車山高原でスノーシューハイクし、温泉山岳ホテルアンデルマットでフォンデュ・シノワーズ
ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第26回は車山高原のスノーハイクを楽しみ、スイスの山小屋のようなホテルへ。
写真・文=月山もも
霧ヶ峰の最高峰・車山は、車山高原スキー場のリフトを利用して山頂直下まで到達することができるため、年間を通じて登山者が多い山です。よく晴れた2月の週末に、車山高原でスノーハイクを楽しむことにしました。
リフトで一気に山頂へ、青空の下スノーハイク
茅野駅からバスに乗って終点の車山高原で下車。往復のリフト券を購入し、スキー客に混じってリフトの列に並びます。
リフトを乗り継ぎ、一気に車山の山頂直下へ。
5分も登れば山頂ですが、いったん車山乗越に下りて車山肩を経由し、車山周辺をスノーシューで一周することにしました。
よく晴れて風もなく、絶好のスノーシュー日和です! つぼ足だとコースをはずれると深く踏み抜いてしまうので、この季節はスノーシューかワカンがあったほうが良いですね。
雪がない時期に毎年のように訪れている山ですが、冬に来たのは今回が初めて。歩き慣れた車山周辺の登山道が、いつもとまったく違う景色を見せてくれて感激しました。
車山肩からは山頂にある気象レーダー観測所のドームを目指して登っていきます。
たどり着いた山頂からは八ヶ岳が美しく見え、その隣には富士山も姿を見せてくれました。
反対方向には北アルプスもくっきりと浮かび上がって見えます。これほど遠くの山がよく見えるのは、空気が澄んでいる冬だからこそでしょうね。
2時間ほどスノーシューハイクを楽しんで、またリフトで戻ります。降りていく間も八ヶ岳がずっと見えていて、幸せな時間でした。
薪ストーブが燃えるアンティークなラウンジ
車山高原から10分ほどバスに乗り「西白樺湖」バス停で下車。送迎をお願いしていた宿の車に乗って、温泉山岳ホテル アンデルマットに到着しました。スイスのアンデルマット村と、地元のエコーバレースキー場(休業中)が姉妹提携していることからついた名前だそうで、ホテルのオーナーさんが、その姉妹提携に尽力されたそうです。冬はスキーを楽しむお客さんが多いようです。
宿泊するお部屋はスイスの山小屋を思わせる、アンティークな雰囲気のツインルーム。窓からは山並みが眺められ、長いつららが並んでいるのも山の宿ならではですね。
お部屋の雰囲気も素敵ですが、さらにすばらしいのが薪ストーブのあるラウンジです。
ソファやテーブル、ランプなどの多くは、18〜19世紀にヨーロッパで作られたものだそう。滞在中はコーヒーやお茶、お菓子などのサービスがあり、アンティークなソファに腰掛けてコーヒーをいただきつつ、夕食までの時間をゆったりと楽しむことができました。
貸切利用の温泉浴室にはサウナやジャグジーも
館内には温泉浴室が5箇所あり、すべて貸切で利用します。
この日は半露天風呂の「アルペンの湯」は気温が低いためかお休みでしたが、4箇所のうち2箇所の浴室を楽しむことができました。
「泡の湯」はログハウス風の浴室で、浴槽は源泉100%の温泉ジャグジーです。
サウナも付いており、独り占めするにはもったいないほど広く、贅沢な空間でした。
「殿城の湯」では、諏訪地方で取れる「鉄平石」で造られた浴槽に、ph.9.7の高アルカリ性の源泉が満たされています。
一人静かに湯に浸かり、体の芯まで温まりました。
お風呂上がりにはラウンジで、サービスのアイスキャンディとコーヒーをいただきます。至れり尽くせり過ぎて、1泊で帰るのがもったいなく思うほどでした。
スイスの伝統料理、チーズフォンデュも堪能
夕食の席に着くとお酒が進みそうな前菜盛り合わせが登場し、たまらず地ビールの「白樺 蓼科」をオーダー。
本日のメイン料理は、宿で一番の人気だという「フォンデュ・シノワーズ」です。
「スイス風のしゃぶしゃぶ」だそうで、上質なビーフとポーク、野菜も新鮮なものがたっぷりと提供され、お代わりも自由。出汁を張った鍋でしゃぶしゃぶした肉や野菜は「ポン酢」「ごまだれ」の他「サルサソース」「ナッツクリームソース」につけていただきます。
濃厚なナッツクリームソースが特に気に入りました。
この他にも、スイス料理と言えば……のチーズフォンデュも登場!
お腹いっぱいですが、デザートの焼き林檎とアイスクリームはしっかりいただいて、幸せな気持ちで眠りにつきました。
翌朝の朝食は、さまざまな種類のパンとワッフルから好きなだけいただきます。
どれも生地がしっとり、もっちりしていて上質なパンばかり。おかずも品数豊富、サラダの野菜は新鮮で、グラタンやフルーツまですべておいしかったです。
お腹いっぱいでワッフルが食べられなかったのが心残りだったので、次はきっと、夏に泊まりに行きたいなあと思っています。
*紹介した食事、サービスは2022年2月取材時の内容です。
温泉山岳ホテル アンデルマット
料金:1泊2食付き/1室1名利用19,800円~、2名20,900円~ ※プランによって変動
住所:長野県小県郡長和町 姫木平エコーバレー
電話:0268-69-2001
HP:https://www.andermatt.co.jp/
プロフィール
月山もも
山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。
ひとり温泉登山
山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。