うちはね、ラーメンもおいしいんですよ! 埼玉県飯能市の「そば處・長寿庵」で満足オムライス

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下山後に味わいたい粋なごはんを紹介するライター西野 淑子さんの「下山メシのよろこび」。今回は西武池袋線・飯能駅から歩いていけるメニューの豊富な!?おそば屋さんへ。


奥武蔵登山の起点となるのが、西武池袋線の飯能駅。

西武秩父線沿線の山に向かうときはここで乗り換えになるし、飯能駅からバスでアクセスする山も多い。飯能駅から歩いていける天覧山は春はサクラやツツジ、秋は紅葉の名所だ。特急が停車する駅でもある。以前日和田山でクライミングをした帰りに「飲むなら飯能駅まで戻ったほうがいいんだよ。電車の本数も多いし特急も止まるから、泥酔していても帰れる」と先輩が話していたのを思い出す。

春の天覧山はツツジが楽しめる(山が好き!さんの登山記録より)

 

駅周辺は栄えていて、下山メシで立ち寄れるお店は多い。駅の近くになんとなく入ってしまうことが多いけど、少し違うところを探してみようと思い立った。お目当ては以前ネットで見て気になっていた「オムライスが名物のそば屋」。

飯能市「そば處長寿庵」外観

「そば處 長寿庵」。飯能駅から徒歩5分ほど、マンガ「ヤマノススメ」のキャラクターの看板が目印だ。店内はレトロな食堂の雰囲気。小上がりとテーブル席。壁にかけられたメニューも昭和っぽくていい感じ。

 

メニューを見て、オムライスを確認。本当にある。ご飯もの、定食もののラインナップも豊富だし、え、ラーメンもある? 飯能のご当地グルメ「すいーとん」もあり、飯能野菜を使ったそばのメニューもある。酒のつまみによさそうな一品料理も多い。ここはそば屋ではないのか?

おそばも味わいたいと思いつつも、初志貫徹で「オムライス」を注文。「大きいですか?食べきれますかね?」と一応お店の方に聞くと、「ご飯が2合ちょっとあるんですよね。…少なめにしましょうか?」と聞いてくれた。有り難い。

ぼーっとしながら料理を待つ。炒め物の軽快な音が厨房から聞こえてくる。地元の常連さんぽい方がお店に入り、うな重を注文する。…え、うな重?

そしてオムライス登場。昔の町中華っぽい器に盛りつけられた、昔ながらのスタイルのオムライス。きれいなラグビーボール型、がっつりトマトケチャップがかけられている。装飾いっさいなし、直球勝負が潔い。

飯能市「そば處長寿庵」人気のオムライス

創業時からメニューにある「オムライス」

薄い卵に覆われた中身はご飯がぎっしり。スプーンですくって断面を見るとかなりの迫力だ。一口味わう。中のケチャップライスは思ったよりあっさりやさしい味。炒めた玉ねぎや細かくきざまれた豚肉が味のアクセントになっているみたい。ケチャップと和えながらどんどん食べ進める。…あれ、スプーンが止まらない。あっという間になくなってしまうな。普通盛りでもよかったよ、これは。

付け合わせのスープはラーメンのスープだろうか。味わいのある少し濃いめの醤油味、山帰りにはちょうどいいかもしれない。

*  *  *

「おそば以外のメニューも多いんですね」帰りに聞いてみた。

「うちは『町の大衆食堂』なんです。だからそばもあるけどご飯ものもラーメンも、なんでもあるんですよね」と若旦那さんが笑顔で答えてくれた。素材や製法にこだわる敷居の高い名店ではなく、地元の人も観光の人も、美味しいものでお腹を満たしたいすべての人をやさしく受け入れてくれる、気兼ねなく楽しめる食堂。下山後に私が立ち寄りたいのはこういう店だ。

次はおそばを食べにきますね、と伝えたら「うちはね、ラーメンもおいしいんですよ!」とお店の方に言われた。…いやそこはそばを勧めたほうがいいんじゃないのか。でもいい。そばでも、オムライスでも、カレー丼でも。気心の知れた山仲間と一品料理を味わいながら飲むのもよさそうだ。飯能は「天覧山」というお酒もある。次はいつ、どの山に行こう。下山メシ目当てに山を決めるのも悪くない。


そば處 長寿庵

西武池袋線飯能駅から徒歩5分、飯能銀座商店街に立つ、きどらない雰囲気のそば処。定番のそばのほか、オムライスやラーメン、丼ものなど豊富なメニューで、地元の人にも人気。

住所:埼玉県飯能市仲町7-28
電話:042-972-3596
Twitter:https://twitter.com/chojyuanhanno

※新型コロナウイルス感染予防対策の関係で、休業あるいは営業時間・形態等に変更がある場合があります。ホームページより最新情報をご確認のうえ、お出かけください。

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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