親子登山の楽しさは、登ることだけじゃない!
親子で山に登ってみたいけれど、どうしたらいいかわからない。山登りには慣れているけど、子どもを連れていくときは勝手が違うのでは・・・。親子登山を始めるにあたって、そうした疑問はつきものです。アウトドアプロデューサーの長谷部雅一さんが、子どもと山に登る楽しみや成功のヒントを紹介します。
文・写真=長谷部雅一
まずは行ってみよう!
「親子登山をいつかは家族でやってみたい!」そう思ったら、もしもその週末が天気であれば細かいことは抜きにして、行ってしまった方が断然いい。細かいこととは、「でも登山靴が・・・」「子ども用のバックパックが・・・」「シングルバーナーでコーヒー飲みたいけどガス缶が・・・」「自然の知識が・・・」といったこと。
もちろん山にはリスクはつきものだけど、絶対に失敗しないコース選びの方法もあるし、最悪お金と傘と絆創膏だけ持っていけばどうにかなる山だってあります。まずは自然公園内のちょっとした散策コースやハイキングコースだっていいと思います。とにかく大切なのは、まずは行くことです。
親子登山は、本や雑誌や人の話よりも、行った方が断然その楽しさがわかります。あくまで一例に過ぎませんが、今回は、僕の場合の親子登山の楽しさを紹介してみようと思います。
行きと帰りも楽しもう
がまん比べ大会が始まります。
こんな時間が登山を楽しい思い出にしてくれます
山登りを旅にしてくれる要素
(※中身はジュースです)
山に行く途中で「なにを買う?」といった
ワクワクする作戦タイムができるのがポイント
行きはコンビニやパーキングエリア、または駅そばなど、家族が食べたい朝食を食べ、コーヒーを飲みながら目的地まで移動します。また、途中で購入するおやつ選びやランチ選びもまた楽しいものです。特におやつ選びは組み合わせなども考えて、戦略的に選ぶことが大切。適当に甘いものばかり持っていったものの、山では全然食べる気にならなかったなんてこともあります。
下山後は、余裕があればお風呂に立ち寄ったり、小腹が空けば地元の名物にかぶりつき、自宅に帰る前にそのまま居酒屋で一杯、子どもはジュースで乾杯といった時間もつくれます。山登りもさることながら、実は、こうした寄り道も含めて、親子登山はトータルで楽しい時間になったりするのです。
親にとって楽しいこと
親子一緒だとうれしさが倍増します
記念写真も親子登山の楽しみのひとつ?
いつもよりもいろいろな話ができてしまう
これがまた会話のきっかけになります
親にとって楽しいのは、なんといっても子どもと一緒に自分が好きな山に登れることでしょう。また、普段は素っ気なくなってきた(これも子どもの成長なので仕方がないのですが・・・)子どもも、「あとどのくらい歩くの?」といった質問からはじまり、次第に「あ!この鳴き声はなんの鳥?」「おなか空いた〜」「最近○○○君とね、学校で・・・」といった具合に、子どもとの会話の時間が単純に楽しかったりもします。
また、大人だけで歩いているとそのまま素通りしそうなポイントで、子どもがいろいろなことに気づいてくれるので、楽しみがどんどん増えていきます。これは子どもが一緒に歩いてくれることで生まれる相乗効果です。
親子で自然を楽しむ
大人だけでは気づけないことも多いもの
見つけられる小さな自然は
山登りを数倍楽しくしてくれます
美しさや不思議さに気づくことができます
登っているときは身体的にはきついこともありますが、山登りの核となる楽しみはこれだと思います。四季があり、地域的な変化に富んだ日本の自然は、晴れ、曇り、雨などの天気や季節で大きくその姿を変えるため、同じ山に何回行っても同じ表情は一度もありません。
山頂からの絶景や広い青空もさることながら、森の中で見かけるすてきな草花や、不思議な形をした昆虫たち、ドキッとするような野生動物との出合いもまた山登りをグンと楽しくしてくれます。
行くまではおっくうかもしれませんが、親子で行くと、失敗も、つらさも、発見も、驚きも、おいしさも、すべてがミックスされて最終的に「楽しかった!」となるのが親子登山の醍醐味です。今年はせひみなさんにも楽しんでほしいなと思います。
プロフィール
長谷部雅一
アウトドア・プロデューサー。アウトドア系プロジェクトの企画・コーディネート・運営のほか、幼稚園や保育園のコンサルタント業務も行なう。『アウトドアファブリック大全』(グラフィック社)、『自然あそびで子どもの非認知能力が育つ』(東洋館出版社)、『ネイチャーエデュケーション』(みくに出版)など著書多数。
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