実際の見え方はどう違う? 登山向けおすすめヘッドランプ7モデルをテストレビュー!
市場に並ぶ登山向けヘッドランプ(ヘッドライト)は、光の照らし方や見通しの良さなど、モデルごとにどれくらい差があるのでしょうか? それぞれの違いを確かめるために、主要メーカーのおすすめモデル7台をピックアップして、実際に夜の山でテストしてきました。予想を越えたテスト結果をお伝えします!

- おすすめヘッドランプを日没後の山で試してみた
- 使用したヘッドランプ7つ
- ①【ペツル】アクティックコア
- ②【ペツル】ビンディ
- ③【ブラックダイヤモンド】ストーム450
- ④【ブラックダイヤモンド】スポット400
- ⑤【マイルストーン】MS-H1/ハイブリッドモデル・クール
- ⑥【マイルストーン】MS-H2/ハイブリッドモデル・ウォーム
- ⑦【レッドレンザー】MH5
- こんなに違う!? 各モデルの使用レビュー
- まとめ:テストを終えて
おすすめヘッドランプを日没後の山で試してみた

ヘッドランプは山登りに欠かせない必須アイテム。選ぶときは以下の3つのポイントが参考になります。
- バッテリーは充電に対応
- 形状はバッテリーパック一体型
- 遠距離対応の照射モードを備えている
※詳しくはこちらの記事をチェック!
■安全のために必ず用意しよう! 登山向けヘッドランプの選び方
しかし、3つの要点をクリアするヘッドランプも種類があり、それぞれにどんな差があるのか気になるところ。そこで今回は条件に合う7つのモデルをピックアップ。夜の山で細かな違いを確かめてきました。
使用したヘッドランプ7つ
まずはテストで使った7つのヘッドランプを紹介します。
①【ペツル】アクティックコア

価格:9900円
重量:75g
全光束:450ルーメン
保護等級:IPX4
カラー:レッド、他1色
ワイドとスポットをミックスさせた3パターンの照射モードにより、近距離、遠距離、素早い動きに対応。専用の充電池が付属するため、本体と充電池を別々に購入するよりコストパフォーマンスに優れます。単4電池でも使用可能。
②【ペツル】ビンディ

価格:6930円
重量:35g
全光束:200ルーメン
保護等級:IPX4
カラー:グリーン、他2色
軽量でありながら弱中強の照射モードを備える高機能が魅力。細いヘッドバンドは首にかけたときのストレスが少なく、ポールなどに巻きつけることもできます。予備のヘッドランプとしてもおすすめです。
③【ブラックダイヤモンド】ストーム450

価格:6050円
重量:89g(電池込)
全光束:450ルーメン
保護等級:IP67
カラー:オクタン、他3色
無段階で光量を変更できる機能を備え、ワンタップで最大照度に切り替えられます。粉塵が中に入らない防塵性能も特徴ひとつ。別売のBD1500バッテリー(3630円、充電器付き)と乾電池のいずれかを使用できます。
④【ブラックダイヤモンド】スポット400

価格:4840円
重量:78g(電池込)
全光束:400ルーメン
保護等級:IPX8
カラー:ウルトラピンク、他5色
基本的な機能はストーム450とほぼ同じで、乾電池のほか別売のBD1500バッテリーも使用可能。最大ルーメンと防水性がストーム450と異なり、こちらは深水1.1mの真水に30分耐えうる防水性能を誇ります。
⑤【マイルストーン】MS-H1/ハイブリッドモデル・クール

価格:6380円
重量:65g(専用リチウムバッテリー込)
全光束:530ルーメン
保護等級:IPX4
カラー:レタス
付属の専用リチウムバッテリーと単4電池も使用できる2WAYバッテリーシステムを採用。スポット、ワイド、ミックスの照射モードを搭載し、最大照射距離は驚異の160m。スポットとワイドの照射モードの光量は無段階で調節可能です。
⑥【マイルストーン】MS-H2/ハイブリッドモデル・ウォーム

