富士山を「撮る」名人直伝!「夏の富士山を眺める」ポイント4つとおすすめコースをご紹介

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「夏にしか見られない富士山がある!」。富士山を「撮る」ことをライフワークとしている低山フォトグラファー・渡邊明博さんに4つのポイントを聞きました。

文・写真=渡邊明博

目次

開山を7月に控え、日本一の頂への登頂をワクワクしながら待ち受けている登山者も多いのではないでしょうか。しかし、富士山は登るのもいいけど眺めても日本最高峰!

一般的には富士山を眺めるなら空気が澄んでいて、冠雪のある時期に周辺の山に登るのがよいとされますが、夏でも見どころが満載です。

富士登山の前に富士山への気持ちを高めつつ、足慣らしをしたい人、富士山の山頂まで行く自信のない人などに向けて、ゆっくりと富士山を眺められるハイキングルートを選ぶコツを紹介します。

ポイント① 夏のお花畑と富士山一緒に眺める

富士山周辺の山は標高が1000m台と、それほど高くはありませんが、お花畑が咲き誇る山も多いです。小鳥のさえずりを聞きながら、夏ならではの足元の小さなお花と、ダイナミックな富士山との共演を見るのはいかがでしょうか?

おすすめのコース

高座山(たかざすやま)

山梨県/1304m

おすすめなのは、忍野村の北側にある高座山。カヤトに覆われた山肌が印象的な山で、終始、富士山を見ながら登れる人気の山です。さえぎる物が一切なく見られる富士山は圧巻。7〜8月にはギボウシをはじめ、キキョウ、オニユリ、ナデシコなどが登山道を彩ります。稜線から振り返るカヤトの斜面は、グリーン一色の絨毯のようで美しいの一言。また朝早く登れば赤富士が見られる場所でもあります。なお、高座山だけでは物足りない人は大ザス峠(おおざすとうげ)を経て杓子山(しゃくしやま)まで足を延ばしてもいいでしょう。

高倉山(たかくらやま)
鮮やかな緑に草原の斜面に花々が光り、夏ならではの富士山が見られる

モデルコース

ヤマタイムで周辺の地図を見る

鳥居地峠駐車スペース~高座山~鳥居地峠駐車スペース(参考コースタイム:1時間10分)

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この記事に登場する山

山梨県 静岡県 / 富士山とその周辺

富士山・剣ヶ峰 標高 3,776m

 日本の山岳中、群を抜いた高さを誇る富士山は、典型的なコニーデ式火山。いずれの方向から眺めても円錐形の均整のとれた姿は美しく、年間を通して人々の目を楽しませてくれる。東海道本線や新幹線の車窓から見ると、右手に宝永山、左手には荒々しい剣ガ峰大沢が望め、初めて見る人の心を奪う。  昔は白装束姿で富士宮の浅間(せんげん)神社から、3日も4日もかけて歩き通したという話を古老から聞いたことがある。現在では、富士宮と御殿場を富士山スカイラインが結び、途中からさらに標高2400m辺りまで支線が延びているので、労せずして雲上の人になれる手近な山となった。  日本で一番高い山、美しい山であれば、一生に一度は登ってみたい願望は誰にでもある。7月、8月の2カ月間が富士登山の時期に当たり、7月1日をお山開き、8月31日を山じまいと呼ぶ。  山小屋や石室が営業を始めると、日本各地や外国の人々も3776mの山頂を目指して集まってくる。特に学校が夏休みに入り、梅雨が明けたころから8月の旧盆までは、老若男女が連日押し寄せ、お山は満員となり、登山道は渋滞し、山小屋からは人があふれる。  富士宮口から登ろうとする場合は東海道新幹線の新富士駅、三島駅などからの登山バスで五合目まで行き、自分の足で山頂へ向けて歩きだすことになる。山梨県側には吉田口があり、東京方面からの登山者が多い。  目の前にそびえる富士山はすぐそこに見えるため、山の未経験者は始めからスピードを出しすぎ、7合目か8合目付近でたいていバテてしまう。登り一辺倒の富士山は始めから最後まで、ゆっくり過ぎるほどのペースで歩くことがコツである。新6合から宝永火口へ行く巻き道が御中道コースで、標高2300mから2500mを上下しながら富士山の中腹を1周することができたが、剣ガ峰大沢の崩壊で通行不能になっている。  山慣れたパーティならば新6合から左に入り、赤ペンキや踏み跡を拾いながら、いくつもの沢を渡り3時間もかければ大沢まで行くことができる。辺りは樹林帯で、シャクナゲの群落やクルマユリやシオガマなどの高山植物が咲く。  9合目右側の深い沢に残る万年雪は、山麓からも見ることができる。富士宮口を登りつめると正面に浅間神社奥ノ院がある。隣は郵便局。もうひとふんばりすると、最高地点の剣ヶ峰。山頂にはかつては毎日データを送り続けていた気象観測所跡が残っている。天候に恵まれたならば噴火口の周囲を歩く御鉢巡りが楽しめる。

プロフィール

渡邉 明博

1957年生まれ。富士山撮影をライフワークとし、最近では中央線沿線の山をはじめ、低山の四季折々の風景を撮り続けている。『すばらしい富士に出逢える!富士山絶景撮影登山ガイド』(山と溪谷社)をはじめ、富士山関連の著書を多数執筆。山岳写真ASA会長。(写真=水谷和政)

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