雪山の単独行って? 仲間の存在って? 山岳ガイドに教わる“雪山登山 入門のススメ”(3)

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雪山登山をはじめるにあたって気になることのひとつに、パートナーや仲間探しがあります。身近に雪山をやっている人がいれば一緒に行くところからはじめることを勧めますが、いない場合は単独ではじめますか? 仲間がいても、初心者レベルのパーティーだとどうでしょうか?

雪山の単独行って? 仲間の存在って?

質問:
雪山を単独で始めるのは危険でしょうか? 一緒に行く相手や、パーティによって行ける場所が変わってくると聞きますが、具体的には、どういうことでしょうか?

 

雪山に限らず単独で登山することは、一人であるが故の一定のリスクが生じます。例えば、ちょっとした転倒でも怪我をして歩けなくなることもあるでしょう。横断しようとした沢が増水していてロープで確保しながらでないと渡れない状況も考えられます。仲間がいれば解決できることでも一人だと致命的な事態に発展する事があることを、まず知っておくべきです。

雪山では無雪期の登山以上に仲間の存在が大きくなります。視界不良の中で自分の判断に自信がもてないときにルートを確かめ合うパートナーや、予想以上の降雪でラッセルが連続するときにラッセルの交代ができる仲間の存在は大きな力となります。

ほかの季節の登山と違って雪山は、ルートを見つけるところからはじまることを考えれば、単独行のハードルがより高いことは知っておくべきです。

また、パートナーやパーティーのメンバーによって行ける場所は当然変わります。雪山の場合、いざという時の駆け込み寺が少ない分、無雪期の登山よりシビアに考えなくてはいけません。

雪山初心者のパーティーであれば、入山者の多い低山で雪景色を楽しむ事からはじめてることを勧めます。雪の積もっている山に慣れたら、寒さの厳しい樹林帯の雪山で経験を積みましょう。そして、雪山テント泊へステップアップするのが良いでしょう。

同時に、重荷に耐えられる身体を作ること。アイゼンやピッケルの使い方を習得すること。ルートの判断方法、氷雪技術を身につけてください。

仲間と相談し、準備をし、経験する。その中で同好の小さな集まりが少しずつパーティーとして形成されていく過程を大切にしたらいかがでしょう。

プロフィール

山田 哲哉

1954年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。 著書に『奥多摩、山、谷、峠そして人』『縦走登山』(山と溪谷社)、『山は真剣勝負』(東京新聞出版局)など多数。
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