価格:5830円
重量:65g(専用リチウムバッテリー込)
全光束:420ルーメン
保護等級:IPX4
カラー:サンド
明るさを追求して白色LEDを採用したMS−H1に対して、機能はそのままに暖かみのある電球色のLEDを採用したウォームモデルがこちら。ルーメンの値や照射距離は若干低下するものの、電池寿命は向上しています。
⑦【レッドレンザー】MH5

価格:6050円
重量:94g(電池込)
全光束:400ルーメン
保護等級:IP54
カラー:ブラック×グレー
シンプルなパワーとローパワーの2つの照射モードに加えて、レンズのフォーカス機能で光の広がり方をワイドからスポットまで自由に変更可能。付属の専用充電池のほか、単3電池1本でも使用できます。
こんなに違う!? 各モデルの使用レビュー
今回は各モデルを頭に巻き付けて、登山道の奥に向かって光を照射。各照射モードの見え方を確かめました。それぞれどんな違いが現れたのか、ひとつずつ見ていきましょう。
※ご利用のモニターによって明るさの見え方に差異があります。
①【ペツル】アクティックコア

照射レベル「弱」(右下)
足元がぼんやり照らされますが、カメラではほぼ写らない状況。ただ、テントの中などで手元を照らす分には十分の明るさがありました。
照射レベル「中」(左下)
だいぶ見通しが良くなり、遠くまで光が当たるようになりました。普段と同じ速度で歩ける明るさなので、行動中はこちらがメインの照射レベルになるでしょう。
照射レベル「強」(上)
遠くの木々までしっかり見えるようになり、視界の広さもアップ。この明るさなら速歩きや駆け足でも安心して行動できそうです。
②【ペツル】ビンディ

照射レベル「弱」(右下)
アクティックコアと比べるとさらに光量が少ない印象。手元を照らすことはできても行動中は「中」か「強」の照射モードがメインになるでしょう。
照射レベル「中」(左下)
写真ではぼんやりとしか写っていませんが、ゆっくりと歩く分にはこの明るさでも充分。広範囲が照らされて視界が広くなりました。
照射レベル「強」(上)
これでも遠くの木々は見えづらいですが、全体的に明るくなり視界がさらに広がったため、これなら普段と同じ速度で歩けそう。行動中の安心感が高まる印象です。
③【ブラックダイヤモンド】ストーム450

照射モード「ワイド」(右下)
照射角度がとても広く、視野に収まるすべての範囲を照らすほど。遠くの木々は見えませんが、近距離の見やすさが抜群に良いです。
照射モード「スポット」(左下)
照らす範囲は狭くなりますが、遠くの木々が見えるようになりました。写真が最も明るい状態で、この明るさから無段階で光量を減らすことができます。
照射モード「ミックス」(上)
ワイドとスポットを組み合わせた照射モード。消費電力は多くなりますが、光で照らされる範囲が最も広くなっているのが分かります。
④【ブラックダイヤモンド】スポット400

照射モード「ワイド」(右下)
照射角度はストーム450と同等。明るさにも違いは感じませんでした。
照射モード「スポット」(左下)
写真が最も明るい状態。ストーム450と同じく、スポット400もこの明るさから無段階で光量を減らせます。ストーム450と比べると暗さを感じますが実用面では問題ありません。
照射モード「ミックス」(上)
ストーム450と比べると、スポット400のほうが真ん中に光が集中しているように感じます。それでも広範囲を照らすことに変わりはなく、十分な視界を確保できました。
⑤【マイルストーン】MS-H1/ハイブリッドモデル・クール

照射モード「スポット」(右下)
光を集めて遠くを照らす照射モード。明るさは無段階で調整できます。照らす範囲は狭いですが、遠くの木まで光がしっかり届いているのが分かります。
照射モード「ワイド」(左下)
照射角度を広げたモード。こちらも明るさを無段階で調整可能。遠くの木は見えなくなってしまいましたが、広範囲を照らせるので行動時の安心感が高まります。
照射モード「ミックス」(上)
スポットとワイドを組み合わせた照射モード。こちらは光量を調整できません。登山道全体が奥のほうまで照らされるようになり、これなら素早い動きにも対応できそうです。
⑥【マイルストーン】MS-H2/ハイブリッドモデル・ウォーム

