『山と溪谷』最新号の付録は、専用紙を使った本格登山地図。「槍ヶ岳・穂高岳 詳細登山MAP」で夏山を楽しもう!

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最新号の『山と溪谷』7月号は、「槍・穂高大全」と題し、槍ヶ岳と穂高岳の全登山ルートを網羅、その魅力に迫る特集になっている。さらに、綴じ込み付録「槍ヶ岳・穂高岳 詳細登山MAP」は、これまでの付録地図にない本気の仕様になっている。何が凄いのか、今回はそのポイントを紹介しよう。

最新号の『山と溪谷』7月号は、「槍・穂高大全」と題し、槍ヶ岳と穂高岳の全登山ルートを網羅、その魅力に迫る特集になっている。さらに、綴じ込み付録「槍ヶ岳・穂高岳 詳細登山MAP」は、これまでの付録地図にない本気の仕様になっている。何が凄いのか、今回はそのポイントを紹介しよう。

文=山と溪谷編集部

地図専用紙を使った本格仕様の詳細登山MAP

POINT 1

縮尺2万5000分の1の地形図にルートの詳細情報が盛りだくさん

登山で使用する紙地図として最もスタンダードなのは、昭文社の登山地図『山と高原地図』シリーズや、国土地理院発行の「2万5000分の1地形図」だろう。

『山と高原地図』シリーズは、エリア全体を把握したり、登山道情報やコースタイムを確認したりするのに便利な登山地図だ。しかし、5万分の1と縮尺が小さいものが中心なので細かな地形を読み取るのはやや難しい。 一方、「2万5000分の1院地図」は、縮尺が大きいので文字情報がなくても細かな起伏といった地形情報を把握できるが、コースタイムなどの登山のための文字情報は記載されていない。 そこで、掲載エリアを限定し、地形図のように地形情報を読み取れ、登山地図のように文字情報も充実させたのが本付録「槍ヶ岳・穂高岳 詳細登山MAP」だ。

地図の範囲を限定し、コースタイムや登山道情報などを掲載しつつも細かな地形も読み取れる仕様に

POINT 2

コースの難易度が区間ごとにひと目でわかるピッチグレードを掲載!

この登山地図の最大のポイントがこの「ピッチグレード」だ。コース上の技術的難易度を区間ごとに5色で色分けして、その難しさがひと目でわかるようになっている。

一般的に登山コースの難易度は、コース全体を通しての歩行時間、総距離、累積標高差などの体力的難度と技術的難度などを換算して総合的な評価を示している。そのため、槍・穂高連峰などでは危険箇所がごく一部のコースだとしても、技術的難度が上がり、総合的に「難しい」とされるコースが多い。しかし、常に難しい歩行が続くわけではない。

本地図に記載したピッチグレードは、長野県および岐阜県が作成している「山のグレーディング」に合わせて、登山道の状況や、登山者に求められる技術・能力によりAからEの5段階で示している。ピッチグレードの技術的難易度の目安は下記のとおり。

★登山コースの技術的難易度について
[登山道の状況]
  • おおむね整備済み
  • 転んだ場合でも転・滑落の可能性は低い
  • 道迷いの心配は少ない
[登山者に求められる技術・能力]
  • 登山の装備が必要
[登山道の状況]
  • 沢、崖、場所により雪渓などを通過
  • 急な登下降がある
  • 道がわかりにくいところがある
  • 転んだ場合に転・滑落事故につながる場所がある
[登山者に求められる技術・能力]
  • 登山経験が必要
  • 地図読みのの能力があることが望ましい
[登山道の状況]
  • ハシゴ・鎖場、また、場所により雪渓や徒渉箇所がある
  • ミスをすると転落・滑落などの事故になる場所がある
  • 案内標識が不十分な箇所も含まれる
[登山者に求められる技術・能力]
  • 地図読みの能力、ハシゴ・鎖場などを通過できる身体能力が必要
[登山道の状況]
  • 厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・鎖場、ヤブこぶを必要とする箇所、場所によ雪渓や徒渉箇所がある
  • 手を使う急な登下降がある
  • ハシゴ・鎖場や案内標識などの人口的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い
[登山者に求められる技術・能力]
  • 地図読みの能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
  • ルートファインディングの技術が必要
[登山道の状況]
  • 緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する
  • 深いヤブこぶを必要とする箇所が連続する場合がある
[登山者に求められる技術・能力]
  • 地図読みの能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
  • ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
  • 登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある
[登山道の状況]
  • おおむね整備済み
  • 転んだ場合でも転・滑落の可能性は低い
  • 道迷いの心配は少ない
[登山者に求められる技術・能力]
  • 登山の装備が必要
[登山道の状況]
  • 沢、崖、場所により雪渓などを通過
  • 急な登下降がある
  • 道がわかりにくいところがある
  • 転んだ場合に転・滑落事故につながる場所がある
[登山者に求められる技術・能力]
  • 登山経験が必要
  • 地図読みのの能力があることが望ましい
[登山道の状況]
  • ハシゴ・鎖場、また、場所により雪渓や徒渉箇所がある
  • ミスをすると転落・滑落などの事故になる場所がある
  • 案内標識が不十分な箇所も含まれる
[登山者に求められる技術・能力]
  • 地図読みの能力、ハシゴ・鎖場などを通過できる身体能力が必要
[登山道の状況]
  • 厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・鎖場、ヤブこぶを必要とする箇所、場所によ雪渓や徒渉箇所がある
  • 手を使う急な登下降がある
  • ハシゴ・鎖場や案内標識などの人口的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い
[登山者に求められる技術・能力]
  • 地図読みの能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
  • ルートファインディングの技術が必要
[登山道の状況]
  • 緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する
  • 深いヤブこぶを必要とする箇所が連続する場合がある
[登山者に求められる技術・能力]
  • 地図読みの能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
  • ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
  • 登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある

