登山届の提出は義務? 知っておきたい罰則とリスク
「えっ!?違法なの?」とならないために…
『アウトドア六法』(山と溪谷社)では、登山・キャンプ・焚火・釣り・シーカヤックなどアウトドアに関わる法律をわかりやすく解説。
本書より、登山に関する内容を抜粋して紹介します。
Q. 登山届って必ず出さないといけないの?
A. 山域によっては、出さないと罰金が科せられる場合もあります。
登山届とは、行動中のルートや装備、メンバーなどを記入した書類で、万が一遭難してしまったときに迅速に捜索をしてもらうためのものです。日本の山岳遭難者数は2000年ごろから増加の一途をたどり、2021年には3075人を数えました。
条例に違反する場合
これに伴って、2010年ごろから登山届の提出を義務化する条例を施行する自治体が増えています。これらの県では登山届を出さないと、条例違反になります。岐阜県では、登山届を提出しないと5万円以下の過料(罰金)が科せられますが、2020年には3件、2021年には1件の違反が摘発されました。
登山届を提出する方法としては、登山口にあるポストに投函したり、FAX やメールで送るなどさまざまな方法があります。そのなかでも最も便利なのは、ウェブサイトの「コンパス」を利用することでしょう。スマホで簡単に作成することができますし、予定時刻を過ぎても下山しない場合は、家族や知人に自動的に連絡がいくシステムになっています。ただし、全国すべての自治体でコンパスによる登山届を受け付けているわけではないので(下の表にある義務化されている県は受付可能)、注意が必要です。
知っておきたい知識
捜索が開始されるのは、警察などに家族や知人からの要請があってからです。登山届を提出する場合は、必ずコピーを家族か友人に渡しておき、「予定までに下山しない場合は、捜索要請をお願いします」と伝えておくことが大切です。
登山届提出が義務化されている山域(2023年1月現在)
都道府県 | 山域 | 期間 | 罰則の有無 |
群馬県 | 谷川岳周辺 | 3/1~11/30 | 3万円以下の罰金 |
新潟県 | 新潟焼山 | 通年 | 5万円以下の過料 |
長野県 | 122の指定登山道 | 通年 | なし |
山梨県 | 富士山、八ヶ岳、 南アルプスの一部 |
12/1~3/31 | なし |
富山県 | 剱岳周辺 | 12/1~5/15 | 5万円以下の罰金又は過料 |
岐阜県 | 北アルプスの一部、 白山、乗鞍岳など |
通年、12/1~4/15 | 5万円以下の過料 |
石川県 | 白山 | 通年 | 5万円以下の過料 |
※本記事は、『アウトドア六法 正しく自然を楽しみ、守るための法律』を一部抜粋したものです。
アウトドア六法 正しく自然を楽しみ、守るための法律
「えっ!?違法なの?」とならないために… 『アウトドア六法』(山と溪谷社)では、登山・キャンプ・焚火・釣り・シーカヤックなどアウトドアに関わる法律をわかりやすく解説。 本書より、登山に関するQ&Aを抜粋して紹介します。