奥多摩の帰りは、自分を思いきり甘やかしたい！ 山猫亭の下山スイーツ

レトロな喫茶店、定番はモンブラン

ときどき、下山後に甘いものが食べたくなる。

日帰り登山がいい感じに進み、下山したら午後3時頃。飲んで帰るにはちょっと早いけど、もう少し山の余韻に浸りたい。そんなときは駅近くの喫茶店にふらりと立ち寄る。できればチェーン展開のコーヒーショップとかファミレスではなく、地元に昔からあるようなレトロな雰囲気の「喫茶店」がいい。

頼むのはケーキとコーヒー。普段ケーキなんて食べないけど、登山のあとは無性に甘いもので自分を甘やかしたい。ボリュームはそれほど求めない。小さくていいから美味しいのがいい。出てきたケーキが出来合いのものではなく、お店の手作りだと嬉しくてニヤリとする。

私が下山後スイーツにはまるきっかけになったのが、JR五日市線武蔵五日市駅の駅前にある喫茶店「山猫亭」だ。

10年近く前のこと。一回り年下の女子たちと五日市にある岩場に岩登りに行ったものの、予定より早く雨に降られて2時過ぎに下山した。帰るにはだいぶ早いからお茶でもして帰ろうと、立ち寄った。レトロな店構えが前からちょっと気になっていたのだ。木の風合いが心地よい、落ち着いた雰囲気の店内。

季節のケーキなど手作りケーキが数種類、紅茶も選べる。
「ええー、どれにしようか迷うよねえ」だって、どれも美味しそうだもの。どれも食べてみたいと思うけど、全部食べるのは無理（当たり前）。やさしい語り口のご主人におすすめを聞いたりして、私が選んだのは、このお店の定番・モンブラン。紅茶がおすすめだと聞いて、紅茶のセットをオーダーした。

今日のルートは面白かった、あそこで一歩踏み出すのがちょっと怖かった、こんどはあのルートにも行ってみようよ、そんな話をしながら待っているうちにみんなのケーキと紅茶が登場。地味な色合いで、シンプルな形のモンブラン。さっそく一口。ふんわりとした栗の風味とともに、やさしい甘みがじわりと口の中に広がる。これは「正解」だ。思わず笑みがこぼれる。一緒にケーキを食べている仲間たちも、ニコニコしながら手を、口を動かしていた。

カフェめし風でも、お腹いっぱいチリコンカン

ちなみにこのお店、フードメニューはカレーとチリコンカンの２種類。お昼に入ったときにチリコンカンを味わったが、カフェめし風のおしゃれな見栄えながらも、しっかりお腹がいっぱいになった。

立ち寄るにはちょっと遅い時間だったり、お店が定休日あったりで、最近全然行ってなかったが、ふと思い立ってお店を訪れた。ご主人のやさしい語り口の説明を聞いてオーダーしたのは、かぼちゃのケーキと英国風ミルクティー。

大きめのティーポットには保温用のカバーがしてあって、あのときもそうだったと思い出す。シナモンの香りがふんわり漂うかぼちゃのケーキは、かぼちゃの風味とやわらかな甘みがなんとも心地よい。そうそう、甘過ぎないのがいいよねえ。ケーキがほんのり温かいのもなんだかほっとするよねえ。

甘いものは間違いなく、ちょっと疲れている人を幸せにする。下山後スイーツは心と体によく効く。

今度は春、もう少し暖かくなってから、ハイキングの帰りに立ち寄ろう。今度はどんなケーキが待っていてくれるだろう。