「今すぐ、この痛みを和らげたい!」山でもできる腰痛解消方法 その2

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鍼灸師・活法師「からだ自然Labo空」院長の根本国彰先生が、みなさんの登山ライフの指針となるような情報をお届けする『鍼灸師 ネモ先生の山と身体の羅針盤』。「山=登る」を主軸に、登山やクライミングに関した身体の悩み、症例、対策などを紹介しています。第五回は、"その場でできる腰痛解消方法 その2"。「今すぐ、この痛みを和らげたい!」の希望にこたえます。

前回は、腕が原因となっている腰痛の解消法をお伝えしましたが、今回は腰痛全般に効果のある対処法をご紹介します。

東日本大震災の折は、泥かきの慣れない作業で腰を痛めたボランティアの人たちを、その場ですぐに動けるようにした技が今回ご紹介する腰痛解消法です。整体の源流だといわれている「活法」を応用した方法で、普段は術者が患者に施術する技ですが、一人でもできるようにアレンジしました。野外での効果も織り込み済みなので、登山の現場で、ぜひご活用を!

石巻にてボランティアで施術の様子

 

早速ご紹介、その名も「腰ばさみ」 

①腰の動きのチェック

立った姿勢での前屈、腰の回旋(正面を基準に左右への回り具合)を確認

 

②痛いところをチェック

・腰の痛みの強いところをピンポイントで確認
・左右どちらかだけに痛いポイントが出現していることが多い
・左右とも痛いポイントが確認される場合もあり

 

③足を軽く開き、②でチェックしたポイントを母指で押さえる

・押して少し痛いぐらいにやや強めに押さえる
・左右にポイントがある場合は両方同時に押さえる
・片側だけ痛い場合でも反対の手は腰に添えておく
・顔は正面を向く(注:下を向かない)

 

④母指で押さえたまま屈伸を10回

・母指の押さえが緩んでいかないように頑張る
・終始顔は正面のまま、体が前かがみにならないように頑張る
・姿勢と母指の押さえに気をつけながらゆっくり行うこと
・膝の曲がりは最大でも90度まで(それ以上曲げると姿勢と母指の押さえが緩んでしまう)
・10回屈伸をしたら深呼吸を入れる

 

⑤ ①で確認した腰の可動域が変化した事を確認する

ぎっくり腰のように急性の腰痛ならいざ知らず、慢性の腰痛であればその原因を探ると、仕事上や日常の姿勢の悪さ、生活習慣の注意不足によるメタボリックシンドローム(脂肪の多さ〈体重〉に反して筋力が足りない)といったことが絡んでいることが多いです。「姿勢に気をつけ、普段から適度な運動を心がけましょう」と患者さんに指導していくことは、医療者として真っ当な筋になります。

しかし、患者さんにしてみれば「自分の生活習慣が悪いのは理解しているし、これから気をつけようとは思うけれど、とりあえず今の辛さを少しでも楽にして欲しい」というのが本音です。最初に痛みを軽減し、後でじっくりと腰痛の核心にせまる治療を行っていけば、両者の思惑が汲めるということです。

(注意点) この動きができないほどの腰痛や、長引いている腰痛の場合、骨折や内臓の病変が隠れている可能性もあります。その場合は早めに病院や専門医療機関で受診しましょう。

 

◇お知らせ
定期的に開催し、今回で第5回目となる『クライマーのための身体ケア講座』を9月17日に開催します。第5回目の内容は「身体の土台を整える」。今回紹介した腰痛解消法や、当院での施術に取り入れている活法整体をベースに、骨盤や股関節といった身体の土台と呼ばれるところを改善する方法を紹介します。詳細は以下。

日時:9月17日(日曜日)15時~※約1時間
場所:ボルダリングサイト・ビースリー春日部
参加費:無料(ジム利用料別途)
持ち物:筆記用具
募集人数:先着15名
対象者:大人(子供は親同伴で可)
参加申し込み:前日までにビースリーにご連絡下さい(当日参加は先着人数次第で可)

◇お問い合わせ先
ボルダリングサイト・ビースリー春日部
048-741-0959

プロフィール

根本 国彰

はり・きゅう師、碓井流活法会員、日本森林保健学会会員
からだ・自然Labo~空【ku:】~院長
多くのクライマーや登山者のケガや症状を診てきた経験から、一昨年より関東周周辺のクライミングジムで「クライマー治療室」を定期開催している。『山と溪谷』や『CLIMBING joy』、その他山岳雑誌などでクライミングや登山に関する身体のケア方法を紹介している。

鍼灸師 ネモ先生の山と身体の羅針盤

鍼灸師・活法師の根本国彰氏が、登山やクライミングに関した身体の悩み、症例、対策などを紹介。登山ライフの指針となるカラダの情報を説明します。

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