登山パーティの並び順、リーダーは先頭か最後尾か、 決まりはある?

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パーティで登山すれば、細い山道では当然1列になって歩くことになる。このときの歩く順番は、一般的にはどう決めるのだろう。先頭と最後尾、どちらがリーダーが担うべきなのだろうか?

 

リーダーは先頭? 最後尾?

質問:
仲間5人で登山に行く予定です。隊列で歩く際に、「リーダーは先頭を歩く」という人もいれば、「最後尾を歩く」という人もいます。一般的な登山パーティでは、例えば5人で歩くとしたら、どのような順番で歩くのが良いでしょうか?

リーダーは最後尾、サブリーダーが先頭、初心者は2番目が一般的

かつては、最も登山経験があって全体を見渡せるリーダーが最後尾を歩き、サブリーダーが先頭に立つのが一般的でした。

リーダーは、ルートの様子を最後尾で観察して「路肩が甘そうだから、もっと山側を歩こう」「風下に雪庇ができているかも」などと、的確な指示を出して注意を促したものです。また、行動中はパーティメンバー全員の様子を観察して、パーティの歩行スピードには付いていけない仲間がいた場合はペースを変えさる、あるいは荷物の分配を改めるなども行いました。

ほかにも、ふらついているメンバーがいないかなど、パーティメンバーの状況を広く見渡す役割が必要なことから、リーダーは最後尾を歩くのが常でした。

そして、最も初心者と思われる人が2番目に歩いて、その人の無理のない歩き方に配慮するのが先頭のサブリーダーの役割で、これが正しいパーティの順序だったように思います。

ここで、何となく“過去形”で述べたのは、最近は、これほど明白な役割をサブリーダーに設定するのが難しい場合が多いのでは? と感じるからです。

現実的には、今ではリーダーが先頭に立って道を確認しながらパーティ全体の様子を見て、遅れがちな人がいたら2番目を歩いてもらって、その人にも無理のないペースを作りながら、ルートの状況を観察してパーティ全体に注意をする、といったリーダーがいるパーティが多いのではないでしょうか? 

 

パーティ全員が一つの共同体として同じ目標に向けて行動すること

設問に対する回答は以上となりますが、最近の登山者のパーティ・・・、こんなにキチンと歩いてますか? 「それぞれのペースが違うから」「あの人、花の写真撮ったりするのに時間かかるから」など、理由はさまざまだと思いますが、登山道でポツンポツンと単独行のように離れて歩いている登山グループ(ちょっとパーティーとは言い難い)が、とても多いように感じています。

中には休憩場所は一緒でも、その間はバラバラなパーティもあります。もっと凄いのは、山小屋を朝出発して分かれ、次にパーティが集まるのは夕方、宿泊場所の山小屋といったパーティも見かけます。

パーティの中での順番は、基本が判っていれば、経験のためにも先頭を全員で輪番にする、という場合もあると思います。いずれにしても大切なのは、全員が一つの共同体として同じ目標に向けて行動することだと思います。

 

プロフィール

山田 哲哉

1954年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。 著書に『奥多摩、山、谷、峠そして人』『縦走登山』(山と溪谷社)、『山は真剣勝負』(東京新聞出版局)など多数。
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