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誰もいない雨の奥日光・半月山で新作バーナーをチェック ジェットボイル/ミニモ[モンベル]

高橋庄太郎の山MONO語り
道具・装備 2015年04月25日

今月のPICK UP ジェットボイル/ミニモ [モンベル]

価格:18,000円+税
重量:500g(ガスカートリッジを除く)


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ジェットボイルの新作。さすがの効率性に感嘆。

4月半ばの奥日光。この日の天気は悪かった。僕は日帰りで女峰山に登る予定だったが、天気予報によれば、風雨は次第に強まるという。これでは登っても危険だと、僕は登る山を中禅寺湖の南にある半月山に変更。頂上に近くにはベンチ付きの展望台もある。

今回の主目的はジェットボイルの新作「ミニモ」の性能を試すこと。半月山からの展望が期待できなくても、うまいメシを食えればよしとしたい。しかし少々悔しいので、一昨年にすぐ近くの場所から見た男体山の姿をここで披露しておこう。

ちなみに僕は、「フラックスリング」を使うことで熱効率の高さを実現したジェットボイルの歴代モデルを大きさ違い(容量1.8LのSUMOから0.8LのSOLまで)、素材違い(アルミ製とチタン製)で持っており、状況に応じて使い分けてきた。だからこそ、今回のミニモにも期待している。ポイントは、浅型になったクッカーの形状と、低温でも火力が安定する「サーモレギュレート・テクノロジー」だ。

さて、僕は中禅寺湖展望台から半月山へと登って行った。

あっという間に山頂に到着。こんな天気では誰かがいるはずもないので、セルフタイマーで記念撮影。山頂滞在は一瞬で終わらせ、その西側にある展望台へ移動して早速ミニモを取り出した。

こちらがミニモの一式。熱効率が高いクッカーを特殊形状のバーナーと結合して使用する、いわゆる「クッカー&バーナー一体型」だ。これらのパーツを組み立てていくと、下の写真の左のような形状に。そして、再び分解して収納すると、右のような状態になるわけだ。

容量1Lのクッカーのなかにバーナーやカートリッジを収納でき、非常にコンパクト。ガスカートリッジを除く重量は、ちょうど500gだ。クッカーの底にはめられている半透明のカップは調理時には必要ないが、収納時にはフラックスリング付きのクッカー底面を守りつつ、食器としても使えるようになっている。

収納状況を上から見ると、このような感じ。「100G」サイズのガスカートリッジとバーナー部分を合わせ、横倒しにするときれいに入れられる。

クッカーの口径は127㎜で、より大きい「250G」のカートリッジも縦に入れられるが、その場合バーナー部分は付属袋に入れて別に持たねばならない。小型の「110G」でも12Lの水をお湯にできるというのがミニモのカタログ的なスペックで、通常の調理、通常の山行期間ならば「250G」の出番はあまりないだろう。だから「110G」とバーナーを収められれば、多くの場合、問題はないのである。とはいえ、本当は「250G」とバーナーがいっしょに入ればうれしいが、クッカーの容量を考えれば仕方ない。

下の写真はクッカーとバーナーの連結部分。わかりやすいように、上下をひっくり返したうえで外してある状態だ。

クッカーの底の波を打ったパーツがフラックスリング。この部分がバーナーからの熱を効果的にクッカーに行きわたらせ、驚くべき熱効率の高さを実現するのである。また、バーナーに付いている楕円形のものが、サーモレギュレート・テクノロジーのパーツだ。これにより、ミニモは-6℃という低温でも安定した火力を保つという。

さて、雨が降る展望台で調理開始。まずはアルファ化米を戻すために、シンプルにお湯を沸かす。

どの時点で沸騰したのか正確に判断するのは難しいが、500mlの水が2分35秒ほどで熱湯に。この時点の気温は約7℃、使用した水の水温は約10℃で、風の影響も考えればカタログに記載されている「0.5Lの水が沸騰するのに2分15秒」という性能が実感できる。状況や調べ方にもよるが、一般的なクッカーに別途バーナーを合わせて使ったときよりも半分以下の時間になり、とんでもなく沸騰が早いのだ。

ちなみに、ジェットボイルシリーズには、別のクッカーも使えるように小さなゴトクもつけられている。それを利用すると下の写真のような状態になる。別の場所で撮影したものだが、参考までに見てもらいたい。

しかしこれではジェットボイルの熱効率の高さを生かせず、それどころか風のために炎の熱が逃げてしまい、お湯が沸くまでに数倍の時間がかかってしまう。やはりジェットボイルは専用のクッカーとバーナーを組み合わせてこその製品なのである。

ジェットボイル史上最高の調理のしやすさ

話を戻そう。アルファ化米をお湯で戻しているうちに、今度はレトルト食品を温める。

この写真を撮った後、盛大に沸騰させてみた。レトルト食品のパッケージが溶けないか確認してみるためだ。軽量だが熱伝導率が低いチタン製のクッカーを使って同じように強火で温めると底面の温度が上がりすぎ、パッケージが溶けてくることがある。だがミニモの素材は熱伝導率が高いアルミ製。クッカーの底面が熱くなりすぎることはないようで、今回のテストではパッケージに影響はなかった。じつは、このミニモ、これまでのジェットボイルの製品以上に「調理のしやすさ」を考えているのだ。

下の写真は起床して早々、雨が降る前の早朝に作った僕の朝飯。市販のインスタントのラーメンだ。

四角の袋メンの角を少しだけ崩せばクッカーの中に入れられる口径の広さがありがたく、一般的な長さのハシでもラクに食べられる。これまでのジェットボイルにはミニモと同じ容量1Lのクッカーもあったが、口径が狭いうえにかなり深く、長いハシでなければ底まで届きにくかったのだ。だが、ミニモの形状であれば、一般的な長さのハシやスプーンでも使いやすい。しかもこれまで以上にトロ火への調整も簡単だ。また、いくらジェットボイルの売りが短時間でお湯が沸かせることであっても、弱火でなければ吹きこぼれて調理できないメニューも多い。浅型で口径が広く、アルミ製でトロ火にできるからこそ、落ち着いて調理し、ゆったりと食事を楽しめるのである。ミニモがこれまでのジェットボイルのなかで、もっとも調理に向いたモデルであることは間違いない。

アルファ化米とレトルト食品、そして余ったお湯で作ったスープで腹を満たし、僕は展望台を後にした。だが下山途中で雪が残っている場所を発見。再びミニモを取り出し、最後のテストを行なう。雪の上に直接ガスカートリッジを置き、強制的に低温下の状況を作り出し、サーモレギュレート・テクノロジーの性能を簡単に試してみたのである。

放置して15分。どのくらいまで内部のガスが冷えたかの確認はできないが、冬場の気温で使う程度には冷やせただろう。だが点火すると、火力にはほとんど問題なし。500mlの水がお湯になるまでは2分50秒ほどで、先ほどよりもわずかに時間は長くなったとはいえ、この程度ならば支障なく使えそうだ。サーモレギュレート・テクノロジーなしのモデルならば、こうはいかない。そもそも風がない室内とは異なり、フィールドでのテストには誤差がつきものだ。だが、それを踏まえたうえでもミニモの実力は大したものなのである。

料理・食料 記録・ルポ
教えてくれた人

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版)ほか著書多数。

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