登山に欠かせないバックパックの種類と選び方を解説!

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登山を安全に楽しむには、飲み水や食べ物など、欠かせない荷物があります。それらを持ち運ぶアイテムが、バックパックもしくはリュックやザックと呼ばれる装備です。今回はバックパックの種類と選び方を覚えましょう!

文=吉澤英晃、写真=福田 諭

目次

登山の必需品バックパックとは?

バックパックは、登山に欠かせない荷物を入れて持ち運ぶための装備です。肩にかけるショルダーバッグや腰に巻くウエストポーチと違い、両肩にかけて上半身と腰で重さを分散できるため、20kgを超えるような重い荷物もバランスよく背負うことができます。

登山用バックパックの特長

登山用に開発されたバックパックは、耐久性に優れ、体に触れる部分には汗をかいても快適に背負い続けられる素材が使われていることが多いです。また、タイプにもよりますが、ストラップやポケットが多い点も特長といえます。

タウン用のリュックと比較して、その特長を確かめてみましょう。

タウン用のリュック。これも両肩にかけて荷物を背負う道具ではある

体に触れる部分を見ると、左のタウン用に対して右の登山用はクッション材やメッシュ素材が使われている。一般的には背面に型崩れを防ぐフレームを内蔵し、骨盤を包み込むウエストベルトも搭載する

両サイドにも特長があり、登山用には基本、容量を調整できるサイドコンプレッションストラップがある。一般登山を想定したタイプだと、多くのモデルがサイドポケットも備えている

持ち物が少ない日帰り登山ならタウン用を使ってもいいかもしれませんが、荷物が増えて重くなる1泊以上の山行には、やはり快適に背負うことができる登山用を選んだ方がいいでしょう。

バックパックの種類は主に2つ

バックパックの選び方を覚える前に、まずは種類をチェックしましょう。バックパックは荷物を運ぶシーンによって、トレッキングパックとクライミングパックの2つに分けることができます。

【トレッキングパック】登山道を歩くにはこれ

カリマー/クーガー55−75

トレッキングパックは、登山道を歩く一般登山を想定して作られたバックパックです。ポケットの数が多く、体に当たる部分には肉厚のクッション材が使われているため、使い勝手が良く体への負担も少ない点が特長といえます。

これから登山を始める方は、まずはトレッキングパックから検討するといいでしょう。

【クライミングパック】登攀シーンが多いルートに最適

登山道を歩くだけでなく、手足を使って壁を登るクライミングシーンを意識したタイプがクライミングパックです。基本的にトレッキングパックよりもポケットの数が少なく、ショルダーストラップなどは薄いモデルが多いため、とても軽量で手足を上下に動かしやすい点が大きな特長です。

番外編:【アタックザック】少ない荷物で行動したいときに役立つ

カリマー/マースパネルロード18

ちなみに、バックパックには“アタックザック”と呼ばれる種類も存在します。これは本体を小さく収納でき、メインとなるバックパックに入れて持ち運ぶことができる“サブバッグ”のこと。

こちらのモデルは内側のポケットに本体を収納可能

どんなときに役立つのかと言うと、たとえば山小屋を起点にして山頂を往復して戻ってくる場合など、メインのバックパックでは大きすぎる、必要最低限の荷物を背負いたいシーンに重宝します。背面にフレームが入っていないため背負い心地はほかのタイプよりも劣りますが、日帰り登山に使うことも可能です。

もう迷わない! バックパックの選び方を覚えよう

バックパックの種類をチェックできたら、次は選び方を確認しましょう。ポイントは種類、容量、サイズの3つ。これらのポイントさえ押さえれば、数ある商品の中から望み通りのバックパックが見つかるはずです。

使用シーンで種類を決める

先ほど説明した通りバックパックには大きく分けて2つの種類があります。一般登山で使うならトレッキングパック、岩場を登るシーンが大半を占めるならクライミングパックを選ぶといいでしょう。

