山での遭難……「遭難救助費用」の請求が発生するケースとは?

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「えっ!?違法なの?」とならないために…

『アウトドア六法』(山と溪谷社)では、登山・キャンプ・焚火・釣り・シーカヤックなどアウトドアに関わる法律をわかりやすく解説。

本書より、登山に関する内容を抜粋して紹介します。

 

Q. 遭難した後、無事に下山したら遭難救助費用を請求されました。自分から救助を依頼したわけじゃなくても支払う必要はあるんですか?

A. 家族が捜索に同意した場合は、支払義務が発生します。

 

 

遭難事故が発生し、本人や家族から要請があった場合、警察や消防などが救助・捜索活動を行いますが、費用は基本的に無料です。

 

条例が適用される場合

ところが、埼玉県では2018年に県内の一部山岳エリアで救助のために防災ヘリが出動した場合は、有料とする条例が施行されました。料金は5分ごとに5000円。過去の平均救助時間は1時間程度とのことなので、救助要請をすると費用は約6万円かかるということになります。2022年現在、埼玉県以外で捜索費用を有料としている自治体はありませんが、検討を進めている都道府県がほかにもあります。

 

知っておきたい知識

捜索において警察や消防だけでは人数が不足している場合は、民間の救助組織が出動することもあり、日当などの費用が発生します。このような費用は、基本的に遭難者本人が同意の上で負担をすることになっています。しかし、本人と連絡が取れない場合は、家族が費用負担することを同意したら遭難者と家族に費用を負担する義務が生じます。もし、遭難者が自力下山できて「自分は救助要請をしなかった」と言っても、家族が要請していたら支払わなくてはいけないのです。

そのような場合に捜索費用の補償をしてくれるのが、山岳保険です。万が一、遭難してしまい高額の捜索費用を負担することにならないよう、山岳保険には必ず加入しておきましょう。ただし、一口に山岳保険といっても捜索救助費用に特化したものから入院補償、対人賠償保障がついたものまで様々です。加入時は、自分に必要な保険を吟味しましょう。

 

※本記事は、『アウトドア六法 正しく自然を楽しみ、守るための法律』を一部抜粋したものです。

 

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