ついに登場!ライペン(アライテント)の1kg以下軽量山岳用テント ライペン/SLソロ|高橋庄太郎の山MONO語りVol.109

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山岳・アウトドアライター、高橋庄太郎さんが、最新山道具を使ってレポートする連載。さまざまな角度からアウトドアグッズを確認し、その使用感と特徴を余すことなくレポート! 今回はライペンの「SLソロ」を紹介します。

文・写真=高橋庄太郎

雨の日の使用感は?

しかし数日後、別の山で僕は雨に遭遇!

ライペン/SLソロ

早速、SLソロをもう一晩、試してみた。

相当な雨が降っていたが、内部は快適そのものである。

ライペン/SLソロ

新しいテントで生地がどこも傷んでいないということもあるが、まったく水漏れはない。

シームコートを自分で塗って処理した、テントの四隅の縫い目からも浸水はなし。

ライペン/SLソロ

ここから水が入ってきたら、それはSLソロではなく、僕の作業ミスでしかないのだが、うまく防水できていて安心した。

フライシートの撥水性もすばらしい。雨水が玉のようになって転がり落ちていく。

ライペン/SLソロ

しかしこの撥水性は初期性能でしかない。使い続けると劣化するのは避けられず、定期的なメンテナンスは必要だ。

吹き流し型のベンチレーターからの浸水もなし。

ライペン/SLソロ

風圧が少々かかっても、しっかりと閉じられていた。

フライシートの裏側には結露が見られる。この天候では当たり前ではある。

ライペン/SLソロ

次にテストする機会があれば、“晴れているけれど高温多湿”のような状況で、どれほどの結露が生まれるか見てみたいと考えた。

前室に置いておいた装備類も十分に守られていた。

ライペン/SLソロ

雨水の跳ね返りで登山靴の先端程度は濡れていたものの、それだけの話である。

そして前回のテストの際、僕が心配していたフライシートのフラップ部分は・・・。

ライペン/SLソロ

この日は風向きが反対で、フラップは自動的にファスナーを覆っていた・・・。そのためにファスナーからの浸水は見られない。テストのために無理にフラップをめくり、ある程度の時間、ファスナーを雨水にさらしてもみたが、それでも浸水はほとんどないようであった。このファスナーは思いのほか水に強いのかもしれない。いずれにせよ、この点は2回目のテント泊でも判断しかねたので、いずれ大雨のときに再テストしてみたいものだ。

さて、最後に白状しなければならないことがある。

使用生地が薄く、ポールの細いSLソロはどうしても一般的なテントよりも破損しやすい。そのため、僕は注意しながら設営し、就寝していたはずだった。ところが、雨中で急いでテントを張るときに、とうとうやってしまったのだ・・・。

ライペン/SLソロ

上の写真は内側にポールが通されているスリーブ部分。ごく小さく、青いポールが露出しているのがわかるだろうか。

じつは、ポールをスリーブに通すときに引っかけてしまい、ポールの末端で生地を突き破ってしまったのだ。雨の水分によってスリーブ内でポールの滑りが悪く、引っかかりやすくなっていたことも一因だろうが、それにしてもなんたる不覚!

ライペン/SLソロ

僕はこれまでにライペンの各種テントをおそらく200~300回は張ったことがある。だが、このようにスリーブを突き破った経験はない。こんなところからもSLソロの生地の薄さを僕は感じさせられたのであった。

テスト用に借りたテントを傷めてしまい、意気消沈。

ライペン/SLソロ

やはり超軽量テントの取り扱いには、それなりの注意が必要なのである。

まとめ:薄手生地に注意は必要ながらも、安定の使い心地

そんなわけでスリーブに穴をあけてしまったSLドーム。薄手の生地、細いポールといった特徴をもつ超軽量テントゆえに、手荒に使うわけにはいかないだろうが、それ以外は山岳テントとしての機能は優秀だった。なにしろ基本的なフォルムは日本の山岳テントの代表格であるライペンの各テントを踏襲しており、日本の山で使いにくいはずはない。極度の悪天候が想定される山ではもっと耐候性が高いテントを使う必要はある。しかし、多くの人はわざわざ悪天候のときに登ることは少ないだろうし、一般的な登山では大いに活躍しそうだ。ただ、僕のような失敗にだけはご注意していただきたい。

今回のPICK UP

ライペン
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重量 900g(本体+フライシート+フレーム)
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プロフィール

高橋 庄太郎(たかはし・しょうたろう)

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『テント泊登山の基本テクニック』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学』(ADDIX)ほか著書多数。
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高橋庄太郎の山MONO語り

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