半日でも気軽に自然を満喫できる、東京近郊の丘陵ハイキング【後編】

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秋から冬にかけての時期、高い山は雪が積もり、限られた登山者のみの世界となるが、標高の低い山はハイキングのベストシーズン。空気が澄んで視界もよく、天気がよければ日だまりも心地よい。前編 に引き続き今回も、東京近郊の丘陵地帯に目を向けてみたい。

目次

構成・文=山と溪谷オンライン
TOP写真=モーちゃんさん

丘陵ハイキングというと熟達者には物足りないかもしれないが、高低差が少ないので膝にもやさしく、歩行時間も短めなので半日でも充分楽しめる。気軽に自然を楽しみたいという初心者でも歩きやすい。里山風景や街並みの展望、寺社・史跡巡りのほか、時には地元ならではのグルメなど、山歩きとは違った意外な魅力を発見できるかもしれない。

長沼公園の尾根上に続く、なだらなかトレイル

前編でも触れたが、丘陵とはいっても気をつけたい点もある。生活路や作業道などの分岐道が多いので、道迷いに注意してこまめに現在地確認をしよう。また保全地域や私有地もあるので、コース外には立ち入らないように。春は花々、初夏は新緑、晩秋は紅葉、冬は落ち葉踏みと、四季を通じて楽しめるが、夏はとても暑く、ハチなどの生物が活発なため避けたい。トレイル沿いにある樹木の樹液に群がっていることもあり、特に9~10月は要注意だ。冬は日が短いので早めの行動を心がけ、ヘッドランプは忘れずに。

春は、花々が美しい(前編にて紹介の滝山丘陵にて)

城跡、洞窟をめぐり、秋川丘陵を東西につなぐハイキング(あきる野)

あきる野市と八王子市の境一帯に連なる秋川丘陵は、都立自然公園となっている。そのうち網代城(あじろじょう)山から根小屋(ねごや・ねこや)城跡までつないで歩いてみよう。網代城山・弁天山はハイカーによく歩かれている低山であるが、後半は、車道歩きと散策路をまじえた静かなハイキングとなる。

弁天山からの展望(写真/unchikutareoさん

武蔵五日市駅から小峰公園方面に向かい、標識を頼りに網代城山の登山道に入る。植林帯の急な登りをがんばると網代城山に登りつく。かつて山城だった山である。山頂から下って、なだらかに登り返すとほどなくして弁天山に着く。岩峰の山頂からは、あきる野の街並みと、都心方面の展望が開ける。岩峰を巻くように急な道を下ると、洞窟と貴志嶋(きしじま)神社に出る。ここから東に下ることもできるが、直進してなだらかに下ると鳥居のある登山口に飛び出す。春は桜に包まれ、美しい。

春、彩りに包まれる弁天山登山口(写真/ito-yoさん)

弁天橋を渡って裏道のような車道を進み、網代トンネル北の交差点から脇道へ。ゴルフ場を横目に進み、畠山重忠の駒つなぎ石を過ぎてトレイルに入る。静かな樹林帯に整備された、なだらかな散策路を進んでいくが、一帯は私有地となっているのでコース外には立ち入らないように。分岐に注意しながら尾根に沿って進んでいくと、こぢんまりとした根小屋城跡に出る。竹林から人家の脇に出て上戸吹バス停へ向かう。

滝山城、高月城とともに滝山三城の一つに数えられる、根小屋城跡

行程・コース

最適日数:日帰り 4時間0分
総歩行距離:9,900m /上り標高: 535m 下り標高: 555m
行程:武蔵五日市駅(08:00)・・・登山道入口(08:45)・・・網代城山(09:15)・・・弁天山(09:35)・・・貴志嶋神社(09:50)・・・弁天山登山口(10:15)・・・網代トンネル北(10:30)・・・散策道入口(10:55)・・・雹留山(11:10)・・・根小屋城跡(11:40)・・・上戸吹バス停(12:00)
高低図
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