好天を狙って入笠山でスノーハイキング、 眺望抜群のレストランでソースカツ丼を味わう

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1年を通じて多くの登山者が訪れる、南アルプス前衛・標高1955mの入笠山。冬はスノートレッキングのメッカでもある。登山を終えたら、すばらしい景色を眺めながら食事をし、山の余韻に浸りたい。

写真・文=西野淑子

 

仕事の休みと天気のよい日が重なって、久しぶりに入笠山を訪れた。

初夏にはスズランの名所として知られるこの山は、冬はスノーハイキングが楽しめる。ゴンドラを利用すれば標高1780mの登山口から、1時間ほどで山頂にたどり着けてしまう。とはいえ、積雪はそれなりにあり、短いながらも山頂直下は急斜面が続く。アイゼンやスノーシューなどのスノーギアは必携だ。

JR富士見駅からシャトルバスで富士見パノラマリゾートに行き、スキーヤーに混じってゴンドラで山頂駅へ。自前のスノーシューを装着し、トレッキングポールをセットしてスタート。針葉樹の森から広々とした入笠湿原に出て、急な斜面を登って山頂へ。よく踏み固められていて歩きやすいのだが、最後はなかなか急な登りで息が上がる。慎重に足を進めると、いきなり樹林が切れ、山頂に到着。

写真の説明

入笠山山頂から八ケ岳方面を望む

目の前に八ケ岳がどっしりとそびえる。南側には南アルプス・甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳が連なり、富士山が秀麗な姿を見せている。中央アルプスから御嶽山、乗鞍岳、そして北アルプスの山々。まさに360度の展望が広がっている。

いやあ、いい日に来ちゃったなあ…。嬉しくてニヤニヤしてしまう。

モデルコース:入笠山

 

コースタイム:ゴンドラ山頂駅(20分)入笠湿原(55分)入笠山(45分)入笠湿原(20分)ゴンドラ山頂駅   計2時間20分 

*積雪期、スノーシュー着用でのコースタイム

アクセス:JR中央本線富士見駅からバスまたはタクシー10分。1日2本、富士見駅から富士見パノラマリゾートへのシャトルバス運行。

山頂駅のレストランで景色を楽しみ、信州名物に舌鼓

帰りは来た道を戻る。写真を撮ったり、トレースを外してフカフカ雪を楽しんでいたら案外に時間がかかった。

富士見パノラマスキー場は、ゴンドラ山頂駅と、スキー場の山麓にレストランがある。下山してほっとしたら急にお腹がすいてきた。そそくさと山頂駅のレストラン「スピカ」に向かった。

写真の説明

山頂駅にあるレストラン スピカ

…思っていたよりメニューが多い。35周年復刻ビーフシチュー、石焼ビビンバ、豆腐をまるごと1丁使っているという麻婆豆腐、馬もつ鉄板焼き…、どれも美味しそうではないか。ビールに合いそうなおつまみ類も多くて心が揺らぐ。

メニューの看板の前でうろうろしながら悩んで、結局決めたのは「信州名物」と書かれたソースカツ丼。つくづく「ご当地名物」という言葉の魔力に弱い。しかも私はカツ丼が大好きなのだ。受付で食券をもらい、カウンタ−で料理を受け取る。

広々とした店内は明るいガラス張り、目の前がゲレンデで、八ケ岳が大きく見渡せる。窓際の特等席は先客がいたが、それでも十分景色を楽しめるのがありがたい。

写真の説明

「信州名物」ソースカツ丼。味噌汁と香の物がセット

丼の上にみっしりとカツが乗り、ソースがたっぷり。いただきます。

ご飯、キャベツとともにカツを一口。甘辛いソースの風味が口いっぱいに広がる。千切りキャベツの食感もよい感じ。普段は濃いめのソース、味付けが苦手なのだが、山のあとは無性に味の濃いもの、しょっぱいものが恋しい。

息も着かずにガツガツと食べ進める。体がじわじわと温まってくる。

食べる手を止めて窓の外を見る。青空と真っ白く雪をかぶった八ケ岳が美しい。暖かい部屋の中から絶景を眺めて食事ができるなんて、贅沢だなあ。

写真の説明

店内からは八ヶ岳が一望できる

お腹いっぱい、ごちそうさま。

…と、お店を出ようとしたら、美味しそうなケーキセットを持ったスキーヤーが隣の席に座った。

ああ、食後にケーキ、うらやましいな。そろそろバスの時間が気になるから今日はこれで帰るけど、山を眺め、甘いものを味わいつつ、山の余韻に浸るのもよかったな。

店名:レストラン スピカ

富士見パノラマリゾートのゴンドラ山頂駅に併設のレストラン。天井が高く開放的な店内で、八ケ岳を眺めながら食事が楽しめる。
※レストラン スピカは冬季のみ営業(3月下旬まで)

電話:0466-62-5666

住所:長野県諏訪郡富士見町富士見6666-703

サイト:https://www.fujimipanorama.com/snow/

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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