雑木林が心地よい奥武蔵で丘陵ハイキング 北欧の世界に浸りながらカフェめしを楽しむ

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奥武蔵の玄関口、飯能(はんのう)市と入間(いるま)市にまたがる加治(かじ)丘陵。雑木林をのんびりと歩き、北欧の童話の世界を思わせる公園で一息ついた。

写真・文=西野淑子

桜山展望台は三六〇度の展望。天気に恵まれれば富士山もくっきりと

3月の終わり、加治丘陵を訪れた。

ちょっと時間が空いたとき、緑に触れたいと思ったときに足を運ぶルートのひとつだ。奥武蔵らしい雑木林、行程の大半は舗装道路だけど木々の緑は心地よく、途中には関東平野を一望にできる桜山展望台もある。西武池袋線の仏子(ぶし)駅から歩き始め、元加治駅に下山できる、駅から駅へと歩ける手軽さもありがたい。

このルートが好きなのは丘陵の心地よさもあるが、山麓にある「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」の存在が大きい。北欧の童話の世界を再現したような公園、自然の地形を生かした園内にメルヘンチックな建物が点在する。丘陵を歩き、この公園で昼食をとりながらのんびり過ごすのが好きだ。園内のランドマーク「きのこの家」は中の造作もすばらしく、毎回入ってしまう。

モデルコース:

コースタイム:仏子駅(1時間5分)桜山展望台(30分)トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園(25分)元加治駅 合計2時間

⇒ヤマタイムで地図を見る

彩りよく優しい、北欧の味覚に触れる

昼過ぎに公園に到着、さてお昼にしよう。

柔らかな日差しが降り注ぐ、のどかな雰囲気の園内で目を引く青い建物が「カフェプイスト」だ。プイストとはフィンランド語で公園の意味なんだそう。メニューには北欧料理もあり、食の異文化交流(?)も楽しめるのがおもしろい。最近訪れたときはゆっくりできる時間がなくて入店を諦めたのだが、今日は時間にゆとりがあり、お店も少し空いていた。よかった。

青い建物が目を引く。入口左側にテラス席あり

地元の木材を豊富に使った店内はとても居心地がよさそうだったけど、お客さんが多く混み合っていたので、テラス席で料理をいただくことにした。テラス席利用の場合は先にレジで注文をする。写真と簡単な説明付きのメニューを見ながら、なににしようかと逡巡・・・。

以前食べた北欧風のオープンサンド、スモーブローがおいしかったからそれにしようかと思ったが、目に入ってしまったのが「ヤンソンフレステルセ」。フィンランド語で「ヤンソンの誘惑」ですと? 気になり過ぎて思わずオーダー。ドリンクは自家製北欧風のアレンジドリンクなる「グロッギ」を。今日は北欧尽くしだね・・・。

地元の西川材をふんだんに使った店内。木目が美しい

テラス席で園内を眺めながら一息。木々の芽吹きにはまだちょっと早かったけど、空気がだいぶ春らしくほんのり暖かい気がする。小さな子ども連れのファミリーが多くて和む。店の外の空色の小屋ではジェラートを販売していて、そちらもたびたびお客さんが訪れている。

それほど待たずに料理が登場。
まずグロッギを一口。ふわっとスパイスの香りが漂う。甘くてまろやかな、温かいジュース。見た目はちょっとワインっぽいけど、ノンアルコールだね。初めての味、おもしろいなぁ。北欧ではクリスマスの時期に飲まれるものだそう。

グロッギはカップの底にフルーツがたっぷり沈んでいた

ヤンソンフレステルセはじゃがいものグラタン。あとで調べてみたら、スウェーデンの伝統的な家庭料理のひとつだという。じゃがいもがポクポク、アツアツ。グラタンのソースはまろやかな中にもコクのある塩味が。なんだろう…と思ったら、アンチョビだったらしい。付け合わせのニンジンのマリネの酸味がほどよくて好きな感じ。ライ麦パンが添えてあり、グラタンのソースをからめたら、これまた相性抜群、そうだよね、そうだよね。

ヤンソンフレステルセ。ライ麦パンとサラダが付いて彩り鮮やか

グロッギは、カップの底にフルーツが沈んでいた。スプーンですくって一口。ジュースがよく染みたフルーツがたっぷり、優しい甘みがうれしい。

お腹いっぱい、ごちそうさまでした。北欧料理、なじみのない料理だったけど、優しい味わい、じんわり染み渡った。

ちなみに、ヤンソンフレステルセは今シーズン、冬限定のメニューだった。季節でメニューを少しずつ替えているそう。なかなか味わう機会のない北欧の料理、こんどはどんなメニューに出合えるのかしら。次回訪れるのが楽しみになってきた。

店名:カフェプイスト
トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園の園内に立つカフェ。木材の雰囲気を生かした心地よい店内で、北欧の料理やデザートが味わえる。
電話:080-4122-0141
住所:埼玉県飯能市大字阿須893-1
アクセス:西武池袋線元加治駅から徒歩20分

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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