ミステリーランチが背負い心地はそのままに軽量化に挑んだ「レイディックス 47」読者レビュー

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読者レポーター・かずきさんによる、ミステリーランチの軽量バックパック「レイディックス47」のレビューです。

文・写真=かずき


私は1泊2日の山小屋泊またはテント泊で使用する、40L前後のバックパックを探していた。

今持っているバックパックは以下の2種類。

  • 日帰り用:ミステリーランチ「クーリー 25」(写真左、1.3kg)
  • 宿泊用:ザ・ノース・フェイス「テラ 65」(写真右、2.1kg)

どちらもお気に入りだが、日帰り雪山登山や小屋泊登山ではサイズが中途半端で、中間のサイズのバックパックが欲しいと考えていた。

折角だからウルトラライト志向(以下、UL)の1kgを切るものを買おう、と思い登山用品店を巡ったが、最終的に購入したのはいわゆるULバックパックではなく、今回紹介するミステリーランチ「レイディックス 47」だった。結論から言えば、買って正解のバックパックだ。

アイテムの概要と購入経緯

レイディックスは、ミステリーランチが2024年春夏新作としてリリースした、昨今の軽量化ニーズに応えたバックパックだそうだ。

ULバックパックを見に行った登山用品店で店員さんに、本製品をかなり細かく紹介してもらい、最後に「僕も(ULバックパックを)いろいろ試してみたけど、やっぱり“心もとない”ですよね〜」と言われ、一気に気持ちが傾いて、まんまと購入してしまった。

購入以降、5月の立山、甲斐駒ヶ岳、北八ヶ岳などで使用した。よかった点と気になる点を紹介する。

よかったポイント

1.抜群の安定感!

このバックパックのテーマは「ミステリーランチの思う軽量性」だ。ミステリーランチの特徴である「背面長無段階のフィッテングシステム」「メインフレームとフレームシートによる荷重分散」などの基本設計は同様だが、素材に違いがある。公式解説動画で述べられた生地やメインフレームへのこだわりは元より、フレームシートの形も大きく変化していた。

ミステリーランチ/レイディックス47
左が今回紹介しているレイディックス 47のシートで、右が日帰りで使っているクーリー 25のシート。フレームが小型化、軽量化されている

その結果、日帰りサイズのクーリー 25が1.3kgに対し、45Lのレイディックス 47が1.6kgである。ULバックパックは500〜800gが多い印象なので、レイディックスは「ULバックパック」とは言えないだろう。しかし、背負い心地はそのままに、クーリー 25と比べて容量が約2倍にも関わらず重さが0.3kgしか変わらないのを見ると、「ミステリーランチはめちゃくちゃ軽量化をがんばったんだな」と感心した。フレームを介して腰にしっかり荷重を乗せるミステリーランチの安定感は抜群だ。

また、バックパックの「下部」の形が好きだ。レイディックスは下部がややすぼまっており、バックパックの下が膨らまない。さらに底の部分がちょうど腰骨の上にくる作りのため、重心をより背中に寄せやすくなるし、股関節の動きを邪魔しない。

ミステリーランチ/レイディックス47
レイディックスの全体像。下がややすぼまっている
ミステリーランチ/レイディックス47
バックパックの底が腰骨の上くらいにくるのがよい

これまで使っていたザ・ノース・フェイス「テラ65」は下が膨らんだ形で、重さを感じがちだったのでこの造りはうれしい。

また、レイディックスには「パーツを外せる」という特徴がある。具体的にはメインフレーム、フレームシート、腰ベルト、コンプレッション用のストラップのことで、すべて外すと1.2kg位になった。フレームは案外軽く、腰ベルトが一番重かった。

ただフレーム(特にメインフレーム)がないと背面がフニャフニャして背負いづらかったので、腰ベルト以外は無理に外さなくてもよいと感じた。

2.見た目以上の収納力と使い勝手

ミステリーランチのバックパックといえば、ガバッとフロントが開けられるY字型のジッパーだ。Y字型ではないもののレイディックスにもフロントパネルの横にジッパーがあり、ガバッと開いて中身を整理したり、半分開けてウェアや食料を取り出すことができるのは便利だ。上部のバックルの開閉で全開にするか半開きにするか選べるのも便利な仕組みだと感じた。

