膝の痛み対策講座① 登山者の「ひざのトラブル」アンケート 〜約7割の登山者が下山中に痛めていた!
なぜ登山時に膝が痛くなるのか。どうすれば膝の痛みを抑えることができるのか。本連載では、登山の膝痛を解明し、対策を紹介する。

膝痛に悩む登山者を対象にアンケートを実施!
登山時の体のトラブルで、一番多いのは膝の痛みだろう。登山をしている人ならば、誰もが一度は膝の痛みに不安を覚えた経験があるのではないだろうか。ヤマケイオンラインでは、登山者の膝痛の悩みを解消するために、膝痛対策の連載記事を掲載していく。
第一回は、登山者の膝痛の悩みの実態を把握し、分析してみたい。ヤマケイオンラインで、膝痛に関するアンケートを実施したところ、483名から回答が集まった。
回答者の基本情報を見ると、男女比では男性が69%、女性が31%、男女ともに50~60代が半数を占める結果となった。
基本データ


膝痛の悩みを抱える登山者の7割が下山中に痛めていた!
では、詳細にアンケート結果を見てみよう。
「膝痛の悩みを抱えていますか?」という設問には88%の人が「はい」と回答。「どんな悩みですか?」という設問で、痛むタイミングを聞いてみたところ、約7割が「下りで痛む」と回答した。重い荷物を背負って長時間下り続ける行為が、膝に大きな負担をかけているようだ。


膝痛の悩みを抱える人は、どの部位に痛みを感じるのか。痛む箇所は回答がさまざまだったが、主に「膝の皿の外側」「膝の皿の下側」「膝の内側」の3つが多く見られた。痛みの表現の仕方としては「ズキズキと痛む」という回答が圧倒的に多かった。
「一度痛み始めてからどの程度痛みが続きますか?」という設問に対しては、「数時間で痛みは引く」が37%、「1日~3日程度で痛みは引く」が41%と、3日以内に症状が治まる人が8割近い結果となった。

ここまでの回答結果から、登山者の膝痛は、「下山中に」「膝周辺が」「ズキズキと痛み」「3日以内に治まる」ことが大半を占めることがわかる。これらの結果が何を示すのか。日本登山医学会認定の国内登山医である油井直子先生にアンケート結果を分析していただいた。
「痛む箇所や症状は人それぞれ異なりますが、根本的な要因は共通しているようです。アンケート回答のように登山の途中で膝が痛む場合、その原因は筋肉など関節外にあることが多いです。下肢の筋肉の使いすぎと脚の疲労の蓄積が最大の理由でしょう」
決まったタイミングでいつも同じ場所が痛むのは、膝に関連する筋肉の柔軟性や筋力、脚裁きなどに弱点がある可能性が高いという。では、そういった膝痛を治すことはできるのか?
「原因が関節外にある膝痛は、歩行法の見直しやトレーニングで改善できる可能性が高いです」
次回は登山時の膝が痛むメカニズムについて解説する。
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