はじめての親子登山のプランニング 後編
はじめての親子登山のプランニングの後編です。前編では「1.子どもの体力と趣味・嗜好を踏まえる」「2.候補の山をリストアップする」「3.自分たちらしい山に絞る」の3つについて話しました。後編では、「4.親子登山の所要時間」「5.服装・持ち物」を紹介します。
文・写真=長谷部雅一
4.親子登山の所要時間
子どもと登るのにどれくらい時間がかかるか。親子登山の所要時間の設定は、難しいようで実は簡単です。地形図や登山ルート紹介情報を見ると、さまざまなコースタイムが記載されています。たとえば、登山口から一つ目の分岐まで90分といったように書かれているのですが、これらはあくまでも目安だと認識しておきましょう。また、登山道にある道標の「頂上まで○○km・○○分」も同様です。おおよそですが、次のポイントに従ってコースタイムに時間を加算してみましょう。
<一般向け登山地図・情報>
初級など、初心者向けに記載されている場合
- 往復3時間のコースの場合、休憩、歩行時間を加算して2〜2.5時間増やす(所要時間5時間〜5時間半)
- 往復4時間のコースの場合は、さらに30分増やす(所要時間6時間〜6時間半)
<親子向け登山地図・情報>
対象年齢に合ったコースの場合
- 往復3時間のコースの場合、休憩、歩行時間を加算して1〜1.5時間増やす(所要時間4時間〜4時間半)
- 往復4時間のコースの場合は、さらに15分増やす(所要時間5時間15分〜5時間45分)
あくまでも目安として理解しておこう
これらもあくまで目安ですが、往復3〜4時間までのコースなら、事故やケガ、想定以上のペースダウンがない限り、ほどよい所要時間となります。ちなみに、これは私が親子向けの登山イベントを机上でデザインをするときに所要時間を計算する際の基準にしています。
5.服装・持ち物
大人だけでも、親子でも、登山に必要な基本装備は変わりません。ですので、目的の山の難易度に合わせた装備を準備すれば大丈夫です。このサイトでも紹介されているような装備品をしっかり準備をしましょう。
ただし、気をつけるべきポイントがいくつかありますので紹介しておきます。
①子どもに荷物を背負わせすぎないようにする
荷物が大きく、重くなりすぎると、余計な体力が奪われてしまいます。適切なのは体重の20%まで。背負わせすぎには注意しましょう。
グンと短くなってしまうことも…
②子どもの着替えは必ず持っていく
マイカーの方は車の中に、公共の交通機関の人は駅などのロッカーを活用して預けてもいいので、汚れることを前提に着替えを持っていきましょう。
親のイライラも解消されます
③多めに準備するべきファーストエイド
子どもは転倒、擦り傷は当たり前。迅速に対応してあげることで楽しく登山を継続できます。そこで、傷口や汚れをいつでも洗え、予備の飲料水としても使えるように予備の水や、つけると子どもが不思議と元気になる絆創膏類は多めに準備しておきましょう。
絆創膏は子どもの心まで治してくれる!?
④タオルやウェットティッシュなどの予備
登山中の汗や転倒時の泥、おやつやごはんをこぼすなど、子どもはなにかにつけて汚します。それらをすばやく拭き取って清潔な状態にしてあげるために、これらを多めに携行しましょう。これは親の精神安定上も有効な持ち物になります。
このふたつかもしれない
⑤小銭
登山道にあるトイレは、100円程度の寄付制や有料の場所があります。子どもはいつ何時、何回トイレに行きたくなるかわからないものです。小銭が足りずにトイレが使えない…なんでことがないように、小銭を多めに準備しましょう。
すぐに取り出せる場所に装備しよう
お話しした5つのポイントは親子登山のプランニングに必要な要素の一部ですが、これらを参考にしていただき、楽しい親子登山で思い出をつくっていただけたらうれしいです。
プロフィール
長谷部雅一
アウトドア・プロデューサー。アウトドア系プロジェクトの企画・コーディネート・運営のほか、幼稚園や保育園のコンサルタント業務も行なう。『アウトドアファブリック大全』(グラフィック社)、『自然あそびで子どもの非認知能力が育つ』(東洋館出版社)、『ネイチャーエデュケーション』(みくに出版)など著書多数。
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はじめての親子登山のヒント
はじめての親子登山に疑問はつきもの。子どもの野外体験や野外教育を手がけるアウトドアプロデューサーの長谷部雅一さんが、子どもと山に登る楽しみや成功のヒントを紹介します。