ミステリーランチ/レイディックス47
大きく開くので整理が容易

さらに、Y字型ジッパーと異なり雨蓋式のため、衣類など適当に収納してもしっかり入るのが便利だ。

正面とサイドのポケットは大きく深いため、使い勝手がよい。雨具、アイゼン、トレッキングポール、水筒などすぐ必要になるものがすっきり収まった。

「収納力」「使い勝手」に関しては、ULバックパックの弱い部分でありレイディックスに分がある。ULバックパックは筒状・ロールアップ型が多いが、モノを取り出しづらいと正直感じていた。また「外のメッシュになんでも入れる」「外付けでキャパシティを補う」バックパックもあるが、これは例えばアメリカのスルーハイクにはよくても日本の狭い山道では木々や岩にひっかけるリスクがあるだろう。総じて(ズボラでも)スッキリ収納できる点はレイディックスの強みだと感じた。

気になったポイント

一方で以下の箇所が気になった。

1.大きなジッパーを開ける際、コンプレッションを外す必要がある

サイドジッパーのバックパックはこの課題がある。そもそも、ミステリーランチのY字ジッパーはこの点を無視して開けることができたし、近しい機能のあるバックパックも増えているので、やや不満である。万が一のジッパーの破損に備えてのことらしいが。

ミステリーランチ/レイディックス47
コンプレッションが大きなジッパーに被っているため、留め具を外す必要がある

またサイドポケットのコンプレッションを絞っていると、大きなジッパーが閉まりづらくなるため注意が必要だった。

2.雨蓋を閉じていると大きなジッパーを開けづらい

ジッパーが雨蓋の下まで閉められる形状になっているので、行動中はちょっと開けづらい。

ミステリーランチ/レイディックス47
雨蓋の下にジッパーの始点がある

意図的にジッパーを上げる位置を雨蓋に被らないところまでにして対策した。下からも開けられるジッパーがついていれば、利便性は大きく向上したと思う。

3.取っ手が頭に当たる

これが一番不満だ。しっかりした取っ手がついているが、上向きだと高確率で頭に当たる。取っ手を下向きにすれば軽減されるが、背負うたびに調整するのも億劫である。

ミステリーランチ/レイディックス47
取っ手を下向きにした様子

取っ手を固定できるようなギミックをつけるか、接触しても気にならない柔らかめの取っ手にしてほしかった。対策があれば教えていただきたい。

4.留め具がややチープ

軽量化のためか、雨蓋やコンプレッション用の留め具が小さめで、すんなり留められない場合があるため、慣れが必要と思った。

ミステリーランチ/レイディックス47
留め具がはまらなかった時の様子

まとめ

気になる箇所もあるが、肝心の登山中の使用感はかなりよかった。軽快に歩くことを確実にサポートしてくれるバックパックである。

サイズバリエーションは29L、45L、60Lの3種類。日帰り、小屋泊、軽量装備でのテント泊に関しては29Lで足りるが、重さが大きくは変わらず、容量に余裕があり融通が利く45Lが個人的にはオススメだ。雨蓋の収納も45Lから追加される。

安定感、利便性を求めつつ軽さも捨てがたい方、かっこいいバックパックが欲しい方はぜひ一度店頭で背負っていただきたい。

紹介したアイテム

ミステリーランチ
レイディックス47

価格 35,200円(税込)
カラー Black/Hunterなど2色
重量 1.6kg
詳細を見る
かずき(読者レポーター)

かずき(読者レポーター)

転勤先の栃木で登山に出合い、現在は中部圏を中心に登山やキャンプに明け暮れている。ソロ〜3人程度で登るのが好き。長野県を通過した際は長野通行税をソフトクリーム屋さんへ入金している。

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全国の山と溪谷オンライン読者から選ばれた山好きのレポーター。各地の登山レポやギアレビューを紹介中。

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