たとえば、横尾山荘から涸沢経由で北穂高岳に向かうコースを地図上で見てみると


横尾山荘から涸沢までは「青」、涸沢から南稜取付までは「黄」、南稜取付から北穂高岳南峰までは「赤」、北穂高岳南峰から北穂高岳北峰は「黄」となっている。

つまり、コース上では南稜取付から北穂高岳南峰までの区間が最も難しいとわかる。ピッチグレードを見ながら登るコースを決めて計画を立てたり、登っている最中にこれから通過する場所の難易度を再確認できるのだ。


POINT 3

裏面には難度の高い岩稜の詳細図なども収録

槍・穂高連峰最大の見どころにして最大の難所である岩稜。岩稜とひと口に言っても、鎖場にハシゴ、すれ違いが困難な道幅の狭い箇所、落石の発生しやすい箇所など、さまざまなリスクが潜んでいる。そんな危険箇所の情報は、2万5000分の1縮尺の地図には載せきれないため、裏面にて詳細図を掲載している。

技術的難度の高い区間には
地形図を拡大した詳細図も掲載

また裏面には、詳細図だけでなく、槍ヶ岳と北穂高岳北峰からの展望を確認できるパノラマ図も収録。パノラマ図には山名が記載されているので、山頂での山座同定でも活躍すること間違いなし。さらに、本地図には折りに強い特殊用紙を採用しているので、折れ目による破れが起きにくくタフに使える(耐水ではないので注意)。

ぜひ、実物の地図で確認してもらいたいパノラマ図

と、つい熱く語ってしまったが、これまでの付録にはない本格仕様の地図であることが伝わっただろうか。なお、特集本編では、槍・穂高の自然や歴史、コースの魅力を徹底的に解説しているので、そちらも楽しんでいただきたい。そして、槍・穂高に登る際には、この地図をお忘れなく!

『山と溪谷』2021年7月号

山と溪谷2021年7月号 山と溪谷2021年7月号

特集「槍・穂高大全」
 ・第1部 不朽の名ルート
 ・第2部 静寂の名ルート
第2特集「夏山登山 体のトラブル対策術」
綴じ込み付録「槍ヶ岳・穂高岳詳細登山 MAP2021」「エリア研究4尾瀬」


Amazonで見る

発売日:2021年6月15日  価格:本体価格1,320円(税込)
ページ数:212 商品ID:2821901560
https://www.yamakei.co.jp/products/2821901560.html

『山と溪谷』2021年7月号

山と溪谷2021年7月号 山と溪谷2021年7月号

特集「槍・穂高大全」
・第1部 不朽の名ルート
・第2部 静寂の名ルート
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価格:本体価格1,320円(税込)
ページ数:212
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プロフィール

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2024年5月号の特集は「上高地」。多くの人々を迎える上高地は、登山者にとっては入下山の通り道。知っているようで知らない上高地を、「泊まる・食べる」「自然を知る・歩く」「歴史・文化を知る」3つのテーマから深掘りします。綴じ込み付録は「上高地散策マップ」。

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From 山と溪谷編集部

発刊から約90年、1000号を超える月刊誌『山と溪谷』。編集部から、月刊山と溪谷の紹介をはじめ、様々な情報を読者の皆さんにお送りいたします。

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