうちに、自分の歩いている姿の動画を撮り、歩き方のクセを確認したいと思っている。
(山と溪谷2020年10月号より転載)
☆本書の元になったヤマケイオンラインの連載「理論がわかれば山の歩き方が変わる!」は現在も好評連載中です!
登る前にも後にも読みたい「山の本」
山に関する新刊の書評を中心に、山好きに聞いたとっておきもご紹介。
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