「幸せを呼ぶ青い蜂」ルリモンハナバチ

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文・写真=昆野安彦

ルリモンハナバチはハチ目ミツバチ科に属す昆虫。その青く輝く形態からハチのなかでは極めて人気が高い。普通にはなかなか見ることのできない希少性の高い昆虫で、地域によっては絶滅危惧種に指定されており、また、その生態についても分からない点が多い。時々どこかでこのハチが発見されると、その地域はもちろん、全国ニュースになることもある。その珍しさや美しさから「幸せを呼ぶ青い蜂」と呼ばれることもある。

私もこの青い蜂のことは知っていたが、全国ニュースで報道される発見地は西日本がほとんどで、私が住む仙台で見ることは難しいだろうと思っていた。ところが、である。つい今しがた、私はこの青い蜂に遭遇してしまった。場所は自宅近くの仙台市大年寺山(だいねんじやま、標高約120m)にある仙台市野草園。ここは私の自然観察のお気に入りの場所だが、いつものようにさまざまな生き物を撮りながら歩いていると、目の前の花になんとこの青い蜂が飛来したのである。

慌てたのはもちろんだ。こんな機会は滅多にあるものではない。動揺しつつも何とかカメラを構えると矢継ぎ早にシャッターを押したわけだが、それがここに掲げた写真である。たしかに美しい。こんな綺麗なハチは見たことがない。ネットで検索すると、仙台におけるこのハチの発見例は出てこないので、もしかすると仙台では初めての発見かもしれない。

それにしても、何という幸運だろう。フィールドに出ていると、いろいろな発見や遭遇があるものだが、まさかこのハチに仙台で出会えるとは……。もしこの青い蜂が本当に幸せを運んでくれるのなら、コロナで意気消沈する日本国民に勇気と希望を与えてくれればと思う。


「幸せを呼ぶ青い蜂」ルリモンハナバチ

ツツジ科のホツツジの花を訪れた
「幸せを呼ぶ青い蜂」ルリモンハナバチ。
本当に幸せを運んでくれるのだろうか。
(2021年8月24日仙台市野草園で撮影)

 

プロフィール

昆野安彦(こんの・やすひこ)

フリーナチュラリスト。日本の山と里山の自然観察と写真撮影を行なっている。著書に『大雪山自然観察ガイド』『大雪山・知床・阿寒の山』(ともに山と溪谷社)などがある

ホームページ
https://connoyasuhiko.blogspot.com/

山のいきものたち

フリーナチュラリストの昆野安彦さんが山で見つけた「旬な生きものたち」を発信するコラム。

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