白布温泉中屋別館不動閣でオリンピック風呂と米沢牛を楽しみ、花盛りの西吾妻山に登る

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第18回はワタスゲとチングルマが咲く西吾妻山の山麓、白布温泉へ。

写真・文=月山もも

福島県と山形県の県境にある吾妻連峰の最高峰・西吾妻山は、両県からアクセス可能ですが、公共交通機関利用の場合は山形県側からの便が良いです。

山形新幹線米沢駅から登山口となる天元台高原まで直通バスがあり、ロープウェイとリフトを使って標高1310m地点まで標高を上げることができます。

 

6月下旬はワタスゲとチングルマが花盛り

リフトを降りて樹林帯を30分ほど登っていくと、目指す西吾妻山の姿を眺められる開けた場所に出ます。あたりはワタスゲが密集して咲いており、白いフワフワとした綿毛を揺らして出迎えてくれました。

ワタスゲに別れを告げ、緩やかな木道を歩いて西吾妻山の山頂に近づいていきます。木道の周辺にはチングルマが一面に咲き乱れていました。

花の季節の西吾妻山に来るのは3度目でしたが、チングルマとワタスゲの両方が楽しめる一番いい時期に来ることができて本当にうれしかったです。

木道が終わると、山頂に向けて残雪の残る道を登っていきますが、周囲には青空を映しだす池塘も点在し、心を和ませてくれました。

西吾妻山の山頂は眺望はありませんので、登頂後は山頂手前の展望スポット「天狗岩」で昼食を食べ、来た道を戻ります。

帰りもリフトとロープウェイを乗り継いで、天元台高原に戻ってきました。

 

天元台高原の周辺には白布温泉や新高湯温泉など温泉宿が点在しており、登山の前後に温泉も楽しむことができます。

今回は、山麓の白布温泉の中屋別館不動閣に前泊しての登山でした。

 

せせらぎが聞こえる、レトロな雰囲気の室内

宿泊したのは、昭和39年、先の東京オリンピックの年に建てられたという「渓谷館」という棟にある部屋です。

最上川源流に沿って建っており、窓を開けると川のせせらぎが聞こえてきました。

新緑が生い茂っていて川の流れを見ることはできませんが、川の音と木々の緑で目も耳も癒やされます。

建物は新しくはないものの、部屋には洗面所とトイレが付いており、冷蔵庫やポットもあってWi-Fiも利用できるので快適に過ごすことができました。

 

広いオリンピック風呂と渓谷沿いの露天風呂

中屋別館不動閣には男女別の内湯と大浴場があり、脱衣所もそれぞれ分かれています。

まずは内湯の「オリンピック風呂」に向かうと、白布温泉の石を切り出して作られたという聖火台が飾られていました。

昭和39年10月、先の東京オリンピックと時を同じくしてオープンした大浴場ということで「オリンピック風呂」の愛称で呼ばれているこちらの浴室ですが、とにかく広いです!

何十人でも入れそうな広い浴槽には、熱めの源泉がかなりの勢いでかけ流されています。この日は独占状態で楽しむことができました。

その後に入った露天風呂は、内湯よりはお湯はややぬる目になっており。長湯も楽しめます。初夏の爽やかな風を感じながらの湯浴みは、とても贅沢なひとときでした。

 

地酒を楽しみつつ米沢牛の陶板焼きをいただく

食事は、朝夕共に食事処でいただきました。隣の席との距離も十分に空いているので、一人でもゆったりと食事を楽しめます。

お酒は「地元酒造日本酒おためしセット」を注文しました。10種類のお酒の中から好きなものを3種類選べるというセットです。決められたセットではなく、自分で選べるのはうれしいですね。

お刺身は鯉の洗いとこんにゃくを、酢味噌に付けていただきます。山形県は長野県と並んで鯉をよく食べる地域なんですが、この後の揚げ物も鯉の唐揚げでした。からりと揚がっていて、お酒のつまみにぴったりの味わいです。

夕食のメイン料理は「米沢牛の陶板焼き」です。すき焼きやしゃぶしゃぶよりも、肉の旨みがしっかり味わえるのがいいなと思いました。

この他に米沢牛すじ肉の煮込みと山形名物玉こんにゃくも提供され、こちらにも牛肉がたっぷり! 甘辛い味付けで、お酒もご飯も進んでしまいました。

最後に、デザートのメロンをいただいて、ごちそうさまでした。

 

翌朝の朝食も同じ食事処で、焼き鮭、温泉玉子、冷や奴、納豆などの定番料理のほか、山菜の小鉢が並んだのが山の宿らしくてうれしかったです。

チェックアウト後は天元台のロープウェイ乗り場まで宿の車で送っていただきました。
ロープウェイまでの送迎のほか、ロープウェイの割引券が貰えたり下山後も無料で入浴できたりと、登山者向けのサービスが充実している宿ですので、次回は秋に泊まって、紅葉の西吾妻山を歩いてみたいなと思っています。

 

*紹介した食事、サービスは2020年6月取材時の内容です。
 

中屋別館不動閣

料金:1泊2食付き/1室1名利用14,450円~、2名11,150円~

住所:〒992-1472山形県米沢市白布温泉(大字関1514)
電話:0238-55-2121
HP:https://www.fudokaku.com/

 

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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