登山道と岩場が交互に現われるような行程でも、半分以上は歩くシーンになるはずなので、まずはトレッキングパックから検討するのが無難です。

山行計画から必要な容量を選択する

容量は左から、45L、30+5L、27L。計画に合う大きさを選ぼう

種類を絞れたら、次は容量を選びましょう。登山の計画は大きく、テント泊、山小屋泊、日帰りの3パターンに分かれ、それぞれに適した容量があります。

  • テント泊(45L以上)
  • 山小屋泊(30~35L)
  • 日帰り(25~30L)

テント泊向きのバックパック(45L以上)

もっとも荷物の量が多くなるのがテント泊です。以前までは60L前後が目安と言われていましたが、装備の軽量コンパクト化が進んだいまでは、1泊2日程度なら45L前後で充分。これ以上の大きさは長期縦走用と考えるといいでしょう。

山小屋泊向きのバックパック(30~35L)

ミレー/サースフェー30+5

次に荷物が多くなるのが山小屋泊です。2日分の食べ物(行動食)と、なかには着替えを持っていきたい方もいるでしょう。そのため、山小屋泊には30〜35Lがベスト。このサイズは市場でいちばん選択肢が多く、人気の高さがうかがえます。

日帰り登山向きのバックパック(20~30L)

ドイター/フューチュラ27

もっともミニマルな荷物で登山を楽しめるのが日帰り登山です。1日分の食べ物と飲み水、そのほかの装備を入れるには、25〜30Lの容量があれば充分。登山だけでなく旅行などにも使いやすい容量なので、デザイン重視で選ぶのもありです。

体にフィットするサイズを選ぶ

バックパックは同じモデル名でも、S、M、Lとサイズが分かれており、女性用の展開がある場合もあります。そのため、種類と容量が決まったら、最後は体にフィットするサイズかどうかを確かめましょう。

サイズを確かめるには、実際に背負ってみることをおすすめします。ここではバックパックの背負い方を覚えましょう。

まずはショルダーストラップを緩めてから、骨盤を包み込む位置でウエストベルトをしっかりと固定します。

ウエストベルトが固定できたらショルダーストラップを引いて、ウエストベルトがずり上がらないように注意しつつ、余分な弛みをなくします。

ショルダーストラップの上部分にあるストラップを手前に引いて、バックパックの重心を背中側に移します。

最後にチェストストラップを脇の上、鎖骨の下にくる高さで水平に固定して、胸が苦しくならない長さに調節します。

背負ってみたときに、ショルダーストラップの付け根が肩甲骨付近に位置している状態が理想です。サイズが合っていないとウエストベルトが骨盤よりも高くなってしまったり、肩とショルダーストラップとの間に余計な隙間ができたりします。

種類と容量とサイズが決まれば、あとは見た目の良さなどで選んでもOK。最後まで抜かりなくチェックして、長く愛用できるバックパックを手に入れましょう!

Check!

  • 一般登山にはトレッキングパックがおすすめ。
  • バックパックの選び方は、種類、容量、サイズの3つがポイント。

補足:荷物が増えてバックパックが重い場合の背負い方

日数が長くなり荷物の量が増えてバックパックが重くなると、簡単に背負うことが難しくなります。最後にバックパックが重い場合の背負い方を紹介しましょう。

バックパックが重いときはショルダーベルトの上部を掴み、いったん膝や太腿の上に持ち上げます。

持ち上げたバックパックのショルダーストラップに片方ずつ腕を通していきます。

両方の腕を通して両肩と背中で背負うことができたら、ウエストベルトやショルダーストラップの長さを調整していきます。

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プロフィール

吉澤 英晃

1986年生まれ。群馬県出身。大学の探検サークルで登山と出会い、卒業後、山道具を扱う企業の営業マンを約7年勤めた後、ライターとして独立。道具にまつわる記事を中心に登山系メディアで活動する。

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