富士山を「撮る」名人直伝!「夏の富士山を眺める」ポイント4つとおすすめコースをご紹介

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「夏にしか見られない富士山がある!」。富士山を「撮る」ことをライフワークとしている低山フォトグラファー・渡邊明博さんに4つのポイントを聞きました。

文・写真=渡邊明博

目次

ポイント③ 海を挟んだ山で夏のダイヤモンド富士を眺める

私は東京湾を挟んだ房総半島から、海に浮かぶような富士山を見るのが好きですが、距離があるぶん、空気の澄んだ冬が適期といえます。しかし、夏にしか見せない海越しの富士山もあります。通常、冬に富士山より西部の山から見られるのが「昇る太陽のダイヤモンド富士」、夏に東の山から見られるのが「沈む太陽のダイヤモンド富士」となります。

おすすめのコース

伊予ヶ岳(いよがたけ)

千葉県/337m

富山(とみさん)、伊予ヶ岳(いよがたけ)、御殿山(ごてんやま)からなる富山三山がベストでしょう。毎年三山では4月と8月にダイヤモンド富士が見られます。東京湾を挟んで距離があるだけに天気と空気の透明度など、すべての条件が鍵になります。ダイヤモンドにならなくても夕陽が沈めばシルエットで映える富士山が望める可能性も。夏場は蒸し暑く敬遠されがちですが、伊予ヶ岳はコースタイムが2時間弱ほどなので、それほど厳しくはないでしょう。ただし、山頂直下に少し長い鎖場があるので、山頂で夕日まで楽しんでからの下山では、ヘッドランプは必携。過去に滑落事故も起きているので厳守してください。

富山三山(とみさんさんざん)
条件がそろえば、夕陽、富士山、東京湾が幻想的な景色を見せる

モデルコース

ヤマタイムで周辺の地図を見る

天神郷バス停~伊予ヶ岳~天神郷バス停(参考コースタイム:1時間55分)

NEXT 湖畔でゆっくりと富士山を楽しむ
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この記事に登場する山

山梨県 静岡県 / 富士山とその周辺

富士山・剣ヶ峰 標高 3,776m

 日本の山岳中、群を抜いた高さを誇る富士山は、典型的なコニーデ式火山。いずれの方向から眺めても円錐形の均整のとれた姿は美しく、年間を通して人々の目を楽しませてくれる。東海道本線や新幹線の車窓から見ると、右手に宝永山、左手には荒々しい剣ガ峰大沢が望め、初めて見る人の心を奪う。  昔は白装束姿で富士宮の浅間(せんげん)神社から、3日も4日もかけて歩き通したという話を古老から聞いたことがある。現在では、富士宮と御殿場を富士山スカイラインが結び、途中からさらに標高2400m辺りまで支線が延びているので、労せずして雲上の人になれる手近な山となった。  日本で一番高い山、美しい山であれば、一生に一度は登ってみたい願望は誰にでもある。7月、8月の2カ月間が富士登山の時期に当たり、7月1日をお山開き、8月31日を山じまいと呼ぶ。  山小屋や石室が営業を始めると、日本各地や外国の人々も3776mの山頂を目指して集まってくる。特に学校が夏休みに入り、梅雨が明けたころから8月の旧盆までは、老若男女が連日押し寄せ、お山は満員となり、登山道は渋滞し、山小屋からは人があふれる。  富士宮口から登ろうとする場合は東海道新幹線の新富士駅、三島駅などからの登山バスで五合目まで行き、自分の足で山頂へ向けて歩きだすことになる。山梨県側には吉田口があり、東京方面からの登山者が多い。  目の前にそびえる富士山はすぐそこに見えるため、山の未経験者は始めからスピードを出しすぎ、7合目か8合目付近でたいていバテてしまう。登り一辺倒の富士山は始めから最後まで、ゆっくり過ぎるほどのペースで歩くことがコツである。新6合から宝永火口へ行く巻き道が御中道コースで、標高2300mから2500mを上下しながら富士山の中腹を1周することができたが、剣ガ峰大沢の崩壊で通行不能になっている。  山慣れたパーティならば新6合から左に入り、赤ペンキや踏み跡を拾いながら、いくつもの沢を渡り3時間もかければ大沢まで行くことができる。辺りは樹林帯で、シャクナゲの群落やクルマユリやシオガマなどの高山植物が咲く。  9合目右側の深い沢に残る万年雪は、山麓からも見ることができる。富士宮口を登りつめると正面に浅間神社奥ノ院がある。隣は郵便局。もうひとふんばりすると、最高地点の剣ヶ峰。山頂にはかつては毎日データを送り続けていた気象観測所跡が残っている。天候に恵まれたならば噴火口の周囲を歩く御鉢巡りが楽しめる。

プロフィール

渡邉 明博

1957年生まれ。富士山撮影をライフワークとし、最近では中央線沿線の山をはじめ、低山の四季折々の風景を撮り続けている。『すばらしい富士に出逢える!富士山絶景撮影登山ガイド』(山と溪谷社)をはじめ、富士山関連の著書を多数執筆。山岳写真ASA会長。(写真=水谷和政)

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