照射モード「スポット」(右下)
写真だとMS-H1より明るいように見えますが、実際の現場では違いを感じず。近くを照射してみると、こちらのほうが眩しくないと感じました。
照射モード「ワイド」(左下)
MS-H1のときよりも弱い照射レベルだったので写真では暗く写ってしまいましたが、足元を照らすには十分な明るさを備えています。
照射モード「ミックス」(上)
見やすさを比べるとMS-H1に軍配が上がりそうですが、やはり暖色の光は眩しさを感じにくいのが好印象。目がチカチカしにくいと感じました。
⑦【レッドレンザー】MH5

照射モード「パワー」(ワイド/左下、スポット/右下)
1回目のクリックで点灯する明るさがこちら。広範囲がぼんやり照らされます。ゆっくり歩くには問題ない明るさです。レンズのフォーカス機能を使ってスポット照射に切り替えると、光が収束して遠くの木が見えるようになりました。
照射モード「ハイパワー」(ワイド/左上、スポット/右上)
2回目のクリックでこの明るさ。他のモデルと比べて前方が真円状に照らされている様子が分かります。円の中はしっかり明るく外側は暗い。スポットも同じく小さな円の中を照らします。
まとめ:テストを終えて

正直なところ各モデルでこれほど光の照らし方に違いが現れるとは思っていなかったので、とても興味深いテストになりました。ただし、すべてが十分に実用的で、どれを選ぶかは好みに寄るところが大きい印象。最後に使用後の感想を簡単に紹介するので、ぜひヘッドランプを選ぶときの参考にしてください。
①【ペツル】アクティックコア
ボタンの作りが大きめでワンクリックごとに照射レベルが切り替わるので、扱いやすさを重視する人には特におすすめ。クリック感も強く非常に操作しやすい印象です。
②【ペツル】ビンディ
装備の軽さを重視する方や、とりあえず一台ヘッドランプを持っておこうといったニーズにはこちらがおすすめ。軽量コンパクトでこれほど実用的とは思ってもいませんでした。
③【ブラックダイヤモンド】ストーム450
ハードな環境での不具合を心配する場合、防塵等級を備えるストームが有力候補になるでしょう。ワイドモードの驚異的な照射範囲の広さも大きな魅力です。
④【ブラックダイヤモンド】スポット400
浸水1.1mの真水に30分耐える防水性能は、沢登りやキャニオニングなど水辺のアクティビティに最適。実際の明るさはストーム450とほぼ同じ印象でした。
⑤【マイルストーン】MS-H1/ハイブリッドモデル・クール
スペック通り、スポットとミックスの照射モードで光の届く距離の長さが驚異的。見通しの良さはテストした7モデルのなかでもっとも優れていると感じました。
⑥【マイルストーン】MS-H2/ハイブリッドモデル・ウォーム
目に優しい暖色系のLEDライトが好印象。テントの中でヘッドランプを長く使いたい場合などは、ウォームモデルの柔らかい光がおすすめです。
⑦【レッドレンザー】MH5
単3電池一本で使用できる利便性の高さが大きな魅力。テストした7つのモデルのなかで唯一ヘッドバンドから本体を取り外すことができ、本体に付いているクリップでバックパックのショルダーストラップに固定するといった使い方もできます。防塵等級をもつ保護性能の高さも見逃せない特徴です。
写真=福田 諭
プロフィール
吉澤 英晃
1986年生まれ。群馬県出身。大学の探検サークルで登山と出合い、卒業後、山道具を扱う企業の営業マンとして約7年勤めた後、ライターとして独立。道具にまつわる記事を中心に登山系メディアで活動する。
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