このカツ、ビールに絶対合う。「秩父わらじかつ亭」のわらじカツ丼

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

秩父の山を歩いたときのお目当ては、わらじカツ丼

下山まであと1時間、お腹すいた、何を食べて帰ろうか。

カツカレー、とんかつ、唐揚げ定食、炒飯餃子…、ガッツリしたものが頭に浮かぶのは、しっかり歩いて心地よく疲れた、自分にとって充実した山行のときだ。

秩父の山を歩いたときのお目当ては、わらじカツ丼。
埼玉県秩父地方の名物だ。卵でとじていない、いわゆるソースカツ丼なのだが、大きなカツが2枚、どーんと丼の上に乗っている。2枚だから「わらじ」。カツには甘辛のタレがしみていて、お店によってタレの味わいは異なる。

わらじカツ丼が味わえる店は、秩父市内や小鹿野町に点在する。ご当地グルメブームで、食べられる店もだいぶ増えているようだ。食通が絶賛する店もあるのだが、残念ながら登山口からも駅からも遠い。下山メシの店は下山口にあったり、駅の近くにあったりする、要するに「帰り道の途上にある」のがいい。適度に疲れていて、これからバスや電車を乗り継いで自宅まで帰ることを考えると、そのお店に行くためだけに寄り道をするほどの余力が、私にはない。

以前は西武秩父駅、仲見世通りの食堂でわらじカツ丼を味わっていたが、駅前のリニューアルで仲見世通りがなくなってしまった。残念に思っていたが、今は西武秩父駅前温泉 祭の湯のフードコートで味わえると聞き、年明けにハイキングをした後で行ってみた。

西武秩父駅前温泉 祭りの湯

温泉の入浴施設だが、フードコートで食事のみの利用もできる。広々としたフードコートには、秩父みそを使ったラーメンの店や、最近秩父で推している豚肉味噌漬けの店など、地元グルメの味わえる店が並んでいて、どれも食べてみたくてクラクラしてくる。しかし今回のお目当てはわらじカツ丼。「秩父わらじかつ亭」という分かりやすい名前のお店だ。

大きなわらじの端からガブッとかぶりつけ!

この店では、わらじカツ丼のカツは1〜4枚から選べて、(並)が2枚。カツは薄めで大きい、秩父の定番パターンだ。厚みがあってジューシーなほうが上質なカツ、というイメージを持っていると、この薄さにちょっと面食らうかもしれない。

秩父わらじ亭のわらじカツ丼

わらじカツ丼のカツは食べやすい大きさに切られておらず、見た目の「わらじ感」が半端ない。ナイフやフォークもなく、ダイナミックに端からかぶりつく。よくよく考えれば、厚みがあったらほおばり、噛み切るのも大変だろうし、2枚食べ切るのも苦しいだろう。薄いカツには理由があるんだな。

カツに一口かぶりつく。ざくっ、じわっ。からりとしたカツの揚がり具合と、タレの染み具合がちょうどいい。やや甘めのタレが染みたカツとともに、うっすら千切りキャベツの乗ったご飯をガガッとかき込む。玉子とじのカツ丼も好きだけど、ソースカツ丼もいいよね。カツ2枚でちょうどよかった、1枚なら物足りなかっただろうし、3枚や4枚では残念ながら食べきれない。

小皿に乗っているのは、これまた秩父名物のしゃくし菜漬け。シャキシャキの食感と塩気がいい感じで、ご飯がさらに進む。

夢中で食べながら、ふと気づいてしまった。このカツ、ビールに絶対合う。味も食感もいい、何より揚げ物はビールに合うものね。…と思ったら、カツが食べやすい大きさにカットしてある「おつまみわらじ」なるメニューがあるではないか。次回はゆっくり温泉に浸かってから、カツとビールで決まりだな。

今日のお店
秩父わらじかつ亭
住所:埼玉県秩父市野坂町1-16-15
電話番号:0494-22-7111
http://www.seibu-leisure.co.jp/matsuri/utage/index.html

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

編集部おすすめ記事